【ねこまたぎ通信】

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・イラクの反乱: 米占領体制の全般に危機的影響及ぼす

2004年 4月20日 火曜日   □□□□ □■  (転送歓迎)

きょう紹介するニュース&報道
  ・イラクの反乱: 米占領体制の全般に危機的影響及ぼす
           ワシントン・ポスト 4月18日 英字報道から訳
  ・その他/6カ国が撤退検討/緊急事態の中での「判断」


  ☆★ファルージャとサドル、米占領体制の全般に危機的影響

●Revolts in Iraq Deepen Crisis In Occupation
イラクの反乱で占領体制の危機深刻
ワシントン・ポスト 4月18日 
      By Rajiv Chandrasekaran and Karl Vick (ポスト記者)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A20690-2004Apr17.html

 バグダッド発/この2週間、イラクの激しい反乱はアメリカが任命した文民行政府を孤立させ、アメリカが計画する再建活動をストップさせた。アメリカ及びイラクの当局者によれば、待ち伏せ攻撃と誘拐にCPAの契約企業が立ちすくんだからだ。こうした反乱はイラクでの作戦地域をひじょうに拡大させるようアメリカ軍に圧力をかける一方、米軍の替わりに配置される予定だったイラク人治安部隊を部分的に崩壊させる引き金にもなった。
 そのような危機はスンニとシーア双方におよぶ反乱への支持を喚起しており、アラブとクルドの間の緊張をも高めてきた。

 米当局者は、民衆蜂起は基本的にファルージャナジャフにおける軍事衝突として抑制できるだろうとみていた最初の評価を、見直しているところだと述べた。ファルージャは日常的に不安定な都市として米海兵隊が包囲しており、ナジャフシーア派聖職者サドル師の民兵組織がモスクの陰に避難している。

 イラク政策にかかわるアメリカ高官は、「ファルージャ問題とサドル問題はわれわれが予期していたよりももっと広い衝撃を走らせた」と指摘した。

 バグダッドとワシントンでは、関係当局者がこの二つの問題への処置は普通のイラク国民には大きな憤りを生じさせないだろうと判断していた。「サドル支持者とファルージャ住民は別個のものと見られ、イラク人のあいだに幅広い支持はないと考えていたのだ」とこの高官は述べた。彼が言うには、だがそうではなくて、「影響は深刻なものがあった」という。

 アメリカ高官と契約を請け負った民間企業によると、事件はアメリカが立案したイラク復興をほぼ停止に近い状態にしたという。

 民間契約企業で働く何千人ものスタッフが、アメリカ占領当局も本部を置く要塞化されたグリーンゾーン一帯に監禁同然にされたのだ。発電所や水道施設、その他イラクの崩壊した社会基盤を修理するための定期点検でさえ、武装した護衛に守られるとしても、ゾーンから出るのは余りに危険すぎると思われている。

 問題を複雑にしているのは、反乱した人々が占領当局や契約企業で働くイラク人に対して報復しようとしているのではないかという恐れが強まっていることだ。たとえ他の場所に有利な仕事がないとしても、何十人ものイラク人がグリーンゾーンのメンテナンス要員とか補助要員、あるいは通訳として仕事に姿を現すことを止めてしまった。

 バグダッドにいる別のアメリカ高官は、治安状態が「復興事業に劇的なくらいの影響を及ぼした」と指摘した。「イラク人スタッフが働く予定の日にわずかな少人数しか出てこないもとで、ゾーンに閉じこめられたままの者にどうして国の再建ができるだろうか?

 従業員の仕事を縮小した企業のなかには、イラクの民間契約企業の最大手2社もある。すなわちベクテル社ケロッグ・ブラウン&ルート社(ハリバートンの子会社)である。

 イラク各地に市評議会を設置するのを手助けしてきたリサーチ・トライアングル研究所は、イラク人以外の従業員の約40%にあたる80人のスタッフを、危険予防措置としてクウェートに移送した。

 安全上の懸念は60億ドルの事業を妨害したことになった。それはアメリカのテコ入れを受けて、大勢の失業した若者を仕事に就けることで治安の改善に役立つつもりだった一連の建設事業である。あるアメリカ高官は、「われわれは(反乱指導者から)彼らが得ている金銭的誘いに負けない厚遇をイラクの人々に提供するつもりだった」と説明した。「しかし八方ふさがりだ。治安改善まではそれを手助けしようと思ったのに、肝心の仕事を始めることができない」。

 反乱勢力もイラクの主要な宗派と民族グループのなかで新しい同盟(と緊張)を生じさせているようにみえる。レジスタンスの最も目立つ指導者はサドルであり、長い間、彼のアピールは失業している若者に限られていたと思われた。そのようなシーア派の若者が彼の民兵組織マフディ軍を作った。しかし、驚くべき事態の進展のなかで、彼のポスターが以前には彼にほとんど興味を示さなかったスンニ派のモスクに登場しはじめたのだ。

 このような連携現象は、比較少数派であるスンニ派教徒と、多数派であるシーア派コミュニティーが衝突する可能性を低下させてしまった。しかし、それと別の内戦への懸念が生じたのは、イラクのクルド族が米海兵隊の側に立って反乱勢力と戦っているという報道によってだった。ファルージャから出てきたゲリラは、クルドの民兵組織が配備されたとひどく不満を言った。

 クルド人イラク民間防衛軍第36大隊のメンバーである、それはサダム・フセインと戦ったアメリカの作戦に協力した亡命者の民兵組織から作られた。圧倒的にアラブ人であるもう一つのイラク軍の大隊司令官は、米海兵隊の側にたって戦うことを拒否した。

 「ブタよりも、盗賊や放浪よりも悪いことだ」という詩の数行が、キルクークでチラシになって出回っている。イラク北部のこの街では、クルドはアラブ人家族を土地から追い立てていると告発されている。このチラシはイラクの二つのクルド政党指導者を非難したものである。誰がこのチラシを作ったかは判らないが、それはバグダッドでもまた見かけられた。

 クルド族の指導者は、バグダッドの主要なスンニ派モスクの金曜礼拝に続く詠唱でも非難された。

 アブ・タイフ・マシュハダニと名乗るレジスタンス戦士は、「ファルージャでの戦闘が終わったら、私は持ち物を売り払うつもりなんだ」と言った。彼は2週間前、ファルージャで米狙撃兵から撃たれて死んだ8歳の娘を思いだして泣いた。「クルド人と戦うために兄弟を北に送り、私はアメリカに行って市民を標的にしようじゃないか。目には目を、歯には歯をだ。そして、それを最初に始めた者が非難されるべきだ」。

 サドルとの、そしてファルージャでのアメリカの衝突は、アメリカが任命したイラク統治評議会イラク人自身からいっそう孤立させたという点でも、政治状況を混濁させてしまった。

 米軍がサドルの民兵と衝突し、海兵隊ファルージャを包囲した直後の2、3日は、評議会メンバーは公式にはほとんど発言しなかった。彼らのほとんどは反乱と民兵組織に注目しているにもかかわらず、聖職者を非難したり強硬な反乱対策を支持したりして思いがけない危険を冒したくなかったのだ。

 ところがバグダッドの路上でも、多くのイラク人が、沈黙はアメリカの方針への暗黙の了解と同じだと言い始めた。彼らの説教において、聖職者たちはブッシュ政府がイラクの新しいリーダーと期待する統治評議会メンバーを叱責した。

 バグダッドのサドル・シティーにあるモスクでは、国防省顧問に最近指名されたシーア派の医者で統治評議会メンバーであるモワファク・ルバイエが、裏切り者、「汚水溝担当大臣」と嘲笑された。

 危機は、より急進的なシーア、スンニ両派の政治指導者の地位を押し上げるのを助けた。

 1980年代から90年代に南部の湿地帯でフセイン軍へのゲリラ攻撃を指揮したことのあるシーア派の部族長アブドル・カリム・ムハンマダウィは、アメリカの政策に同意しなかったことを理由に統治評議会入りを保留にされたあと、多くのシーア派教徒から信望を得ることになった。アメリカ高官はムハンマダウィを昨夏評議会に選出したが、ここ数ヶ月は彼がイラク南部の武装民兵を支持したことで愉快ではおれなくなった。

 イラクイスラム政党指導者のモフセン・アブドル・ハミドは、ファルージャの和平交渉を仲介しようと努力したことで、評議会内の最も影響力アルスンニ派メンバーとして登場することになった。しかしハミドは、アラブの数カ国で禁じられているムスリム同胞団(スンニ派の原理主義運動)に関係しているとして、ここ数ヶ月はアメリカから評価を落とされていた。

 イラク人の占領当局アドバイザーは、「評判を得るようアメリカが期待した政治家は、アメリカが評判を得させまいとした人物に負けてしまった」と表現してみせた。「それはまさしく彼らが望まなかった結果に終わった」。明らかに、戦闘がイラク人社会と米国人行政官に任命された行政当局との隔たりを広げてしまった。

 バグダッドでは、複数の救急車と病院がファルージャからの負傷者を受け入れたが、アメリカ兵が大きな医療センターから負傷者を逮捕していっているというウワサのなかで、人々はファルージャからの患者をより小さな個人病院や民家に隠した。

 バグダッドのヤルムーク地区にある公共病院で受付をするリアド・モハンメド・サレフさんは、「私たちは彼らを保護しなければならない−−そうしなくては」と話した。「私たちは彼らが普通の市民だと判断している」と。

 レジスタンスを支持する人々の広がりは明確ではない。しかし、ファルージャナジャフの包囲前におこなわれた全国的な調査では、ますます多くのイラク人が米軍を解放者ではなく占領者と見なしている。アメリカ軍の信望はファルージャとラマディの街では特に低い。

 独立系の調査機関であるイラク戦略研究・リサーチ・センターのサドゥーン・デュラム所長は、「アメリカ軍がこうした地域への攻撃を強めると、いつでも、そこの住民はますます強硬になり、さらには戦闘に駆りたてられる」と話した。「もし米軍がナジャフに侵攻すれば、それこそ深刻な問題が生じるだろう。なぜなら彼らはファルージャ住民からの影響を受けるだろうから」。

 さらに広範な反乱があると米兵はいっそう試されることになる。それは先週、バグダッド南部から名目上はポーランド軍指揮下の国際部隊が管轄する地域に広がったことによって、作戦地域をひじょうに拡大せざるを得なくさせた。

 祖国に帰還する準備をしていた幾つかの部隊が、クウェートから呼び戻された。司令官たちは、反乱者によるハイウェイ通行中の武装車列への攻撃が精度を上げ、連携をとりながら展開されていることに驚いている。

 金曜日には、合同軍の飛行機が対空砲火による攻撃を受けたと報告した。それは尋常のことではなかった。同じように酔いを醒まされたことは、ゲリラ攻撃に子どもたちが役割を演じているという報告だった、と司令官は話した。バグダッドで、13日、6〜7歳の女の子がハイウェイをまたぐ陸橋から爆破物を投下したという。

 一人の司令官ファルージャ市外で同様の攻撃を受けて死んだ。その時、彼の車列は牛を引く女の子がハイウェイを横切っていたので速度を落としたところ、待ち伏せ攻撃を受けたのだ。

 (バグダッドからトーマス・リックス記者がこの記事に協力)


☆★37カ国が部隊展開 6カ国が撤退検討
毎日新聞 4月19日 22:26  (詳しくは下記URLへ)

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20040420k0000m030124000c.html
 イラクでは現在、米英を中心に37カ国が部隊(医療、工兵隊含む)を展開している。中部ナジャフに駐留するスペイン軍が撤退すれば、同地域で協力してきた中南米諸国の「ドミノ撤退」につながりかねない情勢だ。また、イラクで死傷者を出したポーランドなど、さらに国内にイスラム過激派勢力を抱える東南アジア諸国でも次第に撤退論は高まっている。 ・・・

● 〈コラム〉経済気象台  緊急事態の中での「判断」
朝日新聞 4月19日
http://www.asahi.com/money/column/TKY200404190192.html
 ・・・  NGO関係者はこの緊急事態の中でかなり適切な行動をとったと思う。人質が自衛隊派遣に無関係で、イラクの人々の支援活動をしてきた人々であることをアラブのメディア、宗教者、諸団体に精力的に伝えた。事態を好転させた要因にこの草の根の努力があった。 「被爆体験のある日本はイラク人の苦しみを理解できる」などのイスラム指導者の発言に私たちは多く接した。アラブメディアが3人の活動、家族の苦しみを積極的に報じた。自らの困難にもかかわらず、恥ずかしくなるくらいに日本に信頼を寄せ奔走してくれたイラクの人たち。その友情の中でこそ、私たちは我が国の今後を熟慮しなければならない。(草)

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