【ねこまたぎ通信】

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大統領、渡航注意勧告を非難 インドネシア

メガワティ大統領は14日、バリ島で開会した太平洋アジア観光協会(PATA)第52回年次総会で、各国がテロ対策の一環として出している渡航注意勧告について「非生産的な方法だ」と強く非難した。バリ島爆弾テロの経験から、勧告が観光業界に大きな損失をもたらすことを学んだとして、各国に見直しを求めている。
大統領は開会演説の中で、「ある国が別の国への渡航者に注意や延期を促すという方法は非生産的だ」と非難。渡航注意勧告は過剰防衛であり、テロへの行き過ぎた恐怖心を示すものにほかならないとして、出席した各国代表に見直しを求めた。

このほか昨年10月のバリ島テロ事件後、同島の観光業が相次ぐ渡航注意勧告で深刻な不況に見舞われた例を挙げて、「勧告はテロの脅威を減らさないばかりか、かえって観光などの経済活動に悪影響をもたらす」とも指摘。各国政府の関係者に対し、テロは怖がるべきものではなく戦うべきものであると呼び掛け、バリ事件の捜査でインドネシア国家警察が挙げた犯人逮捕などの成果を強調した。

今回のPATA総会については「全世界が政治の不安定、テロのまん延、経済不況といった情勢に見舞われる中、時局に合った開催だ」と評価し、今回の総会を通じてインドネシアの観光業界が自信を取り戻すことを期待したいとも述べている。

バリ島ヌサドゥアの国際会議場で開催される今回のPATA総会には、42カ国から観光大臣などの政府関係者や観光・運輸業者ら972人が参加。17日までの期間中、高級レベルの事務協議やアジア太平洋地域の業者会合が開催される。PATAのピーター副会長によると、今回の総会では東南アジア諸国連合ASEAN)などがすでに実施している域内各国の相互協力が中心議題となる見込み。

今総会の開催に当たっては、バリ州警察が3,500人を動員して厳重な警備を敷いているほか、新型肺炎SARSへの対策としてマスク配布なども実施。主催者側によると、今回の総会ではSARSを懸念して70人が出席を取りやめたという。

■外国人観光、95%キャンセル

インドネシア各地ではイラク戦争SARSの懸念が浮上して以降、回復途上にあった観光業界が再び深刻な打撃を被っている。インドネシア旅行業協会(Asita)によると、ジャカルタでは外国人観光客のキャンセル率が現時点で95%にも達しているもようだ。

同協会のヘルナ・ジャカルタ支部長が地元紙ビスニス・インドネシアに語ったところによると、特に影響が深刻なのは大手の旅行代理店で、外国人向けツアーのほかインドネシア人の海外旅行も90%がキャンセル。Asitaでは国内の代理店に対し、主要事業インドネシア人向けの国内旅行にシフトするなどの対策を早急に取るよう呼び掛けている。

またバリ島の代理店ウィタ・ツアーズのルディアナ社長は、今年3月に同社が取り扱った日本人観光客はわずか6人で、前年同月の約1,000人から激減したと説明。外国人ツアーはすでに壊滅的な状況となっており、唯一の希望は3月に前月比10%増を記録した国内の観光客だけと述べている。

シンガポールに近いビンタン島のラゴイ・ビンタン観光地区でもホテル稼働率が6%まで落ち込み、同地区にある7つのリゾート施設のうち、ビンタン・ラグーン(ホテル417室、ビラ51軒)は20〜50室しか稼働しない状況。同リゾートのアルディ社長は、主な顧客層が香港やシンガポール、台湾などSARS発生地域の観光客であることから、状況が改善するまで業務の一時閉鎖も検討するとしている。

<メモ>

太平洋アジア観光協会(PATA)

アジア太平洋地域の旅行・観光業の協力機関として1951年に設立。約100の政府や州・都市の観光機関、55の航空会社、数百の旅行業者が加盟する。