【ねこまたぎ通信】

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緊迫するコンゴ情勢 和平プロセス阻む不穏な動き

アフリカ最悪の紛争国に数えられる中部アフリカ・コンゴ(旧ザイール)で、このところ和平プロセスを阻害する不穏な動きが出ている。先月には、政府反乱分子が東部の都市を一時占拠したり、首都キンシャサではクーデター騒ぎが起きるなど、反政府勢力の動きが活発化。国境を接するルワンダとの間でも緊張が高まっており、緊迫した情勢が続いている。
ヨハネスブルク・長野康彦)

反乱分子の活動が活発化、ルワンダ関係も緊張高まる

 コンゴ東部のブカブ地区では先月、政府反乱軍が市民への襲撃・略奪を繰り返し、同地区を占領する事件が発生した。その後、同国に駐留する国連コンゴ監視団(MONUC)との交渉で同地区を明け渡す合意がなされたものの、この事件がもとで、国民の怒りは政府反乱軍の鎮圧に動かなかったMONUCに向けられ、首都キンシャサをはじめ全国各地で市民らが国連施設を襲撃するなどの事態に発展した。国連関係者に対する国民感情の悪化を懸念した国連側は一時、国連要員を近隣国へ避難させる措置を講じるなどした。
 国連側は、MONUCの駐留目的は平和維持で交戦権はないと説明、反政府勢力の動きを武力阻止することはできないとしている。そのため、監視団の存在意義を疑問視する国民が増えているのも事実。七日には監視団の南アフリカ人隊員二人が、車で移動中、何者かに待ち伏せ攻撃を受け殺害されるなど、国連要員をめぐる環境は緊迫した情勢が続いている。

 首都キンシャサでは十一日、大統領護衛官の反乱分子が国営ラジオ局を占拠し、クーデターを宣言する騒ぎが発生した。政府軍の出動で、事態は約二時間半後、沈静化したが、こうした騒ぎが起きること自体、カビラ暫定政権のもろさを露呈したものと言える。

 アフリカ第三の面積を誇る広大な国土を、暫定政府が一様にコントロールすることは実際、難しい。国土の大半は密林地帯であり、反政府ゲリラが活動しやすい土壌となっていることも情勢が安定しない理由の一つだ。さらに問題を複雑にしているのは、コンゴ一国内の問題ではなしに、近隣国が絡んでくるからである。九八年に勃発し〇二年にいったんの終結を見たコンゴ紛争では、ダイヤモンドやコバルトなど豊富な地下資源への思惑もあって、ルワンダウガンダジンバブエナミビアアンゴラなど周辺国が介入。戦闘は泥沼化し、推定三百万人とも言われる犠牲者を出した。

 今回、特に懸念されているのが国境を接するルワンダとの関係だ。東部地域は先月発生した政府反乱軍による占拠事件にみられるように、反政府勢力の動きが非常に活発な地域で、コンゴのカビラ大統領は、そうした反政府勢力をルワンダが支援していると非難したことから、二国間関係は一気に緊張した。武力衝突回避に向け、ナイジェリアが仲介に入り、オバサンジョ大統領の招待でコンゴ・ルワンダ両国大統領は先月、ナイジェリアの首都アブジャで三者会談を行い、これまでの平和協定を順守することで合意に至った。とりあえずは危機回避できたものの、両国関係は依然として楽観できない状態だ。

 コンゴ東部の密林地帯には、九四年、ルワンダの大量虐殺に加担したフツ系の武装勢力が潜伏しており、推定一万人ほどが現在も国境地帯で反政府ゲリラ活動を展開している。同ゲリラが地域住民を襲撃し、今年四月には市民十九人が殺害されるという事件も起きており、そうしたことも両国間の対立感情をあおる原因となっている。

 〇二年の停戦合意後も、各地で散発する民族紛争はやまず、〇三年七月に発足した暫定政権も薄氷を踏むような状況が続いているコンゴ。民族間の対立感情が複雑に絡み合い、小さなことが武力衝突に発展しかねず、和平プロセスもいつ崩壊するか分からない緊迫した情勢が続いている。