【ねこまたぎ通信】

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インド政変 早く隣国との対話を

 世界最大の民主国家インドの総選挙で国民会議派がバジパイ政権を倒して政権を奪回した。隣国パキスタンとの対話を着実に進め、カシミール紛争の解決、南アジア安定への道を定めてほしい。

 一九四七年の独立以来、三度の戦火を交えたインド、パキスタン両国は、ことし一月、バジパイ前首相とムシャラフパキスタン大統領とのイスラマバード首脳会談で、関係改善へ踏み出した。

 これまでの外務次官級協議に続いて、今月か来月の協議再開、八月の両国外相会談で緊張緩和状況を再点検することで合意していた。

 バジパイ前首相は、ブッシュ米政権の進める「テロとの戦い」を支持して対米関係を修復し、自ら中国を訪問して善隣友好を確認するなど、インドの安定化に向けての環境整備に力を注いだ。

 今回の政変で首相就任が確実視されるソニア・ガンジー国民会議派総裁は、総選挙後の会見で、前政権の外交路線を継承すると表明した。この「公約」を確実に実行し、早急にパキスタンとの対話を再開するよう期待したい。

 南アジアは世界の火薬庫の一つといわれて久しい。カシミール紛争は常に両国衝突の主要原因である。犠牲者の数は一九八九年以来、既に六万人を超え現在でも死者ゼロの日はないともいわれる。何としてでもカシミール地方に平和をもたらす手だてをしっかりと探らねばならない。

 バジパイ前政権は印パ融和への端緒をつかんだにすぎない。これを発展させ、「世界の火薬庫」の汚名を返上させるのが、新政権の優先課題である。

 国際社会でインドが重要な役割を果たすためには、ガンジー次期首相自身が明言したように「安定した政権」を成立させることができるか、にかかっている。

 ガンジー総裁はイタリア出身で、政治指導力は全くの未知数だ。国民会議派の基盤も盤石ではない。

 選管公式発表によると、下院の五百四十五議席のうち、会議派が百四十六議席、会議派支持勢力は二百十七議席にすぎず、左派共産党などの閣外協力があってようやく過半数が確保される。

 今回の政変は、貧困層の逆襲といえよう。バジパイ前政権の経済成長路線の恩恵はインド全体に行き渡らなかった。貧富の格差の増大、発展の遅れる農村地域など、一般庶民は不満を募らせていた。これが総選挙で一気に爆発した格好だ。

 こうした内外の諸問題に対応し地域安定に向けて、新首相がどのような力量を示すか見守りたい。

東京