【ねこまたぎ通信】

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解放でも政府ピリピリ 診察の医師口止め、会見克明メモ

 イラクで取材中に拘束されて解放されたフリージャーナリスト安田純平さん(30)と市民団体メンバー渡辺修孝さん(36)は19日午前9時(日本時間同午後3時)、モスクワ経由で帰国の途に就く。前代未聞の事件の被害者だった人質の5人は、拘束から解かれて自由になると、「世間を騒がせた人物」という微妙な立場も加わっていた。日本政府は3人については保護し、2人については突き放しつつ、発言を警戒。家族も本人の立場に合わせて、微妙な対応を迫られている。
 「今しがた日本の警察の外事担当者に事情を聴かれた。帰国してから警察に呼ばれるより、ここで調べを受けた方が楽かと思って応じました」
 18日夕、アンマン市内で渡辺さんは苦々しそうに話した。事情聴取は、在ヨルダン日本大使館で行われ、拘束時の状況から、武装勢力の言葉遣いにいたるまで細部に及んだという。
 2人について、外務省は表向き「イラク出国後の行動はご本人たちの自由で、外務省から何かを要請することはない」という立場を取った。だが、アンマンの空港に2人が到着すると、大使館員数人が出迎え、用意した車で大使館に直行した。2人はおにぎりと卵焼きとから揚げでもてなされ、その合間に警察の聴取を受けた。
 大使館内で3時間過ごした直後、2人はアンマン市内で記者会見に臨んだ。冒頭、迷惑をかけたことをわび、「事件の詳細をコメントする段階にない」と口をそろえた。
 1時間を超す会見の間、記者団の背後で、外務省職員が克明に一問一答を書き留めていた。
 2日先に解放された高遠菜穂子さん(34)ら3人については、バグダッドでも東京でも、その肉声を聞く機会が設定されなかった。3人が人質にされたことによって大きな精神的ショックを受けたことが理由だった。
 「こんな事件の直近直後に(人質本人が)イラクに戻りたいというのは論外」「イラクに熱い思いを寄せるのは尊いが、思いをどのように行動に移すかはよく考えてからにして」。逢沢一郎・現地緊急対策本部長(外務副大臣)は3人に反省を促し、「外務省は3人の会見をセットする立場にない。会見よりいまはまず休養が必要だ」と述べて、記者団の会見設定要請を退けた。
 3人が健康診断を受けたドバイの病院の医師は、朝日新聞の取材に「3人の様子については日本大使館から取材に応じないよう求められている」と語った。
 ドバイから関西空港に向かう機内では、最後尾の列に人質3人が座った。その前の4列の空席を挟んで外務省関係者が横一列に着席。さらにその前4列を空席にするという「隔離シフト」が敷かれた。取材記者らが座った席からは、人質が目覚めているかどうかすら確認できなかった。 (04/19 14:28)

あさひ