【ねこまたぎ通信】

Σ(゜◇゜;)  たちぶく~~ Σ(゜◇゜;)

 長崎市長右翼テロの凶弾に倒れる

右翼テロの教団凶弾に倒れられた伊藤一長長崎市長のご冥福を祈るとともに,ご遺族のみなさまに心よりお悔やみを申し上げます.合掌.


さっそくですが,こんな記事がありました.

長崎市長射殺事件でまた焙り出された日本メディアの体質 昭和天皇の戦争責任発言を黙殺

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200704180705133


長崎市伊藤一長市長(61)が17日夜、暴力団幹部に銃撃され死亡した。フィリピンのマニラ南郊に住む筆者には日本のTV報道は地元ケーブルテレビのNHKワールドに依存するしかない。この他の情報源は日本の新聞のインターネット版に頼らざるを得なかった。事件の一報は発生から約2時間後、日本時間の17日午後10時前、当地時間同9時前にNHKテレビを通じて知った。とっさに脳裏を駆け巡ったのは昭和天皇の死去直前の1988年12月、同市議会で「昭和天皇の戦争責任はあると思う」と発言、90年1月に右翼団体の男に撃たれて重傷を負った本島等長崎市長(85)のことだった。(花崎渉) 

昨日帰宅してから,深夜のニュースで事件を知りました.某民放では昭和天皇の戦争責任発言で右翼団体に襲われた本島前市長*1の事件を報道し,本人にも電話インタヴューしておりましたが,やっぱりNHKはまたやりましたか,偏向報道
こんな奴らにくれてやる金など一円もありませんが,ま,その後反省して詳細報道やりましたかどうか.
他のメディアもどうやら「市とのトラブル」の「逆恨み」の方向で納めようとしているみたいですね.晋三心臓に二発撃ち込んだプロが*2,「死ぬつもりだった」なんてうそぶいています.やくざの逆恨みは,通常滅多撃ちです.トラブルはともかく対象が市長というのも解せません(続報では一面識もなかったということですね).
さてさて,誰が得しますやら.こういう事件が起こると,住基ネット違憲判決を下した判事が不審死した一週間後に別の裁判で住基ネット合憲逆転判決が出た*3ことなどをはじめ,闇晋会がらみの大量の不審死*4を思い出してしまうのは私だけでしょうか.


伊藤さんはどんな方でしょうか.
わたしのプロフィール

http://homepage.mac.com/ehara_gen1/jealous_gay/nuclear_armament.html

広島・長崎市長「核使用は違法」 国際司法裁判所で証言 政府は判断示さず

【ハーグ(オランダ)7日=国末憲人、星井麻紀】核兵器の使用や威嚇が違法かどうかをめぐり、国連総会などから勧告的意見を求められている国際司法裁判所(ICJ)は7日、口頭陳述法廷を開き、被爆地を代表して広島市平岡敬長崎市伊藤一長両市長がそれぞれ日本政府証人として証言した。両市長は、市民を大量無差別に殺傷し、放射線障害による苦痛を与え続ける核兵器の使用が「国際法に違反する」と明言し、政府の基本姿勢と食い違いを見せた。一方、日本政府を代表した外務省の河村武和軍備管理・科学審議官は、核使用が「人道主義の精神に合致しない」という従来の見解をあらためて述べ、違法かどうかの政府判断を示さなかった。


口頭陳述は10月30日から始まり、アルファベット順でオーストラリア、フランス、ドイツなどがこれまでに陳述、7日までに10カ国の政府代表が陳述した。15日まで行われ、さらに米英など11カ国が陳述の予定だ。
平岡市長は「やけどで皮膚が縮まって耳たぶが半分になり、左手の指が付け根のところで寄り集まってしまった」という被爆女性の手記などを通じて、核攻撃が生む惨状を説明。「戦後50年たった今なお、多くの人が放射線による障害に苦しんでいる」と証言し、「核兵器による被害は、国際法で使用を禁じられているどの兵器よりも残酷で非人道的だ」と、核使用の違法性に言及した。
そのうえで、市民を無差別に殺傷し放射線障害による苦痛を継続的に与える核兵器使用は「国際法に違反する」と明言した。
このあと証言した伊藤市長は、原爆の惨状を描写した写真パネルを裁判官の前に並べ、核による無差別攻撃の非人道性を訴えた。
さらに、戦闘に関する国際法では兵器の選択は無制限ではなく、(1)文民を攻撃すること(2)不必要な苦痛を与えること(3)環境を破壊することが、禁止されていると陳述。核兵器の使用はこれらの禁止事項に該当するとして、違法性を具体的に指摘した。
両市長の証言に先立ち、陳述した河村審議官は、国際法の見地からの論議をほとんど展開せず、核兵器の使用は「国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しない」と述べるにとどまった。さらに同審議官は陳述の中で、両市長の証言について「事実以外の発言があれば、必ずしも政府の見解を表明するものではない」と語った。
政府は昨年、「核使用は国際法上、違法とまでは言えない」という文言を盛り込んだ陳述書を提出しようとしたが、国会などで批判され、この部分を削除した。しかし政府は、この基本姿勢は「変わらない」との立場だ。
ICJは、世界保健機関(WHO)や国連総会から核兵器の使用に関する法的判断の「勧告的意見」を求められていた。来春にもICJとしてどのように対応するか、の結論が出る見通しだ。(朝日新聞 1995/11/08)

国際司法裁で証言 被爆の実態、赤裸々に

広島市長「人間の知性の退廃」 長崎市長 爆死の写真手にとり
【ハーグ(オランダ)7日=国末憲人、星井麻紀】むごたらしい被爆地の写真パネルが、半世紀前の記憶を「世界法廷」によみがえらせた。7日、ハーグの国際司法裁判所で、広島の平岡敬市長(67)と長崎の伊藤一長市長(50)は、原爆による無差別大量殺りくの悲惨さを証言した。そして、「核兵器の使用が国際法に違反するのは明らかだ」。千羽づるを持った被爆2世や被爆者、海外の平和運動家たちが傍聴する中で、被爆都市と、「違法かどうか」を言うことを避けた日本政府との落差が際立った。


午前10時すぎ、黒い法服を着た14人の裁判官が、一列に並んで左手のドアから大法廷に入って来た。中央にアルジェリア出身のベジャウィ所長。日本から選ばれている小田滋裁判官も、その隣に着席した。
まず、外務省の河村武和審議官が陳述台に立った。「非核3原則」を紹介し、日本政府が軍縮に貢献してきたことを説明した。しかし、肝心の「違法かどうか」には直接ふれず、避けて通った。
平岡市長はモーニング姿の背筋を伸ばした。ハーグの大法廷では礼服を着るのが慣例だ。「非業の死を遂げた多くの死者たち、放射線障害に苦しむ被爆者たちに代わって核兵器の残虐性、非人道性を証言します」。日本語で読み上げる証言は英語とフランス語に同時通訳された。
平岡市長は約30分の証言の中で、核抑止論を「人間の知性の退廃」と述べ、「人類の運命は、いま、あなた方の手の中にある。神のごとき明察と人間への愛をもって、判断を下していただきたい」と締めくくった。
長崎の伊藤市長は、よく通る声で一言ずつ言葉を区切りながら「私たち長崎市民を最後として、原子爆弾による犠牲が2度と再び、生み出されることがないよう厳正なる審理を願う」と語り始めた。
持参した50センチ四方の大きさの写真パネルを4枚、裁判官席からよく見えるように、陳述台の後ろにある台の上に置いた。その中の1枚は、爆心付近で焼け死んだ黒焦げの少年の遺体の写真だ。
「この子どもたちに何の罪があるのでしょうか」。裁判官の中には、思わず目をそむける人もいた。「すべての核保有国の指導者は、この写真を見るべきです。この子らの無言の叫びを感じてほしい」。伊藤市長は何度も写真を手に取って持ち上げた。
証言が終わると、ベジャウィ所長が「感動的な証言に感謝します」と述べた。
外務省がハーグへの出廷を申請した9月に伊藤市長は「国際法違反を言いたい」と話した。しかし、「違法とまではいえない」とする外務省から再三にわたって証言内容に「指導」を受けた。最後は広島市に支えられる形で「違法」明言にふみきった。


「政府の言葉腹立つ」 被爆者
傍聴席では、日本からの代表団や被爆者ら十数人が証言に聴き入った。
4歳の時、広島の爆心から4キロのところで被爆した東京都在住の月下美紀(よしのり)さん(54)は両市長の証言を聞いて、「これだけのメッセージが世界に向けて、伝えられたのは初めてだ。広島の役割がますます大きくなった」と語った。
伊勢市在住の被爆者西山辰雄さん(67)は、政府代表が両市長の証言に対し、「政府の見解ではない」とあえて付け加えたことについて、「2人の市長の証言が感動的だっただけに、政府のあの言葉には腹が立った。日本人として情けない」と語った。
千羽づるを首にかけて傍聴席から陳述台を見つめていた広島市西区の上本全代さん(40)は被爆2世。
「いくら被爆体験を語っても、違法だと明言しない限り、市長が証言する意味はない。違法性をあやふやにしては、悲劇は繰り返されてしまう」。市長の証言に期待をかけ、生協のハーグ訪問団に参加した。聞き終えて、「感無量です。裁判官が広島を訪問し、被爆者の声を直接聞いてほしい」。(朝日新聞 1995/11/08)


2市長・政府の証言要旨
平岡・広島市

【ハーグ(オランダ)7日=国末憲人】私はここで、核兵器廃絶を願う広島市民を代表し、特に原爆により非業の死を遂げた多くの死者たち、そして50年後の今もなお放射線障害で苦しんでいる被爆者たちに代わって、核兵器の持つ残虐性、非人道性について証言します。
当日、広島市には約35万人がいました。原爆投下で1945年12月末までに、約14万人が死亡したと推定しています。急性障害は、4カ月くらいで下火になりましたが、被爆後5、6年して、後障害が大きな問題となりました。ケロイド、白内障白血病、がん、胎内被爆者に生じた知的障害・発育不全を伴う小頭症などです。
私の親せきや多数の友人が犠牲となりました。当時、女学校1年生だったいとこは爆心地から800メートルの地点で被爆し、亡くなりました。裁判官の皆様方には、ぜひ広島・長崎を訪れて、被爆の実相を検証し、理解を深めていただくようお願いします。核兵器の問題を考えるためには、まず、生き残った人々の悲惨な体験を聞き、被爆資料に触れることは欠かせないことだからです。
市民を大量無差別に殺傷し、放射線障害による苦痛を与え続ける核兵器の使用が国際法に違反することは明らかであり、その開発・保有・実験も非核保有国にとっては、強烈な威嚇であり、国際法に反するものです。
人類の運命は、今あなた方の手の中にあります。どうか、神のごとき英知と明察と人間への愛をもって、この核兵器の問題に対して、正しい判断を下していただくようお願いします。


伊藤・長崎市長
【ハーグ(オランダ)7日=星井麻紀】この機会に、私たち長崎市民を最後として、原子爆弾による犠牲が、地球上で再び生み出されないよう訴えます。核兵器廃絶を願う長崎市民の切なる思いを述べます。
被爆から4カ月後、死者約7万4000人、負傷者約7万5000人、市民の3分の2が犠牲となりました。
戦闘に関する国際法では、兵器の選択について無制限な自由は認められておらず、禁止を明文化されていない兵器でも、(1)文民を攻撃すること(2)不必要な苦痛を与えること(3)環境を破壊することは禁止されていると聞いております。核兵器の使用は、まさしくこれらの禁止事項に該当し、国際法に違反していることは明らかであります。
長崎では、毎年8月9日の平和祈念式で「長崎平和宣言」をしています。私は今年の平和宣言で、我が国は、核兵器使用が国際法違反であることを明確に主張するとともに、国是としている「核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませず」の非核3原則を法制化し、同時にアジア太平洋地域の非核地帯創設に務めるよう、我が国政府に提唱しました。
核兵器の保有によって、敵対する相手の核兵器使用を抑制しようとする「核抑止論」は、恐怖の均衡を保つことにほかなりません。
長崎では毎年、被爆者約1300人が亡くなり、6万2000人が原爆後障害の恐怖におびえる日々を送っております。人類の文化と歴史に終止符が打たれないよう、人類愛の見地に立った判断を心から願います。


日本政府
核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力の故に、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないと考える。
我が国は、広島・長崎の悲惨な被爆体験を踏まえ、核兵器が2度と使用されることがあってはならないと考える。惨禍を2度と起こさないために、国際社会が一致して努力していくことが重要であると考えている。
具体的には、非核3原則を堅持するとともに、核兵器の究極的廃絶に向けて努力していく。すべての核保有国に、究極的廃絶という目標に向けて一層の核軍縮を行うよう求める。
さらに、核不拡散条約(NPT)会議でも第1目標として決定された包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期妥結に積極的に貢献していくとともに、あらゆる核実験の即時停止を強く訴えたい。(朝日新聞 1995/11/08)

伊藤さんは,2002年の平和式典で,ポチの目の前で名指しで米国を批判し,日本政府に対しても怒りを露わにしました.
長 崎平和宣言2002

「昨年9月11日、米国で同時多発テロが発生しました。私たちは、一般市民へのこのような無差別攻撃に強い怒りを覚えます。これを機に、アフガニスタンへの軍事攻撃や中東における紛争が激化しました。さらに、核兵器の使用さえ懸念されるインド・パキスタンの軍事衝突が起こるなど、国際的緊張も高まっています。
このような国際情勢の中で、米国政府は、テロ対策の名の下にロシアとの弾道弾迎撃ミサイル制限条約を一方的に破棄し、ミサイル防衛計画を進めています。さらに包括的核実験禁止条約の批准を拒否し、水爆の起爆装置の製造再開、新しい世代の小型核兵器の開発、核による先制攻撃などの可能性を表明しています。また、ロシアと締結した戦略攻撃兵器削減条約も、取り外す核弾頭の多くを再び配備できるようにするなど、国際社会の核兵器廃絶への努力に逆行しています。こうした一連の米国政府の独断的な行動を、私たちは断じて許すことはできません。世界の良識ある人々も強く批判しています。
本年5月の、日本政府首脳による非核三原則見直し発言は、被爆地長崎の心を踏みにじりました。我が国は、唯一の被爆国として核兵器廃絶の先頭に立つ責務があります。そのためにも、核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」とする非核三原則を直ちに法制化すべきです。長崎市議会も法制化を求める決議を採択しました。政府は、北東アジア非核兵器地帯の創設に着手し、「核の傘」に頼らない姿勢を国際社会に向かって明確に示すべきです。同時に、高齢化が進む国内外の被爆者に対する援護の充実に努めてください。 」

長崎平和宣言2006


長崎市長の立場として当然の態度です.
平和宣言の中で,アジアに対する謝罪の文言が削除されるなど,徐々に中身が薄められていく中,非核三原則*5の法制化,核廃絶への希求は決して譲れないところでしょう.
しかし,今の日本はどうでしょうか.核保有肯定論まで閣僚から出る始末です.核廃絶どころか,原子力発電所を減らそうとするヨーロッパなどの動きに反して,原子力を増やしています.日本は世界で三番目の原子力利用国です.さらに,自衛隊を日米同盟の名の下に米軍再編の中に組み込み,海外派兵も可能にしようとしています.
そのために,世界遺産とも云うべき平和憲法を改正しようとさえしているのです.この動きの中で,核廃絶非核三原則だけは決して譲ることの出来ない広島と長崎,この二都市は,憲法改正と軍備拡大のための一番のネックとなるでしょう(伊藤さんは先の核保有肯定論や憲法改正にも批判的な立場でした.).
平和憲法を守り,核兵器を持たない,作らない,持ち込ませないという非核三原則を守ろうとする勢力にとって,広島と長崎は,被爆地として日本国民に対して最も説得力とアピール力を持つ橋頭堡だからです.
もし,この二つの都市が,核兵器原子力を容認するようなことが起こればいったいどうなることでしょうか.
世の中に恐怖と不安を拡散するテロや暗殺は,実は権力者の都合で行われることが往々にしてあるということを心に刻んでおくことが大事です.大きな戦争はほとんどそうやって引き起こされたのですぞ.


今回の事件は鉄砲玉ではなく,間違いなくプロの犯行です.ですから,やはり911なのです.

よろ↓