【ねこまたぎ通信】

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 ホテル・ジャーナリズム

☆★米軍を野放図にさせるホテル・ジャーナリズム

  Hotel journalism gives American troops a free hand
  By Robert Fisk  01/17/2005 The Independent

インフォメーション・クリーニング・ハウス

http://www.informationclearinghouse.info/article7718.htm

 1月17日 インディペンデント:
 ホテル・ジャーナリズム」としか言いようがない。バグダッドにいる西側報道陣はイラクの街や諸都市を歩いて取材するよりは、滞在するホテルからニュースを送る傾向がますます強まっている。
 なかには、どこに行くにも武装した西洋人の傭兵を雇って同行させている者もいる。少数の者が現地支局にいて、編集局は彼らが事務所から外出するのを許さない。
 ほとんどは、パート・タイムの記者としてイラク人「特約記者」を使っており、彼らがアメリカ人やイギリス人ジャーナリストのために命がけで取材をおこなっている。そして米・英軍に「エンベッド(埋め込み)」取材するのでなければ、何日もかけて準備することなしに誰も首都の外へは取材旅行を企画することができない。
 それほど現場から離れて制約を受けたら、戦争を記者が取材することは、あったとしても稀(まれ)なことだ。西側ジャーナリストのなかには、バグダッド滞在中に、一度もホテルの部屋から外に出なかったものさえいる。
 西側ジャーナリストへの脅威はそれほど深刻で、一部のテレビ局は記者と取材陣をまるごと撤退させつつある。西洋人(および多くのアラブ人その他の外国人)が誘拐され殺害される混乱のなかで、この戦争を報道することは不可能に近づきつつある。
 それでもゲリラに掌握される表通りを怖々と移動しながら、バグダッドから記事を送っているイギリスとアメリカの新聞社は多くはない。
 1990年代にアルジェリアで荒れ狂った戦争では、少なくとも42人の現地記者が殺害され、1人のフランス人カメラマンが撃たれて死んだ。しかしアルジェリアの治安部隊は、まだ、記者に最低限の防護を提供することができた。だがイラクでは、彼らは自分たちを守ることさえできない。アメリカ軍が撤退したあとは引き継ぐのだとアメリカ軍に景気づけられた警察とイラク国家警備隊にも、ゲリラがずいぶん浸透している。
 有人の検問所には警官が詰めることになるだろうが、警官が誰のために仕事をするかが今なお不明なのだ。バグダッド市内と周辺で任務を遂行している米兵は、ちょっとした不審行為でも一般市民に発砲する無規律さゆえに、イラク人からも、「エンベッド」でないかぎりは西側記者からも敬遠されるようになっている。
 そこで質問である。 記者の生命に何の価値があるのか?
 記事には危険をおかすだけの価値がないのか?
 そして、もっと倫理的な見地から、なぜもっと多くの記者が、みずからの置かれている制約について記事を書かないのか?
 2003年の米・英によるイラク侵略の時期、編集者は記者が受けている制約について語ることによって、サダム・フセインイラクから届けられた特報であることを強調した。しかし今では、われわれの行動は多くの制限を受けているが、記事に伴う「警告」のようなものはない。だが多くの場合、視聴者は記者が自由にイラク中を取材してまわれるという印象を抱いたままである。
 バグダッド滞在中の年季の入ったアメリカ人記者は、「このような状況では米軍も幸いだとは言いがたい」と、指摘した。
 「彼らは、もし無実の市民の家を爆撃しても、それは『テロリスト』の拠点だったと言い張ることができる。彼ら(米軍)はわれわれにイラク国内を動き回られたくないし、それで彼らにとっては『テロリスト』の脅威が重要ニュースとなる。彼らは600〜1000人のゲリラを射殺したと言うことができ、われわれは墓地に行くことも病院を取材することもできないので、それをチェックする方法がない。われわれは誘拐されたり、ノドを切られたりしたくないのだ」。
 こうして多くの記者は、今や、情報を得るためにはホテルの自室からアメリカ軍またはイラク「暫定」政府に電話することを余儀なくさせられる。そうして、旧大統領宮殿の周囲にできたバグダッドのグリーンゾーン内にいて、記者たち以上にイラクから隔絶している男女から、「事実」を受け取るのである。さもなければ、アメリカ軍に「エンベッド」取材する記者から記事を受け取るのである。必然的に、彼らはアメリカ兵の側に立った記事しか書かない。
 確かに、それでも、バグダッドの街に出て記事を書くことは可能である。しかし、われわれのなかでそのようにするのは、ますます少数になっていて、やがて価値のある記事と生命の危険を天秤にかけなければならない時が来るかもしれない。

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※ URUK NEWS イラク情勢ニュース (webサイト) 
    http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/  
※ イラクレジスタンス・レポート
    http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/Iraqi_resistance.html
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