【ねこまたぎ通信】

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 「米中の狭間で日本は……」/チャルマーズ・ジョンソン [TUP速報] その1

□「米中の狭間で日本は……」/チャルマーズ・ジョンソン [TUP速報] その1

・長文記事のため,いくつかに分割して投稿します。

 http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/526

☆どうして中国が富める成功国として台頭するのが
日本やアメリカの不都合になるのだろう? ★
「奢る平家は久しからず」ではないですが、唯一のスーパーパワーの覇権は久しからず――アメリカがイラクで足を取られているうちに、新しい潮流、すなわち多極化への動きがヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジアで新興産業大国・中国を軸に加速しているようです。
チャルマーズ・ジョンソンはこれまでも――
◎TUP速報246号「地球を覆う米軍基地戦略」(TUPアンソロジーVol.1掲載)――地球規模に展開するアメリカ軍事帝国の実態
◎速報 242号「帝国の治外法権:三件のレイプ犯罪」(Vol.2)――駐留米軍地位協定と沖縄(ひいては日本)の姿
――マクロとミクロの両視点から日米関係を分析、報告してきましたが、イラクにおいてだけでなく、対中国・台湾政策でもアメリカに盲従する日本に警告を発します。
/TUP 井上 利男 凡例――(原注)[訳注]
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もはや“単独”のスーパーパワーではなくなった米国――中国との折り合いをつける

No Longer the "Lone" Superpower -- Coming to Terms with China
トム・ディスパッチ 2005年3月15日――チャルマーズ・ジョンソン

40年前、筆者が中国と日本をめぐる国際関係論の新任教授だったころ、エドウィン・O・ライシャワーが「日本を恒久的に非武装化したことが、1945年の米国による勝利の大いなる報酬でした」と発言したのを憶えている。日本に生まれ、ハーバード大学で日本史研究者になったライシャワーは、ケネディ、ジョンソン両政権下で駐日米大使を務めていた。ところが1991年の冷戦終結後、とりわけジョージ・W・ブッシュ政権発足後、おかしなことにアメリカは日本の再武装を促すばかりか、それを加速させるべくあらゆる手を尽くしている。

このようななりゆきは、アジアの両超大国、中国と日本の間の敵意を高め、中国と朝鮮半島の内戦から持ち越した問題を抱える二つの地域、台湾と北朝鮮において平和裏の問題解決の可能性を退け、将来の米中紛争の原因を作るもので、万一そのような事態になれば、アメリカの敗北はほぼ確実になるであろう。ワシントンのイデオローグや主戦論者たちは、自分たちが招き寄せようとしていることの帰結を理解しているかどうか怪しい。まかり間違えば、世界一の成長率を誇る産業経済国である中国と、衰えを見せながらも世界で二番目の経済大国である日本との直接対決――しかも、アメリカがお膳立てしながら、みずから呑みこまれてしまいかねない対立に至ることになる。

東アジアにおいて、わたしたちはブッシュとチェイニーが唱道するような類のちっぽけな体制変革戦争を話題にしているのではないと明言させていただきたい。20世紀をとおして見受けられた国際関係の顕著な特色を煎じ詰めて言えば、豊かな既成勢力――大英帝国およびアメリカ――は、ドイツ、日本、ロシアといった新興勢力拠点が台頭したさい、平和裏に適応する能力がなかったということにつきる。その結果、二度にわたり甚だしく血を流した世界大戦、45年の長期にわたったロシアと“西側諸国”の冷戦、ヨーロッパ、アメリカ、日本の帝国主義および植民地主義の傲慢や人種差別に対する(四半世紀つづいたベトナム戦争など)数えきれない民族解放戦争を見ることになった。

21世紀に向けた肝要な問いは、世界勢力構造の変化に対するこの宿命的な適応不能を克服できるかどうかにある。これまでの徴候が示す答はNOである。豊かな既成勢力の現代版たるアメリカと日本は、中国――世界最古でありながら途絶えることなく今に続く文明――の再登場、しかも今度は現代の超大国としての復活に適応できるのだろうか? あるいは、アメリカと日本に投影された西洋文明の自負心がついに萎えるとき、中国が握る主導権がさらにもうひとつの世界大戦を招くことになるのだろうか? これこそが鋭く問われている。


不思議の国のアリス政策とすべての財政危機の母
Alice-in-Wonderland Policies and the Mother of All Financial Crises

中国、日本、アメリカは世界で最も生産力のある三大産業諸国であるが、中国経済が最も旺盛に成長している(これまでの20年にわたり平均年間成長率9.5パーセント)のに対し、日米双方とも巨額で増大する債務を抱え、しかも日本の場合、経済成長すら停滞気味である。現在、中国は経済規模が世界第6位であり(アメリカと日本はそれぞれ1位と2位)、アメリカの貿易相手としては、カナダ、メキシコに次ぐ世界第3位である。2003年度CIA統計報告によれば、購買力指数――つまり、価格や為替比率ではなく、実際の生産力――で見ると、すでに中国は実質的に世界第2位の経済大国である。CIAの計算によれば、2003年のアメリカの国内総生産(GDP)――一国内で生産されたあらゆる財貨とサービスの総額――は10兆4000億ドルであり、中国のそれは5兆7000億ドルである。中国の人口は13億なので、同国の一人あたり国民所得は4385ドルになる。1992年から2003年にかけて、日本は中国の最大貿易相手国だったが、2004年、欧州連合(EU)、アメリカに続く第3位に転落した。2004年の中国の貿易規模は、アメリカ、ドイツに次ぐ第3位の1兆2000億ドルであり、日本のそれの1兆700億ドルにかなりの差をつけている。中国の対米貿易は2004年中に約34パーセントの伸び率で拡大し、おかげでロサンジェルスロングビーチ、オークランドはアメリカで最も活況を呈する貿易港になっている。

2004年に見られた特筆すべき貿易動向は、EUが中国の最大の経済パートナーとして浮上したことであり、両者は中国=ヨーロッパ協商ブロックを形成して、さほど元気のない日米ブロックに対抗する可能性をうかがわせている。英国のファイナンシャル・タイムズ紙が「中国が(2001年に)世界貿易機構(WTO)加盟して3年たった現在、その世界貿易における影響力は、もはや単に重要なのではない。死活的である」と論じたとおりだ。例えば、アメリカで販売されるデル製コンピューターの大半は中国で製造され、日本の船井電機のDVDプレーヤーもそうである。船井は年間ざっと1000万台のDVDプレーヤーとテレビを中国からアメリカに輸出し、これらがアメリカ国内で主としてウォルマートの店舗に並べられている。2004年の中国の対ヨーロッパ貿易は1772億ドルであり、対米で1696億ドル、対日が1678億ドルである。

世界に拡大する中国の経済的影響力は広く認められ、賞賛されているが、アメリカと日本が、正しいにしろ、間違っているにしろ恐れているのは、中国の成長率と、それが将来の世界の勢力バランスに与える影響である。CIAの国家情報委員会は、中国のGNPは2005年に英国のそれに並び、09年にドイツ、17年に日本、42年にアメリカに追いつくと予測する。だが、世界銀行中国部の副部長とパキスタン財務大臣とを歴任したシャヒード・ジャヴェド・ブルキは、中国は25年までに購買力ベースのGDPがおそらく25兆ドルに達して、世界一の経済大国になり、それにアメリカが20兆ドル、インドが13兆ドルで続くことになると予測する――しかもブルキの分析は、これから20年間、中国が6パーセントの成長率を維持するという控えめな予測値にもとづいている。日本は、人口が2010年あたりで劇的な減少に転じるので、衰退が避けられないとブルキは予想する。日本の男性人口は、04年時点で0.01パーセントの減少をすでに示していると日本の総務省が報告した。今世紀末には日本の人口は3分の2近く減って、現在の1億2770万から1910年と同水準の4500万人になりうると人口統計学者の一部が予測しているのが目を引く。

対照的に、中国の人口は約14億で安定しそうであり、しかも男女構成比バランスは男性側に傾くことになる。(ニューヨーク・タイムズ紙のハワード・フレンチによれば、中国南部のある大都市では、政府主導の一人っ子政策と超音波診断の普及にともない、女子の出生数100に対し、男子のそれは129になっている。二番目または三番目の子どもを望む夫婦の場合、女子100に対し男子147である。2000年の全国規模の国勢調査では、出生時の性別比率は女子100に対し男子117という結果が報告されている) 中国の国内経済の成長は、巨大な人口の抑えられてきた需要、比較的に低水準の個人債務、公式統計に記録されない活力あふれる闇経済を反映して、これから数十年にわたり継続すると予想される。最も重要なことに、中国の対外債務は比較的小さく、同国の対外債務引当金によって容易に補填できる。それにひきかえ、アメリカと日本のどちらも、それぞれ約7兆ドルの赤字を抱え、人口でも経済力でもアメリカの半分にすぎない日本の場合、なおさら苛酷な状況にある。

皮肉なことに、日本の債務の幾分かは、アメリカの世界帝国的な姿勢を下支えしてきた尽力の結果である。例えば、冷戦終結からこれまでの期間、日本は在日米軍基地に対し約700億ドルという驚くべほどの額を助成をしている。アメリカは、みずからの浪費的な消費様式の対価と軍事費を自国民から徴集した税金で支払うのを拒みながら、日本、中国、台湾、韓国、香港、インドから借りまくって、これらの経費を賄っている。この状況は、アメリカが政府予算を捻出するために一日あたり少なくとも20億ドルの外資導入を必要としていることによって、ますます不安定になってきた。東アジア諸国の中央銀行が、自国をドル下落から守るために外貨保有の相当部分をドルからユーロなど他の通貨に移す決定をするなら、それがどのようなものであっても、あらゆる財政危機の根源を生みだすだろう。

日本は今でも世界最大の外貨保有国であり、2005年1月末時点の保有高は約8410億ドルに達している。中国は(04年末時点で)6099億ドルのドル貨幣を蓄え、これは対米貿易黒字で稼いだものである。ところがアメリカ政府と日本のジョージ・W・ブッシュ追随者たちは、思いつくかぎりの難癖をつけ、とりわけ中国の分離領土、すなわち台湾島をネタに中国を侮辱している。先日、著名な経済評論家ウィリアム・グレイダーは「銀行家を侮辱する浪費家の債務者は、穏やかに言っても、賢明ではない……アメリカの指導層は……文字どおりに――ますます思い違いするようになり、勢力関係の不均衡が自分側に不利な方に傾きつつあることに目を閉ざしている」と記した。

ブッシュ政権は、日本に再武装を迫ることにより、また台湾に対して、中国が台湾の独立宣言を阻止するために武力を用いるなら、アメリカが台湾のために出撃すると約束することにより、愚かにも中国を脅している。これに勝るような近視眼的で無責任な政策は想像するのも難しいが、イラクにおけるブッシュ政権による“不思議の国のアリス”戦争、同政権が地球規模で引き起こした激しい反米主義、それにアメリカの情報部局が政権に従属したことなど、いろいろ踏まえて考えると、アメリカと日本が台湾をめぐって突如として対中戦争に踏み切ることもありうるようだ。

日本がふたたび軍事国家に
Japan Rearms

第二次世界大戦からこのかた、特に1952年の独立達成後、日本は平和外交政策を誓約してきた。攻撃的な軍隊を保持したり、アメリカの世界軍事システムの一翼を担ったりすることを日本は断固として拒んできた。例えば、日本は91年の対イラク戦争に参加しなかったし、集団安全保障条約は他の参加国と同等の軍事貢献を求められることになるとして、これに加わらなかった。日米安全保障条約が発効した1952年からこのかた、この国は、いわゆる外部からの脅威に対して、表向きには、本土および沖縄に散りばめられた91ヵ所もの基地に駐留する米軍によって防衛されている。米第7艦隊は、かつて日本海軍基地だった横須賀を母港にしさえしている。日本はこれらの基地に助成しているだけでなく、米軍はもっぱら日本の防衛のためにだけ駐留しているという公的な作り話に荷担している。現実には、自国領土内に基地を置くアメリカの陸海空軍をアメリカがどこでどのように用いるのかに関して、日本はまったく統制権限を持たず、つい最近まで単に議論しないことによって、日米両政府はこの実態を巧みに隠してきた。

1991年の冷戦終結後、アメリカは、日本が憲法第9条(自衛目的を除く武力使用の放棄)を改定し、アメリカの高官たちの言う「普通の国」になるように繰り返し圧力をかけてきた。例えば2004年8月13日、東京で、コリン・パウエル国務長官は、日本が国連安全保障理事会の常任理事国になりたいなら、まず平和憲法を取り除かねばならないという、ぶしつけな発言をおこなった。日本の安保理入り要求は、同国のGDPは世界総生産の14パーセントを占めるにすぎないのに、国連の総予算の20パーセントを負担しているという事実を論拠としている。パウエルの所感表明は日本の国内問題に対する露骨な内政干渉であるが、日本を再武装させ、それによりアメリカ製兵器の新しい市場を拡大するために長年勤しんできたワシントンの反動的な一派の主導者、リチャード・アーミテージ前国務副長官による度重なるお告げを繰り返したものにすぎない。この一派には、トーケル・パターソン、ロビン・サコダ、デーヴィッド・アッシャー、国務省のジェームス・ケリー、国家安全保障会議職員のマイケル・グリーン、それにペンタゴンハワイ州パールハーバーの太平洋軍司令部のおびただしい数の制服組軍当局者たちが顔を揃えている。

アメリカの意図は、日本をワシントンのネオコンたちが好んで言う「極東の英国」に仕立てなおし――これをもって、北朝鮮に王手をかけ、中国を牽制するための駒に使うことである。2000年10月11日、当時、アーミテージ・グループの一員だったマイケル・グリーンは「われわれはアメリカと英国の特別な関係が(米日)同盟の模範になると見ている」と書いた。アメリカからの圧力が、日本の有権者たちの間に復活するナショナリズムや、成長著しい資本主義中国が東アジアの主導的経済大国としての日本の指定席を脅かすのではという恐れを補強するので、これまでのところ日本はこの圧力に対し抵抗していない。また日本の当局者たちは――ブッシュ政権がピョンヤン体制の転覆を図るのを止め、(北朝鮮による核兵器開発計画の断念の合意と引き換えに)アメリカによる通商合意を実行するなら、北朝鮮における手詰まり状態は文字どおりに一夜にして解消することを承知しているにもかかわらず――日本国民は北朝鮮の核・ミサイル開発プログラムによって脅威を受けると感じていると主張している。2005年2月25日、あろうことか米国務省は「アメリカは、ピョンヤン核兵器プログラムをめぐり交渉のテーブルに復帰することを見返りに、『敵視政策の放棄』の保証を求める北朝鮮指導者・金正日の要求を拒否する」と声明した。さらに3月7日、ブッシュ政権は、北朝鮮が自国を侮辱する発言を理由に交渉相手として拒否しているジョン・ボルトン国連大使に指名した。

日本の再軍備をめぐり、日本国民の一部は懸念を示し、東アジア全域、とりわけ第二次世界大戦中に日本が犠牲にした中国、南北朝鮮、さらにはオーストラリアさえも含むすべての国ぐにが反対している。そのため、日本政府は再軍備増強プログラムを隠密裏に開始した。防衛関連の重要な法律が1992年以降に21件制定され、2004年だけでこれが9件にのぼっている。この動きの突破口を開いたのは、日本が国連平和維持活動の参加するために派兵することを初めて認めた1992年の国際平和協力法[「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」]の制定だった。

その後、軍事予算の拡大、海外派兵の正当化と合法化、アメリカのミサイル防衛(“スターウォーズ”)構想――カナダが2005年に断った代物――に対する参加表明、武力による国際問題の解決に対する是認範囲の拡大など、さまざまな形を取って再軍備路線が進められている。この段階的なプロセスは、01年にジョージ・W・ブッシュ小泉純一郎首相とが同時に政権につくことによって大きく加速した。小泉は同年7月に初訪米をおこない、03年5月には、究極の厚遇とも言えるテキサス州クロフォードのブッシュ“牧場”への招待を受けた。ほどなく、小泉は兵員550名からなる部隊を1年間の期限でイラクに派遣することに合意し、04年に派遣期限をさらに1年間延長、さらに04年10月14日には、ジョージ・ブッシュの再選を個人的に支持した。

核大国の仲間入りを準備中?
A New Nuclear Giant in the Making?

小泉は内閣のさまざまな閣僚ポストに反中国・親台湾強硬派の政治家たちを指名している。ロンドン大学東洋アフリカ学校の現代中国研究所長フィル・ディーンズは「日本で親台湾感情の盛り上がりが目立っている。小泉内閣には親中国派の人物はまったく見当たらない」と見ている。現在の小泉内閣には、防衛庁長官大野功統(よしのり)、外務大臣町村信孝がいて、両者とも熱心な軍国主義者である。町村外務大臣は森嘉朗元首相の右翼派閥の一員であり、同派は台湾独立を支持し、台湾の政財界に広範な隠密の人脈を維持している。

台湾は1895年から1945年にかけて日本の植民地であったことを忘れてはならない。1910年から45年まで苛酷をきわめた日本の軍政下にあった朝鮮半島とは違って、台湾では日本の文民政府による比較的穏和な統治がおこなわれた。台湾島第二次世界大戦中に連合軍によって爆撃され、終戦直後から(蒋介石の)中国国民党による苛酷な軍事占領を受けたにしても、大戦の戦場にならなかった。その結果、今日、大勢の台湾人が日本語を話し、好意的な日本観をもっている。台湾は、東アジアで実質的に唯一、日本人が心から歓迎され、好意を受ける地域である。

ブッシュと小泉は日米両国間軍事協力のための入念な計画を練り上げている。この計画の要になるのが、1947年施行の日本国憲法の廃棄である。小泉内閣の与党、自由民主党は、邪魔さえ入らなければ、2005年11月の党結成50周年記念の節目に新憲法案を発表するつもりである。自民党は1955年に定めた基本綱領に党の基本的政治目標として「自主憲法の制定」を――第二次世界大戦後、ダグラス・マッカーサー将軍の占領司令部が現行憲法を起草した事実に言及しつつ――掲げているので、これは適切であるとされてきた。もともと自民党政策綱領は「日本国領土からの米軍の段階的撤退」をも謳っていたので、これも日本が再武装を急ぐことの隠された目的のひとつなのかもしれない。

アメリカが大目標としているのが、巨額の出費を要する同国のミサイル防衛計画への日本の積極的な参加を実現することである。ブッシュ政権は、現状では欠陥のあるスターウォーズ・システムの技術的問題の解消のために日本人技術者たちによる助力を望んでいるので、なににもまして日本による軍事技術の海外移転禁止の終結を求めている。アメリカはまた、陸軍第一軍団をワシントン州フォート・ルイスから、東京の南西、横浜を県庁とする人口密度の高い神奈川県の座間基地に移すために日本側と活発に交渉している。これら在日米軍部隊は、イラクおよび南アジア全域の米軍に君臨する中央軍司令官ジョン・アビザイドのような方面軍司令官たちと同格の四つ星クラスの将官[大将]の指揮下に置かれることになる。新たに受け入れる司令部は東アジアの領域を超える全軍“戦力投入”作戦に従事するので、日本はアメリカ帝国の日常軍事行動に否応なく巻きこまれることになる。神奈川県のような日本の中心部にあって都市化の進んだ地域に、小規模の方面軍を駐留させるだけでも、沖縄で日常茶飯に発生しているのと同様な、レイプ、乱闘騒ぎ、自動車事故など多様な事件が多発するだろうし、大規模な大衆抗議行動を引き起こすのは確実で、推定4万の総兵力からなる第一軍団ともなれば、なおさらのことである。

日本の側では、防衛庁を省に格上げするつもりであり、ことによると独自の核軍事力を開発する意図がある。日本政府に軍事路線を主張するように迫ると、日本を中国と北朝鮮を“抑止”するための核開発に走らせることになり、ひいては日本をアメリカの“核の傘”への依存から解き放つことになる。軍事評論家リチャード・タンターは、日本はすでに「核爆弾、正確な目標誘導システム、少なくとも一基の発射装置という、使いものになる核兵器のための三大要件のすべてを疑う余地なく満たす能力を疑う余地なく備えている」と記す。日本はじっさいに機能する核分裂炉と増殖炉にプラスして使用済核燃料再処理施設を保有しているので、先端的な熱核兵器を製造する能力を持っていることになる。日本のH2とH2Aロケット、戦闘爆撃機の空中給油システム、兵器級の監視衛星が、兵器を地域的な目標に正確に撃ちこむ能力を保証する。現状で欠けているのは、敵対核保有国に予防先制攻撃の発動を思いとどまらせる確実報復力を持つための(潜水艦のような)核搭載システムである。