【ねこまたぎ通信】

Σ(゜◇゜;)  たちぶく~~ Σ(゜◇゜;)

戦争に「大義」があった試しはない

週のはじめに考えるやはり『大義』なし

 やはりイラク戦争に「大義」はなかった。米英の議会調査委員会が戦争開始の理由に根拠がないと断定しました。米英首脳の責任が厳しく問われましょう。
 国際社会では早くから、イラク戦争は「大義なき戦争」だとの疑念が出ていました。
 米英情報機関による開戦前の活動を調査してきた両国の議会委員会の二つの報告書が、この疑念の裏付けです。
 「イラクフセイン政権が、最も殺人的な兵器(大量破壊兵器)を保有し、隠匿していることには疑いがない。イラクは国際テロ組織アルカイダ工作員らを支援し、訓練し、かくまっている」
 これが、ブッシュ米大統領が掲げた戦争開始の主な理由でした。
■情報分析に重大欠陥

 ブレア英首相も、対イラク開戦の半年前に政府報告書を発表し、「イラクは四十五分以内に生物・化学兵器を実戦配備できる」と強く訴えました。つまり、イラクが「われわれの安全に対する世界規模の脅威である」と強調したのです。

 開戦から一年半近くが経過しました。米議会の上院情報特別委員会の報告書は、米中央情報局(CIA)が戦争前に行った情報分析に大きな誤りがあったと断じています。

 イラク核兵器開発計画の再編、生物・化学兵器の開発、その運搬手段となる無人機の開発などについて、CIA国家情報評価書の内容がほとんど「過大評価(誇張)か、根拠のない判断だ」という結論を出しました。旧フセイン政権とアルカイダとの関係についても明確に否定しています。

 ただ、CIAがホワイトハウスからの政治的圧力を受け、意図的に情報分析を歪曲(わいきょく)したとの証拠はないと述べている。

 英調査委員会(バトラー委員長)の報告書も、英国情報機関の情報根拠に「重大な欠陥」があった、と指摘しています。

大量破壊兵器を否定

 戦争前のイラク大量破壊兵器の隠匿や使用計画などはなかったとハッキリ否定しました。「四十五分以内の実戦配備」も根拠がなく、政府報告書に盛り込むべきでなかったと明快な判定である。

 そこで出てきたのが「独裁排除」論です。米上院委の報告に、ブッシュ大統領は「フセイン政権のない世界の方がより安全だ」と、あらためてイラク戦争の正当性を主張し、強気の姿勢を崩していません。

 ブレア首相は「すべての責任を取る」と語りながらも「フセイン政権打倒は間違っていなかった」と米大統領に同調しています。

 二つの委員会報告書は、米英情報機関の「失態」を浮き彫りにしていますが、ブッシュ大統領やブレア首相の責任追及にまでは踏み込んでいません。

 バトラー委員長は「責められるべきは(情報などの)全体運用の問題である。個々の関係者には責任がない」と言い切っています。

 果たして、そうだろうか。

 米英情報機関による情報分析の重大な欠陥が明らかにされても、その欠陥情報を駆使し、国際世論の強い反対を押し切ってイラク攻撃を決定し、戦争を遂行してきたのは、米英の最高指導者ではないか。

 イラクでは泥沼状況が続き、明るい見通しは立ちません。一般民衆は戦闘に巻き込まれ、武装組織のテロ攻撃などによって、すでに一万人を超える犠牲者が出ているといわれます。イラク国民に安穏な日が来るでしょうか。

 イラク戦争は、国際社会に深刻な分裂と対立をもたらし、国連安保理の平和維持機能をマヒさせたうえに、国際テロ活動をいっそう助長し、活発化させてきました。

 米中枢同時テロから始まる現在の世界の不安を、イラク戦争でさらにかき立てた要素も考えれば、ブッシュ大統領とブレア首相は、その責任から逃れられないのは自明の理といえます。

 超大国の指導者は、世界に対して大きな責任があると自覚すべきでしょう。独善はもっとも避けなければならないものです。

 厳しい状況下で、イラクは先月末に主権移譲を受けました。

 暫定政府が発足し、来年一月までの直接選挙に向けての準備作業を進めています。「イラク人による祖国再建」へと動き出したのです。イラク復興を一層、加速化させていくためには、これまで以上に、国際社会の強く結束した支援と協力が要求されています。

 その意味からも、ブッシュ大統領とブレア首相が国際社会に対し、誠実な対応を示すことが両首脳の重大な責務なのです。

■大義もいろいろ?

 小泉純一郎首相が十分な説明のないままイラク戦争支持を表明したことに、国民にはなおスッキリしないものがあります。

 「大義なき戦争」と確認されたことを受けて、首相は今後どう対応していくというのか。「大義はいろいろ」では困りますよ。


東京