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 ハチャメチャ論争

DNA鑑定 めぐみさん「遺骨」で論争  05年5月10日 朝日新聞

遺伝子の本体であるDNAの塩基配列を調べ個人を識別すること。国内でも87年ごろから、事件の犯人や被害者の特定、親子関係の確認などに使われている。拉致問題で、北朝鮮が提供した遺骨を、日本政府が、横田めぐみさんとは別人としたのも、DNA鑑定が根拠とされた。

●英科学誌、「結果に疑問」報道
国務省は4月27日に国際テロリズム報告を発表。北朝鮮について「遺骨は北朝鮮の主張するような横田めぐみさんのものではないとの日本の鑑定結果が示され、論争になった」と記した。
同じ日、東京都内では漆間巌・警察庁長官が講演で語った。「ネイチャーという雑誌がだいぶ言ってますが、必ず(鑑定)できる。担当の先生に反論していただければ、国際的にも誤解は解けるんじゃないか」
問題の記事は、英国の科学雑誌「ネイチャー」が2〜4月に3回掲載した。最初は2月。警察の嘱託で、めぐみさんのものとされた遺骨のDNA鑑定を担当した吉井富夫・帝京大医学部講師(当時)が、結果は確定的ではない▽他人のDNAによる汚染の可能性も認める――などと取材に答えた、との内容だった。
3月には「日本の政治家は、どんなに不愉快でも『科学的不確実性』を直視すべきだ。記事は、遺骨が汚染され鑑定の結論が出ない可能性を提起したものだ」とする記事を載せた。取材した東京駐在のシラノスキー同誌特派員は「鑑定手法や内容に関心があり、帝京大に電話した。吉井氏から日本語で率直な話を聞いた」と話す。
同誌はDNAの二重らせん発見やヒトゲノム解読などノーベル賞級の科学論文を多数掲載し、世界の科学者に影響力を持つ。韓国などのメディアも引用した。
北朝鮮朝鮮中央通信は3月下旬、ネイチャー誌に触れた記事を配信し「日本の鑑定結果は捏造(ねつぞう)」という当局の主張の根拠に使った。
●日本政府、「記事は不十分」
北朝鮮が渡した遺骨について、警察当局が「骨から2人の人物のものと判断されるDNAが検出され、いずれもめぐみさんとは異なる」と発表したのは昨年12月8日。
細田官房長官は「骨は他人のもの」と述べ、政府は北朝鮮に抗議した。
ネイチャー誌の報道に細田長官は2月8日の会見で反論。鑑定担当者に確認した内容として「(記事は)単なる電話インタビュー。きわめて不十分な表現で、言っていないことも書かれた。他人の骨だと科学的に立証し、明確なデータが出たと説明したのに、意図と違う記事が出た」と述べた。
この問題は衆院外務委員会でも取り上げられた。3月30日、町村外相は「(吉井氏は)焼かれた骨によるDNA鑑定の困難性の一般論を述べたにとどまり、結果が確定的でないと言及したことではない」と答弁。同誌報道については「いちいち言う必要はない。鑑定結果に何らの影響を及ぼすものではない」と答えた。
瀬川勝久警察庁警備局長も「鑑定人は骨片を十分洗浄し、洗浄液からDNAは全く検出されていない。(別人のDNAが出たのは)骨表面の汚染物質による結果ではない」と説明した。

●家族や専門家、「内容公開を」
吉井氏は国内のDNA鑑定の第一人者。厚労省の「戦没者遺骨のDNA鑑定に関する検討会」メンバーとして遺骨を鑑定した際、当初は異なる結果が出た他大学が、再鑑定で帝京大と同じ結果になったこともある。今回も、同時に鑑定した警察庁科学警察研究所では検出されず、帝京大だけがDNA情報を検出した。
4月には帝京大から警視庁科学捜査研究所の法医科長に就任した。朝日新聞記者の取材申し入れに吉井氏は「広報を通してほしい」と答えた。警視庁は、吉井氏が着任して間もないため取材は受け付けないとの立場だ。
鑑定の内容は、めぐみさんの両親には口頭で説明された。めぐみさんの父で「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」代表の横田滋さん(72)や支援団体「救う会」の西岡力副会長によると、4月下旬に都内で家族会関係者が集まった際、「政府は北朝鮮にきちんと反論してほしい。鑑定書を公開したらどうか」との話も出たという。
遺跡で発掘された人骨のDNA鑑定を手がける篠田謙一・国立科学博物館人類第一研究室長(人類学)は「科学的客観性を確保するため、データの公開や第三者による再鑑定を検討すべきではないか」と提言し、「別人か否かにかかわらず、火葬骨という鑑定がきわめて困難なものを出してきたこと自体が問題。日本はそこを北朝鮮に抗議すべきだ」と話している。

【写真説明】
遺骨のDNA鑑定結果を取り上げた英ネイチャー誌2月3日号記事(下)。米タイム誌アジア版4月4日号(上)などに引用された

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