【ねこまたぎ通信】

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米業界はイラク戦特需、バブル崩壊のIT産業も

 【シリコンバレー=館林牧子】イラク戦争で、米軍は、精密誘導兵器に代表される高度な軍事技術を見せつけている。冷戦後の新たな脅威に対抗しようと、ラムズフェルド国防長官が率先して進める「軍革命」の成果だ。そこには様々な先端技術が取り入れられており、大手の軍事メーカーだけでなく、多様なベンチャー企業にも軍需の恩恵が表れている。
 開戦から3週間で、米軍は1万2000発以上の精密誘導兵器を使用した。そのうち、全地球測位システム(GPS)誘導の統合直接攻撃弾(JDAM)はボーイング社製。フセイン大統領を狙って7日にも撃ち込まれた特殊貫通爆弾バンカーバスターロッキード・マーチン社製。巡航ミサイル、トマホークは、レイセオン社製だ。
 例えば1発約60万ドルのトマホークは740発が発射された。約4億4000万ドル(約520億円)分が消費された計算になる。
 レイセオン社は、トマホークの製造を中断しており、改良型の生産を今年後半から開始する計画だった。だが、国防総省は、備蓄量を回復させる必要から、早急に製造に着手するよう要請。同社は大車輪で生産準備を進めている。
 民間航空機を主力としてきたボーイング社は、今年、過去10年で初めて軍事部門の売り上げが民間部門を上回る見込みだ。
 情報技術(IT)バブルの崩壊で青息吐息だったカリフォルニア州シリコンバレーのハイテク企業群の中にも、軍事関連製品の受注で息を吹き返すところが出てきた。
 民間研究機関SRIインターナショナルは、国防総省に自動通訳装置用ソフトを提供している。手のひらサイズの機械に英語で話しかけると、アラビア語やクルド語に翻訳され、音声が流れる。イラク戦争では50台が配備されている。
 通訳ソフトの開発は、アフガン戦争を境にペースが一気に加速したという。開発者の1人、クリステリン・プレコーダさんは「研究開発の半分は国防総省の予算で賄われた」と説明する。
 ベンチャー企業ウィンドリバー社は小型の生物化学兵器検出装置に使うソフトを開発。これを搭載した装置700台がイラクで活用されている。
 シリコンバレーでは昨年1年間に、国防総省と契約を結んだ企業は900社に及び、それによる経済効果は40億ドル以上と見積もられている。
 ロッキード・マーチンなどは、周辺大学から優秀な人材を確保する動きも活発化させている。スタンフォード大のブライアン・キャントウェル教授は「学生の進路は、IT全盛だった5年前と様変わりした」と語り、軍事産業に進む学生が急増している実態を認める。
 米国の2003年国防予算は前年比11%増の3550億ドルに上る。伸びは主にハイテク重視の装備充実に向けられており、一般のハイテク企業にとっても新たな商機になっている。
(2003/4/9/01:35 読売新聞 無断転載歓迎)