【ねこまたぎ通信】

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条文超え米軍に特権 「地位協定の考え方」増補版入手

 琉球新報社は、外務省が開示を拒否している機密文書「日米地位協定の考え方」増補版を、19日までに全文入手した。同文書は1983年12月に外務省条約局条約課が作成。ミグ亡命事件や米軍駐留経費の日本側負担増(思いやり予算)、米軍犯罪の増加など基地問題の「状況変化」を踏まえ、「―考え方」(73年4月作成)を大幅に補加筆し解説を加え、協定条文を超えた米軍の特権を補強している。増補までの10年間で、沖縄などで基地被害が頻発。再発防止を求める住民や自治体の声も高まった。だが、米側に改善を求めるよりも、むしろ米軍の活動が地位協定上「容認できる範囲」とする、外務省の米軍擁護の地位協定解釈に終始する姿が浮き彫りになっている。

 増補版は「―考え方」から10年を経た83年12月に外務省条約局条約課の「担当事務官」が作成。「―考え方」(全135ページ)を259ページに増補し、10年間の「状況の変化」を踏まえ、主要条文について国会答弁や事例、解釈、解説などを「補加筆」している。注釈も117から214項目と、大幅に増えたのが特徴だ。

 増補版「はしがき」で外務省は「政府としての考え方を総合的にとりまとめた執務上の基本的資料として重用されてきている」と記述。同文書を地位協定の重要な逐条解説書と位置づけている。

 本文で外務省は地位協定の多くの矛盾、問題点も自ら指摘。「改定」でなく「解釈」で乗り切ろうとする姿勢や、国会で追及された場合、答弁に苦慮することが予測される点なども記載。外務省の本音や弱音、対米姿勢、日米関係の実態も詳述している。

 第27条「改定手続」(256ページ)では、駐留経費の軽減要求から国会での改正を求める質問の増加を指摘。その上で、外務省は「改正は考えていない」との政府答弁を紹介し、当時から否定的な見解を示している。

 増補版について、日米関係の研究者らは「中身は事実上の解釈改定。しかも米軍優先の基地使用を強化している」(本間浩・法政大教授)「安保を前提に米軍の活動を当然視し、日本の法支配の外に置くもの」(我部政明・琉大教授)と、あらためて外務省の対米追従姿勢を批判している。

 「―考え方」は今年1月1日に、本紙がその全容を報道。外務省は1月30日に、増補版の保有を認めたが、「日米関係に悪影響が出る」などとして、県や県出身国会議員らによる公開要求を拒んでいた。


琉球新報