【ねこまたぎ通信】

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イラク情勢ニュース

2004年 9月6日 月曜日      (転送・紹介歓迎)

[飛耳長目録]

☆★イラクの都市は一つまた一つと米軍立入禁止に
 One by One, Iraqi Cities Become No-Go Zones

ニューヨーク・タイムズ 9月5日 By DEXTER FILKINS
http://www.nytimes.com/2004/09/05/weekinreview/05filk.html

 バグダッド発:
 最近開かれた部族長グループとの会合で、ある米軍司令官は、最近になってイラクの都市が反乱勢力の掌中に入っていくことについて、あからさまな欲求不満を口にした。

 「皆さんがテロリストを追い出すのに協力してくれるまで、アメリカの納税者の金は皆さんの街には1銭も落ちませんよ」−−ティクリートにある米軍基地で、ジョン・バティスト少将は確認するようにテーブルを軽くたたきながらこう話した。

 部族長たちは頷(うなず)き、笑顔を見せながら退散し、彼らも米軍も長いこと掌握できていない街へと戻っていった。

 議論になっていたのは、バグダッドの北方にある主要都市で、164フィートの輝く9世紀の光塔の街として知られるサマッラのことである。

 サマッラはスンニ・トライアングルと呼ばれる地域の心臓部にある。そこは最近になって、もし反乱勢力が掌握することになっても、米軍は引き揚げることが勇気ある選択だろうと判断したばかりだ。

 イラクでは、アメリカ軍が撤退するか、めったに訪問しないと決めた都市のリストが膨らんでいる。すなわち、

  ファルージャ ここではタリバンに似た政体が聖職政治をおこなってきた
  ラマディ ここではスンニ派の反乱勢力が市を管理しているように思われるそしてイラク南部にいけば、シーア派の聖都である
  カルバラとナジャフ  ここでは先月になって聖地であるアリ廟とフセイン廟に米軍は近づかないことで合意した

   訳注: 「タリバンに似た・・・」というのは米国側の評価で実際を反映していないと思われる。以下同じ。

 さらにもっと多くの地域でも、アメリカ軍に撤退するよう求める要求があがってきており、特に聖職者サドル師の拠点でもあるバグダッド東部に広がるサドルシティーもそうである。

 そこではマフディ軍の指導者が、復興作業のために派遣される者を除いて、アメリカ兵の退去を要求している。

 先週開かれた反乱勢力の指導者との交渉は、まさしく同地域にアメリカ兵が立ち入る自由をめぐるもので、失敗に終わった。イラク政府は、おそらく米軍の後押しを受けて、民兵(市民軍)の要求を拒否した。

 そうであったとしても、争点はひじょうに鮮明だったようだ。

 イラク人がいったん居住地域の安全確保としてアメリカ兵に寛大に対処したところでは、彼らはますますアメリカ兵をもめごとの原因とみなすようになっている。

 イラク人は、アメリカ兵を連れ出せ、そうすれば問題もなくなると話す。われわれだけにまかせてくれ、そうすればわれわれが自分たちで問題に対処する。

 サドル師の一番の側近であるユセフ・ナシリは、「私たちが求めているのは、アメリカ兵の退去だけだ」と指摘した。「アメリカ兵が街のなかにやってくると、彼らは私たち住民を侮辱する。住民が神経質になるのはそのためだ。不愉快になる」。

 イラク人が彼らの都市と居住地は米兵がいないとうまくいくと確信しているのは、新しいことでも驚くべきことでもない。17ヶ月になるゲリラの反乱は、すべてそのことに関係している。

 しかし新しいこととして、特定のケースでは、米軍も同意しているように思われ、そうでなければ、あまりにコストが高くつくと判断している。

 米軍の撤退はイラク西部、ファルージャで始まった。

 ここではアメリカ人契約者(警備会社に雇われた傭兵:訳注)4人が殺害され、遺体を損壊されたあと、4月に米海兵隊が包囲攻撃をおこなった。

 海兵隊は市の中心部が見えるところまで迫ったが、住民600人が殺害されたという報道に刺激されて大衆的抗議がおこったあと、彼らの攻撃はとりやめられた。

 そのとき以来、元バース党の将校団が管理するという米軍の計画が崩壊し、市は今では「聖戦士のイスラム評議会」と呼ばれるイスラム原理主義グループによって運営されている。

 アメリカ軍は市内に入ることはない。

 ここ数ヶ月、その周囲の他の地域(アンバル州)はアメリカ軍の統治からスルリと抜けだした。

 反乱勢力は州都ラマディを自由に歩きまわり、アメリカ軍は市内への常駐をあきらめたようにみえる。

 かつてシーア派地域と親交の深かった地域においてさえ、アメリカ軍は市外に出ていてほしいという地元の要求に屈している。

 米軍戦闘機がマフディ軍をカルバラとナジャフの聖廟から排除しようとしたとき、それぞれの和平協定のための条件はアメリカ軍の撤退であった。

 もちろん、ファルージャやサマッラからの米軍撤退と、シーア派地域の都市での撤退とは、大きな違いもある。

 カルバラとナジャフでは、アメリカ軍がイラク警察署までの道路を掃討した。

 サドル・シティをめぐる戦いは、まさに今、イラク人警察とマフディ軍と、どちらがこの地域を管理するかをめぐってのものになっている。イラク警察がサドル派民兵の前に撤退し、マフディ軍が約束を破ったるのを監視していたアメリカ軍は、明らかに最悪の事態になることを恐れていた。

 一方、ファルージャやサマッラ、ラマディのような場所では、アメリカ軍とイラク政府はその影響力を失ってしまったようにみえる。この3都市の住民は、そろって、反乱勢力が市を掌握しているという。

 例えば、ファルージャは反乱勢力とテロリストの非難場所になっており、自動車爆弾や民間人誘拐の実行犯だと思われるザルカウィもそのなかに含まれるとアメリカ軍は信じている。ファルージャでは反乱勢力が規制を受けずに正義の看板をかかげ、盗みとレイプの容疑者を公開の鞭(むち)打ち刑にしているらしく、市警備部隊の指揮官の一人シュレイマン・マラウィの斬首が先月録画された。
  (訳注: この段落の信憑性も疑問。)

 そのなかで最も重要なことは、これらの諸都市からの撤退は来年1月末までにおこなわれる予定の総選挙の実効性に疑問を抱かせるということだ。

 当面は、アメリカ軍はファルージャとラマディのような都市を除いて選挙を準備しているようにみえる。しかしスンニ派アラブ地域の主要部分を総選挙から閉め出すことは、その正当性に重大な疑問を生じさせる。

 既に国内スンニ派の指導的な団体であるスンニ派教徒の聖職者協会は、事実上の議会の役割をはたす国民大会議という選択肢をボイコットした。

 協会の一員でスンニ派の指導的聖職者であるアブドル・サラム・アル・クバイシは、「選挙は偽りのものとなると思う」と話した。

 米軍指揮官は、1月の選挙前に、これら何カ所かの立入禁止地域への米軍支配をあらめて宣言したがっているとみられる節がある。純粋な軍事用語で言えば、彼らはそうできることを少しも疑っていないのである。

 ファルージャでは、ある海兵隊指揮官がこう言った−−彼が部下に4月の攻勢を停止するよう命令したとき、部下たちはもう2、3日で市の中心部を掌握できたのに、と。

 しかし、そのときはそうであっても、今ではどれだけの犠牲を払うのかという疑問がある。アメリカ兵の生命だけでなく、もしイラク人の犠牲者が増大する場合の、アメリカに対する信頼の問題でもあるのだ。

 第1歩兵師団の広報官ニール・オブライエン少佐は、「必要とされれば、われわれは明日にでもサマッラに侵攻することができる」と言った。「しかし、われわれはイラク人によって解決されるのを望む」。

 米国のリーダーシップという問題に直面して、問題はファルージャとサマッラのような場所で、米軍に受け入れられるイラク人による解決策があるかどうかということである。
 (ジョンF.バーンズがこの記事の取材に協力した)


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