【ねこまたぎ通信】

Σ(゜◇゜;)  たちぶく~~ Σ(゜◇゜;)

 見ること,考えること

まだ観てもいない映画の批評は出来ませんが,いろんな見方が,それも文化や歴史や習慣に基づいたものがこの世界にはある,ということです.
これは,何が正しい悪い,ということではありません.
ものを考える目,見る目,視点,ということです.
ちなみにWIKIによると,ローマ帝国では一年300日だったそうで,冬の1月2月は「寒いから作物が育たない」ので省略したそうです.
私はそういう考え方好きです.
存在しない1月2月は休暇として,暖かい国に行きましょう.

『ハリウッド映画300(スリーハンドレッド)―アメリカと、イラン人の文明の歪曲』

http://www.irib.ir/Worldservice/japaneseRADIO/300.htm


ハリウッドは、誤った言い伝えに基づき、歴史をねじ曲げた映画を数多く制作してきましたが、今回、発表された『300(スリーハンドレッド)ほど、ひとつの民族の文化、文明をねじ曲げ、侮辱するような映画は、類がありません。

このCG映画は、ワーナーブラザーズの制作で、紀元前480年頃の出来事が描かれています。300人のスパルタ帝国の兵士が、古代ペルシャ帝国のアケメネス朝の王、ハシャーヤールの壮大な軍に対抗し、ギリシャ人が防衛態勢を整えられるようにするのです。この歴史的な出来事は、ハリウッドの歪曲マシンにかけられ、西側の、文明を遂げた勇敢な少数の兵士が、東側のイランの暴力的で野蛮な大軍に立ち向かう物語にすり替えられています。映画『300』で語られているイラン人は、暴力、流血、覇権主義を混在させ、ハリウッドの魔法にかけられて描き出されているのです。
 
多くの映画専門家は、映画300を、事実とは異なる無駄な映画であるとし、2ヶ月という短期間で制作され、歴史的な事実ではなく、興行成績だけを狙ったものだと考えています。しかし、政治評論家は、この映画を、人類最古の文明を持つイラン人の姿を破壊するために計算された計画の一部だと見ています。イラン人の文明の歴史は、ヨーロッパ人のそれよりも数世紀前に開始しました。また、世界で最初に帝国を作ったのも、イラン人です。当時、イラン人は、インドからエジプト、ペルシャ湾からギリシャまでを支配下に治め、アケメネス朝の500年に渡る統治期間、大きな功績を人類社会にもたらしました。アケメネス朝の建国者、クロシュ王の名は、バビロニア人の圧制からユダヤ民族を救った人物として、歴史に刻まれています。また、アケメネス朝の別の王、ダーリユーシュは、2500年前、スエズ運河を発掘しました。この他、アケメネス帝国時代、イラン人は、郵便制度、ダム、貯水路、そして拡張道路網などを整備したのです。
 

このようなアケメネス朝も、マケドニアのアレキサンダー大王がイランに侵攻した際、崩壊しました。アレキサンダー大王は、イラン領土を占領した上、貪欲に領土拡大を目指し、多くの人々を殺害しました。また、古代建築の傑作であったペルセポリス宮殿を破壊したのも、このアレキサンダー大王です。ペルセポリス宮殿は、現在もその壮麗さをとどめており、西側の野蛮さを物語る証拠として君臨しています。アレキサンダー大王の襲撃から2500年が経過した現在、今度は彼に代わった後継者らが、映画やカメラを使って、ペルシャとイランの文明戦争を描いているように思えてなりません。この中で、文化の侵略者たちは、当時のイラン人の生活様式や着ていた服についても、詳しく調査し、正しく伝えることを怠っています。映画300では、ハシャーヤール王が、ペルシャ帝国の王というより、インド・アフリカ系の人物であるかのように描かれているのです。
 

こうした中、忘れてはならないのは、暴力が戦争の一部であるということです。そしてまた、戦争を理由に、一方の民族やひとつの文明だけを責めてはならないということです。古代ギリシャ、あるいはローマ帝国の歴史を紐解くと、大量虐殺や、生きた人間を焼き殺すような反人道的な行為に関する例が、後を絶ちません。2000年が経過した今も、古代ローマ帝国の王たちの名は、人類史上最も恐ろしい支配者として残されています。こうした中、西側の誇るスパルタ帝国は、民主主義の手本に基づけば、覇権主義、拡張主義、軍事主義の体制の明白な例とされます。その一方で、イラン人は、数世紀後、イスラムの明白な教えを受け入れることで、自らの文明に新たな息吹を吹き込みました。この文明はまた、政治や社会生活における人々の役割の増加や、科学の急速な進歩などをもたらしています。
 

映画300の制作に関与した人々は、この映画に関する多くの批評に対して、こう語っています。「この映画は、単に、イラン人とスパルタ人の戦争物語を、真実とは異なる形で語っているもので、歴史を正確に伝えるものではない」。しかし、民族の歴史的な本質をもてあそぶような行為は、簡単に見逃すことのできない問題です。イランの国内外からは、この映画に対する多くの抗議がのぼっており、これは、イランの人々が、様々な形ではありながら、自らの民族的なアイデンティティを守ろうと共通の感情を抱いていることの現れです。

しかしながら、ハリウッドは、アメリカ政府の代表として、イラン文明の真の姿を破壊し、アメリカの人々の反イラン感情を煽ろうとしています。アメリカは、世界中の人々が、アメリカのイランに反対するあらゆる措置に反対していることを十分承知しています。このため、ブッシュ大統領がいくら、アレクサンダー大王のイラン侵攻と同じ夢を抱いていたとしても、初めにしなければならないことは、国民に軍事侵攻の準備をさせるということです。このため、ハリウッドは、イラン人の誇り高き歴史をねじ曲げ、この平和的な国民を、好戦的で野蛮な人々であるように見せようとしたのです。
 

いずれにせよ、映画300が多くの技術的、歴史的な問題を抱えているとはいえ、重要なことは、イラン人の古い文明が、このような愚かな映画一本で、けがされることなどない、ということです。人類は、イランイスラム文明、ギリシャ文明、中国文明、そしてエジプト文明など、多くの文明の恩恵を受けており、人類文明の成り立ちもまた、互いの文明の交流に拠るところが大きくなっています。明らかに、映画300に対する抗議は、イランとイランの人々を擁護するだけのものではありません。

それどころか、これは、ハリウッドの映画制作会社による歴史の歪曲に対する、論理的な反応であり、何よりも、自分たちの利益を真っ先に考え、アメリカ政府の莫大な利益のために動くことを考える、ハリウッド映画制作会社に対するものです。残念ながら、今日、イランの歴史文明が歪曲と侵略に晒されるなら、明日は、別の文明が、こうした運命を辿ることになるのです。

300[スリーハンドレッド]


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