【ねこまたぎ通信】

Σ(゜◇゜;)  たちぶく~~ Σ(゜◇゜;)

戦争への怒りや悲しみ、女性たちの声で

 戦争への怒りや悲しみを、女性たちの生活の中からにじみ出た言葉で表現したい――。性暴力被害者のカウンセラーと友人の編集者が、そんな思いからイラク攻撃に反対する「非戦メッセージ」を募った。1週間足らずの間に著名な作家や詩人を含む約30人から電子メールやファクスが届いた。「戦争は究極の暴力。沈黙してはいられない」。2人はそう語る。
 「どうして一番でなければ気がすまないの?何をそんなに恐れているの?あなたの恐れに私達を巻き込まないで下さい」

 呼び掛け人の一人で東京都町田市のカウンセラー、高見沢玲子さん(32)は、戦争を始めた米国への疑問を自らも表現した。

 高見沢さんは、性暴力や家庭内暴力の被害者の相談に応じるカウンセラーをしている。今年1月ごろから、戦争に突き進む米英両国の動きが気になり始め、友人の編集者、中村純さん(32)と相談した。「女性や子供が一番の戦争被害者。デモやシュプレヒコールが苦手でも、多くの女性が戦争をやめさせたがっている。その声を何とか拾えないか……」。話し合いの末、互いの人脈を生かし、まずは知人や友人に投稿を呼び掛けてみた。

 すると、作家の落合恵子さんや人材育成コンサルタント辛淑玉さんをはじめ、ほとんどから返事が届いた。中村さんは「『戦争反対』の合言葉も重要だが、個の内省的な言葉こそが人を動かすと思う。平和を願うのは、つまるところ自分自身を問うことなのでは」と話す。

 2人はこの運動を「語り続ける女たち」と題し、より広く投稿を呼び掛けるつもりだ。集まった非戦メッセージはパネルなどで展示して、「静かなる反戦」を訴えていきたいという。 【清水忠彦】

 「子どものぼんのくぼを見ると/胸がきゅんとなる/なんと愛らしく/なんと不思議な/首すじのうしろの、あのくぼみよ/ぼんのくぼに それぞれの子どもは/たくさんの明日をためている/嗚呼(ああ) わたしたち大人は/わたしたちが死んだあとも/あの ぼんのくぼに/この世界の力学と/暴力と憎しみと非情の連鎖を/刻んでしまった/2003年3月に また」(作家、落合恵子さん)

 「名もなき草のような女や子どもたち、声なき者たちの声に/静かに耳を傾けることができる感受性を/世界の人が自身の心身に育(はぐく)むことができれば、世界は『回復』に向かう(略)本当のことは静かな言葉で語られると私は思う/歴史を振り返ると、世界を殺りくと暴力に導いたのは、みな大きな声だったから」(編集者、中村純さん)

 「『悪の権化』サダムと『正義の味方』ジョージの一騎打ちというのはどうでしょうか。月面でも送ってサシで勝負!(以下略)」(会社員、サエキアヤコさん)

 「悪魔の火の種蒔(ま)きびと。邪悪の球根(地雷)を植える者に、私どもは<人間>の名を許さない。この大地は、春ごとにやわらかな緑が芽をふくところ。世界中の子どもたちが、嬉々(きき)としてスキップするところ」(詩人、新川和江さん)

 「男は、なぜ兵士にされるのだろう/男は、人殺しが平気なのだろうか?/男は、感情がないのだろうか?/男は、『国家』や女やこどものために命を捨てなくてはならないのだろうか?/男の命は、それほど軽いのだろうか?/『男』を壊してはいけない/『男』の豊かな感受性を奪ってはいけない/「男」を人殺しの道具にしてはいけない」(人材育成コンサルタント辛淑玉さん)

毎日新聞4月2日] ( 2003-04-02-10:56 )