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米大統領：同時多発テロ　イラン関与の徹底調査を明言

　【ワシントン中島哲夫】ブッシュ米大統領は１９日、イランが０１年９月の米同時多発テロに関与していたかどうかを「徹底的に調べる」と明言した。同時テロの実行犯となった国際テロ組織「アルカイダ」のメンバー１９人のうち少なくとも８人にイラン入国歴があったためで、核兵器開発疑惑などをめぐり厳しい対立が続く米イラン関係の新たな摩擦要因になりそうだ。

　同時テロ実行犯のイラン入国情報は、この事件に関する米政府の対応を調べている独立調査委員会が２２日に発表する最終報告書に含まれる見通し。

　米メディアによると、旅客機を乗っ取ったグループのうち８〜１０人が００年から０１年にかけて、アルカイダのテロ訓練キャンプがあったアフガニスタンへの出入りの際にイランを通過した。パスポートに出入国スタンプを押さないようイラン当局者が指示した例もあり、これで米国潜入が困難にならずにすんだという。

　米中央情報局（ＣＩＡ）のマクローリン長官代行は１８日、米ＦＯＸテレビの番組で実行犯らのイラン入国を事実だと認めた。しかし同時に、イラン政府が同時テロに関与した証拠はないとも述べた。

　ブッシュ大統領は１９日、ホワイトハウスで記者団の質問に答え、「証拠なし」というＣＩＡ長官代行の発言を引用する一方で、イラクのテロ組織に対する支援歴や核兵器開発疑惑に言及。イランの脅威については大統領就任以来ずっと懸念してきたと強調し、「９月１１日（同時テロ）と直接関係があったかどうか決着をつけるため、事実関係を徹底的に調べる」と述べた。

　同時テロ実行犯のイラン入国情報は、ブッシュ政権が根拠希薄なイラクの旧フセイン政権とアルカイダの連携の可能性に注目しすぎたという批判も招いている。ブッシュ大統領の発言には、この批判をかわす狙いもあるものとみられる。

毎日新聞　2004年7月20日　12時13分