【ねこまたぎ通信】

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米兵に撃たれた少年 痛みで眠れぬ夜も

 【バグダッド山本紀子】重苦しい音をたて、米軍の戦車が通る。通りで遊んでいたアリサーラ君(13)は、友達と一緒に迷彩服の兵士を眺めていた。4月9日の午後のことだ。突然、兵士が銃をこちらに向け、発砲してきた。慌てて逃げたが、右肩に熱いものを感じて倒れた。もう走れない。

 兄が異変に気づき、母親(37)を呼んできた。母は頭に巻いていた白いスカーフをとり、旗の代わりに振りながら戦車に近づいた。米兵は黙って、コットンと包帯を差し出した。

 車で病院に運びたい、と訴えたが、「隊列が移動するまで待ってほしい」と言われた。アリサーラ君の肩から流れる血が道路を染めていく。「水がほしい」とつぶやく息子の頭をなでることしかできなかった。戦車の列が通り過ぎるのに10分かかった。

 電話線が遮断され、救急車が呼べない。近所の人の車で病院に向かったが、「薬がない」と断られ、入院できたのは3カ所目だった。

 「石を投げたわけでもない。にらんでたわけでもない。どうして撃たれたのだろう」。アリサーラ君は不思議がる。痛み止めが不足しており、夜は眠れない時がある。

 入院後しばらくしてから、数人の米兵が病床にやってきた。アリサーラ君に「ウィアー ソーリー」(悪かった)と謝った。「米軍は各病院を回って、イラク軍の傷病者がいないか調べているようだ。せめて薬でも持ってきてくれたらいいのに」。主治医はため息をついた。

毎日新聞4月21日] ( 2003-04-21-23:06 )