【ねこまたぎ通信】

Σ(゜◇゜;)  たちぶく~~ Σ(゜◇゜;)

 これからが核心

 米国のイラク占領政策が泥沼化し始めたことから,ベトナム化」という言葉が使われ始めました.この言葉は,単純に「泥沼化」という言葉に類似性を見出して使われているのであって,世界が二極化していた米ソ冷戦構造下の代理戦争を世界的な民族自決運動の潮流の中で戦かってきたベトナム戦争と,対テロ戦争という名目でイスラエルを含む米英主導の拡張主義・覇権主義によって一方的に仕掛けられたイラク戦争とでは,性格が随分異なるように思います.もちろん,後者の方が前近代的であり,冷戦以降の現代史は,いわば「逆戻りの弁証法とでも云えましょうか.(笑)


 対テロ戦争として米国がアフリカ諸国やアフガニスタンイラク等に対して行っている戦争では,米国に敵対するものが何なのか私たちにはよく見えてきません.資本主義と共産主義の対立から,民主主義とテロリズムの対立という,より判りにくい構図へ,さらには,西欧社会とイスラム社会の対立へと,なんだかより変てこりんな方向に進んでいってしまっています.どのような社会であってもテロリズムを内在しているものだし,文明の衝突というのは,まさに異種格闘技です.^^;


 ここで注意しておかなければならないのは,民主主義=資本主義=西欧社会が,一貫して不正義と戦って来たという構図を鵜呑みにすることでしょう.イデオロギーの対立はまだ良いとして,テロリズムの汚名を着せることで,あたかもイスラム社会そのものが不正義であるかのように誘導しようとしている動きが認められます.テロリズムの実体は誰も知らないはずですし,あの911の犯行グループさえ未だ確定されてはいないのです.そして,米国の戦略・戦術の中にもテロリズム手段として取り込まれていることを決して見落としてはいけません.


 さて,このゴールデンウィークあたりから,米軍のイラク拘禁者に対する虐待,または,拷問に関する報道がクローズアップされ,ブッシュ自身がその事実を認め謝罪の意を表していました.ただ,あくまでも一部の不埒な米兵がやったことであって,決して組織的に行われたものではないと強調しています.これもまた,ベトナム戦争時の米兵による数々の虐待・拷問・虐殺事件を彷彿とさせる事件です.


 私もこの報道を知ったときに,すぐさまマーク・レーンの『人間の崩壊』を思い出しました.この本は,ベトナム帰還兵の証言を集めたもので,私はかつてこれほど恐ろしい本を読んだことがありませんでした.人間という生物がここまで崩壊していくのだということをまざまざと見せつけ,そして,それが人間性の奥底に潜んでいるものだということを明示していました.あまりに恐ろしいので誰にもお勧めしませんが,強いて云えば,『テキサス・チェーンソー』が日本昔話に聞こえるくらい,とでも云えましょうか.多分,今入手困難なのでしょうね.^^;


 ファルージャの虐殺ベトナムソンミ事件と重なるように,今回の拘禁者虐待の報道を受けて,とても多くの人々が戦慄しているものと思います.自分の息子や娘たちが,人間性を崩壊させていく様を見ることは,何よりも恐ろしい地獄でしょうから.


 これからが,核心です.