【ねこまたぎ通信】

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『イラク開戦は違法』 ブリクス前査察委員長と会見

 【ストックホルム=沢田敬介】イラク戦争開戦一年を前に、イラク大量破壊兵器査察を指揮した国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のハンス・ブリクス前委員長は本紙との会見に応じ、米政府高官からの圧力やニューヨークの事務所、自宅の電話が米政府機関によって盗聴されていた疑いを具体的に明らかにした。また、米英によるイラク攻撃について「正当化できるとは思わない」と述べ、国際法上、違法との認識を強調した。 

■「決議違反」発言を強要

 ストックホルム市内の自宅で会見に応じたブリクス氏は、イラクが保有していた無人偵察機などを国連決議違反と言うように、米国務省のウルフ次官補(不拡散問題担当)から迫られた、と語った。さらに、UNMOVICの内部資料の写真を米政府がひそかに入手していた事実を明らかにし、「米国が不法に手に入れた疑いがあり、不愉快だった」と述べ、ファクスが傍受されていたとの認識を示した。

 また、米英政府が一九九一年の湾岸戦争時以来の国連安全保障理事会の決議を援用してイラク戦争を「合法」としている点を強く批判。「決議違反と判断する権限は、(個々の理事国ではなく)安保理にある」と述べ、大量破壊兵器保有の証拠が見つからない中で、米英が安保理決議を独自に解釈し、イラク攻撃に踏み切ったことを非難した。

 その上で、「フセイン元大統領はイラク国民には脅威だったが、昨年三月時点で近隣諸国さえイラクを脅威とみておらず、世界にとっても脅威ではなかった」と指摘。イラク大量破壊兵器の脅威を大義に掲げたブッシュ政権の先制攻撃戦略に強い懸念を表明した。

 さらに、疑わしい船舶や航空機を加盟各国が臨検する、ブッシュ大統領の新たな大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)についても、プルトニウムを小分けし、隠されれば発見には限界があると指摘。「拡散を食い止める主要な方法になるとは思えない」と、その効果を疑問視した。