エイズ：経済損失、４１カ国で年２兆７０００億円

　【ジュネーブ大木俊治】国際労働機関（ＩＬＯ）は１１日、エイズによる世界経済の損失が、データが入手可能な４１カ国だけでも年平均２５０億ドル（約２兆７０００億円）にも上るとする報告書をまとめ、同日バンコクで始まった第１５回国際エイズ会議に合わせて発表した。

　報告書は、エイズ感染による死亡や発病などがもたらす労働力の減少が各国の国内総生産に与える損失を９２〜０２年の経済指標をもとに試算した。国別で損失額が最も大きかったのは南アフリカの年平均７２・３億ドル。以下、ナイジェリア（同７．５億ドル）▽ジンバブエ（同６．３８億ドル）▽タイ（同４．２４億ドル）▽ボツワナ（同２．７億ドル）▽ケニア（同２．６３億ドル）−−などとなっている。ただし中国やインドは試算に含まれていない。

　報告書はまた、昨年末時点の世界のエイズ感染者約３８００万人のうち約３６５０万人が生産活動に従事する１５〜６４歳の労働人口であると指摘。十分な対策が取られなければ、最初の死亡例が報告された８１年以降のエイズによる労働人口の死者数の合計は、２０１５年までに７４００万人に達する可能性があると警告している。

毎日新聞　2004年7月12日　2時16分