政府 『靖国』飛び火懸念 サッカーアジア杯・反日やじ問題

　サッカーのアジア・カップで日本代表が中国人観衆から激しいやじを浴びている問題に、政府が頭を痛めている。政府は中国当局に善処を求めているが、この問題が沈静化しなければ、原因の一つとして、小泉純一郎首相の靖国神社参拝への批判が強まることにもなりかねない。日本と中国が直接対決する七日の決勝戦が無事終わるよう、祈るような気持ちで見守っている。

　四日昼、首相官邸で開かれた閣僚昼食会では、アジア杯の決勝戦が話題となり「異常な過熱で暴力ざたが起きたりすることはあってはならない」といった懸念の声が相次いだ。

　政府は三日、外務省の薮中三十二アジア大洋州局長が中国大使館の程永華公使に「反日感情をあおることがないようにしてほしい」と要請。これに先立っても二回、中国側に改善策を求めた。

　政府関係者は、試合会場となった重慶や済南が、日中戦争当時、多くの市民が犠牲になった地であることが、こうした激しい反日感情が噴き出す大きな理由だとみている。決勝は北京で行われることから楽観視する向きもあるが、対戦相手が中国と決まっただけに、日本へのやじがエスカレートする可能性も否定できない。

　この場合、日中間の政治問題にも発展しかねないと同時に、なぜ中国人が激しい反日行動をとるのか、という「原点」もあらためて問われることになる。

　そうなれば、まずやり玉に挙げられそうなのが、首相の靖国神社参拝。「首相の靖国参拝に反発する中国政府の意向が、影響しているのではないか」との見方も政府には少なくなく、参拝問題への“飛び火”を懸念する声も出ている。

　首相は四日夜、決勝戦について記者団に「おもしろい試合になりそうだ」と語る一方で「できるだけ友好的にしてもらえれば…」と語った。

東京

●友好的にしなくちゃならんのは，まずお前だろ．