【ねこまたぎ通信】

Σ(゜◇゜;)  たちぶく~~ Σ(゜◇゜;)

赤道ギニアのクーデター未遂事件

サッチャー 英首相の息子 逮捕受け、再び関心高まる

http://www.melma.com/mag/42/m00001142/a00000505.html

 今年三月に発覚したアフリカ中西部・赤道ギニアでのクーデター未遂事件は、今月二十五日、サッチャー元英首相の息子が同計画に関与した疑いで南ア捜査当局に逮捕されたことで、再び地域メディアの関心を集めている。すでに拘束され公判中の被告らの動向も注目され、家族や関係者からは公正な裁判を望む声が高まっている。
ヨハネスブルク・長野康彦)

公平性憂慮される被告らの裁判 主犯格には死刑求刑も


 赤道ギニアはアフリカ中部ギニア湾に面する大陸部と周辺の島々とからなる人口四十八万人の小国で、赤道直下に位置することが国名の由来。アフリカでは珍しい旧スペイン植民地で、九二年の石油生産開始以来、新たな油田が次々に発見され、現在石油ブームに沸いている。
 同事件は今年三月八日、実行メンバーとみられる六十四人が南アフリカ発の貨物機で赤道ギニアに向かう途中、立ち寄り先の南部アフリカ・ジンバブエの空港でジンバブエ当局に拘束され発覚した。南アフリカアルメニアなど多国籍からなる乗組員らは傭兵(ようへい)とみられ、同機はジンバブエに一時逗留(とうりゅう)して武器などの追加物資を調達した後、赤道ギニアに向かい、現地で他のメンバーと合流して、政府転覆を図る計画だったとされている。

 ジンバブエ当局では、拘束メンバーを政府転覆未遂の罪で起訴。一方の赤道ギニアでも翌日九日、クーデター謀略の疑いで十数人が逮捕された。拘留中にメンバーの一人が死亡したため、現在裁判の対象となっているのは八十四人。赤道ギニアではこのうち、南ア人八人とアルメニア人六人の裁判が行われており、他の七十人はジンバブエで裁判を受けている。

 そうした中、今月二十五日には、南アフリカケープタウンで、クーデター計画に関与していた疑いで、マーガレット・サッチャー元英首相の息子であるマーク・サッチャー氏(51)が逮捕された。同氏は二百万ランド(約三千四百万円)の保釈金を納めて釈放されたが、国外逃亡できないようパスポートを取り上げられ、現在、検察当局の監視下に置かれている。当局では、同氏がクーデター計画で資金供与などの後方支援をしていた証拠をつかんでいるとしており、自宅から書類等の関係物品を押収して引き続き調べを進めている。

 赤道ギニアで行われている裁判では、同国の法務長官が今月、主犯格とされる南アフリカ人男性に死刑判決を求める意向を明らかにした。他のメンバーに対しても懲役二十六年から八十六年の刑を要求しており、未遂事件にしては検察側の求刑はかなり厳しい内容となっている。こうした中、南ア人被告の家族らは南ア政府に、政治介入を要求。国際人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル」は、拘留中の死亡は拷問によるものと断定、他のメンバーらも拷問で自白を強要されていると訴えている。南ア政府としては、赤道ギニア政府の立場を尊重し、裁判結果を待って判断するという姿勢で、法律関係者からは、結果が出た後での介入は手遅れ、という声も上がっている。

 ここで議論となっているのが、被告らが公正な裁判を受けられるかどうかという点。赤道ギニアは、人権侵害が多発する国として国連アムネスティから指摘されており、ヌゲマ現大統領は野党員らを投獄するなど、その独裁的行動が国際的非難を浴びている。そもそも、ヌゲマ氏が大統領の座を獲得したのは、七九年、自らがクーデターを起こし、叔父でもあった当時のマシアス大統領を処刑したため。裁判の公平性を憂慮する声は大きい。

 石油ブームで着実な経済成長を遂げる赤道ギニアで、裕福となるのは大統領をはじめとする国家上層部だけで、国民はその恩恵を受けていないとの指摘も根強い。

 政府の重要ポストを身内で固めるヌゲマ大統領だが、石油の利権をめぐって最近では親族間の不和がとりざたされており、そうしたことも事件の背景にあるという見方も出ている。