【ねこまたぎ通信】

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「彼をイラクに行かせないで」たった一人の街頭署名活動

「自分の恋人がイラクに行くことになったら。同じ世代の人たちにも考えてほしい」と繁華街で1人で訴えた=10日午前11時すぎ、札幌市中央区狸小路

 交際相手が自衛隊イラク派遣要員に選ばれた札幌と千葉の女性が、それぞれ1人で派遣反対の署名集めを始めた。政府が派遣を決めた今、どうしたら派遣を止められるのか。そんな気持ちから、師走の街頭に立つ。

 ■札幌で

 札幌市の中心街にある狸(たぬき)小路。商店など約200軒が並ぶアーケード街に10日午前、23歳の女性が立った。署名用紙を載せて首から下げた手作りの板には、「恋人を奪わないで」と手書きした紙がさがる。零下2.5度。降りしきる大粒の雪がアーケードの下に舞い込む。

 「私の彼がイラクに派遣されます。反対の署名に協力してください」

 彼とは今年の夏に知り会った。第2陣で派遣される見込みの第11師団(札幌市)の隊員だ。

 10月末、「イラクに行くことになった」と告げられ、驚いた。「断れないの?」「めったにない機会だから行きたい」。国際貢献活動に参加した隊員は、帰任後の処遇で優遇される。将来を考えての決断だった。

 訓練が多く、会えるのは2〜3週間に1度。いろいろ聞きたいが、「何も話せない」と口は重い。「イラクの人は、おれたちを敵だと思っているだろうな」。彼も、時折、不安を口にする。

 全国で反対署名を展開する運動を知り、署名簿とビラを取り寄せた。「とにかく何かしないと。でも、どこまでやればイラク行きを止められるのか、わからない」。初めて署名集めに立った10日、夜7時すぎまでかかって130人に署名してもらった。「頑張って」とねぎらってくれる人もいたが、「隊員を辞めたら」とも言われ、ショックだった。

 ■千葉で

 千葉県に住む30代の女性は、8日から県内の自宅近くのスーパーや繁華街で、署名活動を始めた。隊員の彼は同世代。2カ月ほど前、派遣を打ち明けられ、「不安にさせるから別れた方がいい」とも言われた。

 行ってほしくない気持ちは伝えたが、彼は悩んだ末、厳しい訓練に耐えてきたことを無駄にしたくないと、決意したという。聞きたいことはいっぱいあるが、話が堂々めぐりになって、彼を悩ませるから聞けない。

 「このまま何もしないでことが過ぎていくのは耐えられない」と、署名集めを始めた。8、9の両日で約160人。「こういう思いをしている人がいることを、たくさんの人に知ってほしい」と訴える。 (12/11 06:14)

asahi