タイなどアジアに「援助交際」広がる 国際NGOが指摘
日本で深刻化する「援助交際」が東・東南アジアにも広がり出した。子供の人身売買問題に取り組む国際NGO、エクパット(本部・バンコク)が、最近まとめた報告書で指摘した。英文の報告書は、日本語をそのまま使って「Enjo Kosai現象」と名付けている。
エクパットによると、中、高校生ぐらいの年齢の少年少女が、金銭目当てに不特定多数と交際する「援助交際」は中国、シンガポール、フィリピンといった国でも報道されるなどしている。
報告書は、こうした子供たちの特徴を「中流家庭に属し、外見上は社会的にも金銭的にも問題が見られない」と分析。一方で「親などの過保護で息苦しかったり、逆に家族とのコミュニケーションが欠けていたりして、孤独感を抱えた子供が多い」とも指摘した。
タイでは、まだ本格的な実態調査は行われていない。しかし、エクパットによると、インターネットには少年少女が「相手」を探すサイトがあり、2年で20万バーツ(約54万円)余りを稼いだ16歳の少年もいたという。少年の「援助交際」では、大人の男性が相手になるケースがタイは多い。
報告書をまとめたアマリー・マッコイさんは、「援助交際という言葉は双方が対等であるかのような印象を与える点で誤った表現だ。だが、日本と同じ現象が各国で起きていることを問題提起するために使った」と話す。さらに「貧困が子供の人身売買の主な原因だった途上国でも、この現象の登場で新しい視点が必要になった」と、実態調査の必要性を訴える。
エクパットは91年に創設。世界各地の64カ国、71団体が加盟している。 (04/30 19:12)
asahi