イラン、ウラン濃縮停止合意を覆す

　【ワシントン＝笹沢教一】ボルトン米国務次官は２４日、下院国際関係委員会の公聴会で証言し、イランがウラン濃縮計画を停止する合意を覆し、濃縮に使う遠心分離器の組み立て再開を英独仏に通告してきたことを明らかにした。

　イランは、国際原子力機関（ＩＡＥＡ）が今月１８日の定例理事会で採択したイラン非難決議に対して強く反発しており、１９日には国家安全保障最高会議のロハニ書記が遠心分離器の組み立て再開の可能性を示唆していた。

　ボルトン次官は、イランが３国に対し、来週にも組み立てや機能試験などを開始すると通告してきたことを明らかにした。

　現時点では、ウラン濃縮自体の再開を通告してはいないが、「決議の無視は国際社会を侮辱する行為」だと厳しく非難、国連安保理による制裁などの議論が必要との見方を示した。

　ボルトン次官は証言の中で、イランが弾道ミサイルに加え、複数のタイプの化学兵器を開発、備蓄する計画を極秘裏に進めていると指摘し、強い懸念を示した。

(2004/6/25/12:06　読売新聞　無断転載禁止)