【ねこまたぎ通信】

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パレスチナ:新内閣発足で合意 アラファト議長と新首相 

 【エルサレム樋口直樹】パレスチナ自治政府の初代首相に任命されたアッバスパレスチナ解放機構(PLO)事務局長とアラファト自治政府議長が23日、新内閣の発足で合意した。米国などは新内閣成立後、中東和平実現への具体的な道筋を示す「ロードマップ」(指針)を提示する方針で、和平交渉の再開に向け前進することになる。だが、閣僚人事をめぐりアッバス氏とアラファト議長が鋭く対立したこともあり、自治政府内の権力闘争が和平交渉の行方に影を落とす可能性もある。

 パレスチナ自治区ラマラのアラファト議長府では、引き続き閣僚人事などの細部について詰めの協議が続いている。だが、アラファト議長の側近によると、焦点の内相ポストはアッバス氏が兼務し、同氏の信頼が厚い元ガザ地区保安警察長官のダハラン氏が、治安担当国務相に起用される見通しという。

 アッバス氏は対イスラエル武力闘争の継続に否定的な穏健派とされ、アラファト議長との交渉を拒む米国やイスラエルは、新内閣の発足に多大な期待をかけている。これに対し、武力闘争と和平交渉を巧みに使い分けてきたアラファト議長と主流派ファタハの幹部らは、「アラファト色」一掃を狙ったアッバス氏の閣僚人事に強く反発してきた。

 中でも治安担当ポストの人選では、ダハラン氏を内相または治安担当国務相に起用したいアッバス氏に対し、アラファト議長は側近のハサン内相再任を主張。一時は交渉決裂の危機に直面した。

 こうした事態を憂慮した米国は「アッバス氏が強力な新内閣を発足させ、自治政府改革や治安回復に取り組むことは、パレスチナ人の利益になる」(バウチャー米国務省報道官)と表明。英国や欧州連合(EU)もアラファト議長に対し、アッバス氏の組閣を阻害してはならないとのメッセージを送ってきた。

 ダハラン氏の治安担当国務相への就任が実現すれば、アラファト氏は国際的な圧力の下、妥協したことになり、アッバス氏への権限委譲が進むとみられる。

 アッバス氏は先月19日、アラファト議長から初代首相に任命され、正式に受諾。パレスチナ評議会(国会に相当)で新閣僚の承認を得て、首相に就任する見通し。

毎日新聞4月24日] ( 2003-04-24-02:33 )