韓国人人質、殺害される 韓国政府が遺体確認

韓国・釜山で２３日、金鮮一さん殺害の知らせを聞き号泣する両親＝ＡＰ

　カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは２２日午後９時（日本時間２３日午前２時）、イラクで武装グループに拉致されていた韓国人会社員金鮮一（キム・ソンイル）さん（３３）が、首を切断され殺害されたと報じた。韓国政府も同日、キムさんの遺体を確認したと発表した。武装グループは韓国軍のイラク撤退と追加派兵中止を要求し、「応じない場合は男性を殺害する」と予告。韓国政府は追加派兵方針を再確認していた。

　アルジャジーラは、銃や大きな刀を持った５人の男が、オレンジ色の服を着て目隠しをされ、ひざまずいた金さんらしい男性を前に声明文を読む場面を繰り返し放送。犯人は「韓国が我々の警告を無視したので殺す。韓国軍はイラク人のためではなく、呪われた米国のために来ている」と宣言した。ＡＦＰ通信によると、この後に殺害場面も映っていたが、同局は放映しなかった。

　犯行グループは過激派組織「タウヒード・ワ・ジハード（統一と聖戦）団」を名乗っている。同組織は最近のイラクでの自爆テロ事件などで犯行声明を出しており、米軍は国際テロ組織アルカイダ幹部とされるアブムサブ・ザルカウィ氏がかかわっているとみている。

　韓国政府によると、同日午後５時２０分（日本時間午後１０時２０分）、イラクの米軍当局が韓国軍に対し、「バグダッドから約３５キロファルージャ方面に向かう場所でアジア人と見られる遺体を発見した」と連絡してきた。その後、韓国大使館が遺体を金さんと確認した。

　金さんは１７日、ファルージャ付近でイラク人職員とトラックに乗っているところを拉致された。

　犯人側は当初、殺害期限を２１日の日没までとしていた。しかし、イスラム宗教者委員会が解放交渉の仲介に立つなどし、期限が延期されたと報じられていた。

(06/23 10:31)

あさひ