【ねこまたぎ通信】

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外務省事務次官会見記録 (平成16年4月12日(月)16:45〜 :於会見室) イラクにおける邦人人質事件

(問)人質事件の関係ですが、アルジャジーラが既に人質解放の情報を取っており、近くまた報道されるという情報がありますが、この点について外務省として確認されているのか、この点、お願いします。

事務次官)そのようなことについては承知していません。
(問)24時間で解放されるという期限が午前3時で一応過ぎたことになっていますが、この次、一体どのような見通しというか、展望を持ってやっていくのでしょうか。

事務次官)いずれにしましても、我々政府としては3人の方が無事に、安全に取り戻すことに全力を挙げてきているところであり、これからもあらゆる努力を続けるということに尽きます。

(問)3人の安否について、現時点でどのように御覧になっていますか。

事務次官)我々はあらゆる努力を続けています。その中にはいろいろな情報収集、事実の確認ということも含まれます。いろいろな機会、チャンネルを使って情報の収集に努めていますが、現段階において具体的に申し上げることはありません。

(問)川口大臣が出演なさったビデオメッセージの中で自衛隊について言及したことで、御家族の方が刺激するのではないかと言って反発していらしたようですが、その件に関しては如何でしょうか。

事務次官)あのメッセージは世界、特にアラブ諸国において放映され、我々の考え、気持ちをきちんと伝えるということを意図して行ったものです。全体として見て頂ければそういったメッセージは伝わっていると評価しています。

(問)御家族の安否の件ですが、現時点では3人が元気でいるかどうかを含めて確定的なことは言えないという意味でしょうか。

事務次官)今、この時点ということについては、我々は承知しません。今、この時点においての安否については承知していませんということです。

(問)福田官房長官が、ある段階、ある時期においては3人が元気でいると思われる時点はあったというおっしゃり方でしたが。

事務次官)つまり我々としては、今まで、いろいろな段階において情報の収集に努めてきているわけです。福田官房長官がまさに言われたことは、長官が言われたとおりですが、今御質問の、今のこの時点でということを聞かれますと、それについては承知していませんということです。

(問)ファルージャでの戦闘ですが、一応、今、停戦が成立しているということになっていますが、これがもし停戦切れになり戦闘が再開されると、かなり人質救出にも大きな影響を与えるのではないかと思われるのですが、日本政府としてはファルージャの停戦についてどのように。

事務次官)我々としては、ファルージャにおいて出来るだけ早く治安と秩序が回復されることを望み、事態を注視しています。それとこの人質の問題との関連性とか、どういうことがあり得るかといったことについては、予断を持ってコメントすることは控えさせてもらいます。

(問)今日は緊急対策本部かオペレーションルームの方で夕方、夜にかけて会議は実施されるのでしょうか。

事務次官)対策本部の会議は必要に応じて随時行います。朝は定例という感じではありますが、その他はまさにその時の状況に応じて、全員が集まることが必要か、適当か、また大臣の日程をはじめ、そういうことが日程上可能かといったこともあります。いつでも集まれるということが望ましいわけですが、状況を見て判断します。従って、御質問については、今晩開催することもあり得るし、その可能性を排除しているわけではありません。

(問)小泉総理とチェイニー副大統領の会談で、人質問題についてあらゆる努力を行うことを約束するとおっしゃったようですが、アメリカの協力についての評価というのはどのように御覧になっていますか。

事務次官)我々としては、米国とは緊密な関係にありますから、当然のことながら連絡等を行っています。具体的なことについては申し上げるのを控えさせて頂きますが、これは御理解頂けると思います。我々として米国との今までの調整、協力関係といったことについては非常に満足しています。

(問)イラク国内のNGOの活動ですが、外務省もNGOのジャパン・プラット・フォームなどに支援をしたりして、イラク国内でのNGOの活動をサポートしている面があると思いますが、今回の事件を受けて外務省としてイラク国内のNGOの活動、人道支援というのをどのように続けていったらいいとお考えでしょうか。

事務次官NGOにはNGOとしての非常に大きな役割があるというのが我々の一般的な考えです。もちろん、その活動の内容、対応といったことについては、その地域、その国の状況に応じたものである必要があろうと思います。その点で、御質問ですから申し上げますと、今回のイラクということについては、NGOのみならずプレスの方々にもお願いをしていますが、我々としては情報収集し、それを綿密に分析した結果、退避勧告を出しているわけです。従ってそれを尊重と言いますか、尊重以上にそれに従って頂きたいというのが我々の考え方です。一般的になりますが、これは基本的な話ですが、外国の領域には日本の主権は及ばないわけです。当然、日本政府、外務省は在外邦人の保護について責任を有しているわけですが、日本の主権が及ばないところではその保護に限界があるというのも当然のことです。そういった国において、本来ならばその国が自らの主権に基づいて在留している外国人の保護について、更には治安について責任を負うというのが国際法上の原則です。そういったことを踏まえて、外国において我々の同胞、邦人の安全についての第一義的な権能を有しているのは当該国家であるということから出発する必要があろうと思います。そうしますと、皆さんが持っているパスポートにも書いてありますが、日本の外務大臣が相手国に対して、パスポートを持っている日本人があなたの国において安全であることを要請しますということが皆さんのパスポートの表紙の裏に書いてあります。それはやはり第一義的に、相手の国が安全について責任を持つということです。ただ、それを踏まえた上で日本政府、特に外務省としては、外国においても邦人の保護に全力を尽くす責任があるわけです。従って、外務省の我々の同僚は、命を懸けてというと大げさかもしれませんが、治安情報を収集し、それを我々一緒になって分析し、危険情報ということで国民の皆さんに周知しているわけです。人命は地球より重いということを言われますが、まさに人命を大事にするということで、邦人保護のためにこういった危険情報を発出しているわけです。イラクについて言えば、今年に入って退避勧告のスポット情報を13回出しています。是非これに従って頂きたいというのが我々の立場です。その点は、重要な役割を果たしているNGOについても同様です。もちろん、NGOの役割を我々も重視し、また協力関係もありますが、安全、生命の問題ということになりますと自己責任の原則を自覚して、自らの安全を自らで守ることを改めて考えて頂きたいと思います。また、私は今、長々とこのように話していますが、それは今回の事件もさることながら、同様の事件にまた日本国民が在外において遭遇することがないよう切に願うことから、改めて外務省が発出している渡航情報といったものに注意を払って頂きたいということを訴えたいからです。

(問)今回の事件を受けて、一部で渡航禁止ということを検討すべきではないかという意見もあると思うのですが、それについて次官はどのようにお考えですか。

事務次官)そのような声が起こってくる背景を考えますと、これは個人の考えですが、今回のように渡航情報を出し、退避勧告を今年に入って13回出しても、自己責任の原則に基づいてお出かけになる方がいらっしゃるという現実を見ると、やはり何らかの措置が必要ではないかという意見が出て来るのが現状ではないかと思います。しかしそれを実際に実施するとなりますと、それは国民の渡航の自由といった、これまた重要な人間としての自由がありますから、そう簡単な結論が出る話ではないと思います。ただ、気持ちとしては今のままでいいのかなという問題意識が国民の皆さんの中に、一部とはいえ出てきているという背景、事情があるのかという感じを持ちます。