【ねこまたぎ通信】

Σ(゜◇゜;)  たちぶく~~ Σ(゜◇゜;)

米国は対テロ戦争に負けた

アメリカさえイラクから出ていくことを画策中

その最中に日本の自衛隊が出かけて行っているバカさ加減

 いまや大組織になったアルカイダ、先進国の政権を倒す力まで持っている。

 イラクの石油を手に入れ、大統領選の再選を不動にする――こんな“不純な大義”で始められたブッシュ米大統領のイラク先制攻撃から丸1年が過ぎた。

 案の定、フセインという重しのとれたイラクは「パンドラの箱」そのものだ。宗教と民族の対立に加え、反米攻撃が絶え間なく続き、米英軍のイラク占領支配は手のつけられないドロ沼の無政府状態である。

 20日もロケット弾攻撃で米兵2人が死んだが、米軍の死者はすでに公式発表だけで560人を突破。大量の死傷者数が米世論を突き動かす寸前である。

 ブッシュ・ネオコン政権にとっての大誤算はそれだけではない。「テロ撲滅」どころか、アルカイダによるテロの脅威は世界中で高まり、米国内世論さえ「価値のない戦争だった」が「価値ある戦争だった」を上回るまでになっている。

「こんなはずではなかった」と、ブッシュがじだんだを踏んでいる姿が目に浮かぶようだ。「それは自業自得、おごった単独行動主義のシッペ返しです。テロという見えない敵を武力で制圧しようとしても無理なのに、それに気づかなかったブッシュは自ら墓穴を掘っている。すでに同盟国のスペインは列車爆破テロで政権交代を余儀なくされた。

 そのスペイン・ショックで、親米連合のポーランドやオランダも腰が引け始め、“撤兵ドミノ倒し”が起きてきました。このままでは秋の大統領選でブッシュは敗れ、来年には英国のブレア首相も総選挙で退陣に追い込まれそうな雲行きです」(国際問題評論家・山岡清二氏)

 ブッシュは対テロ戦争に敗北した――これがイラク開戦1年目の現実なのである。

▼ 世界各地に潜伏し細胞を増やし続けるアルカイダ

 一方、ブッシュとの対決を鮮明にしたアルカイダは、「撲滅作戦」をせせら笑うように、どんどん増殖している。

 国際情勢に詳しい日大教養学部講師の三野正洋氏がこう言う。

ブッシュ大統領の強引な中東制圧、占領政策は完全に裏目に出ています。9・11テロ以降、米国はアルカイダを壊滅させようとアフガンとイラク両国をメチャクチャに破壊しました。ところが政権を転覆させただけで、肝心のアルカイダはハチのように霧散。行方不明になってしまいました。現在は世界各国に潜伏して、反米感情を募らせるイラク武装勢力など複数イスラム過激派組織と緩やかなネットワークを形成してテロを行う一方で、ソマリアなどアフリカまで手を伸ばして若い新規メンバーを増やしているといいます」

 アフガン国境でも次々と“多国籍アルカイダ”が養成されている。米誌ニューズウィークも〈この2年でテロはがんのように世界各地に『転移』してしまった〉と指摘。

 アフガンでアルカイダ掃討作戦にあたっているフランス軍司令官は「アルカイダはまるでヒドラのようだ」と音を上げている。ヒドラとは一つ頭を切ると二つの頭を出したというギリシャ神話のヘビの怪物。もはや政権を倒すまでに増殖した怪物アルカイダには誰もがお手上げ状態なのだ。

 スペイン列車テロ後、テロ声明が寄せられたアラビア語紙の編集長は、朝日新聞に「アルカイダはいまや大組織。あらゆるところに店を出すマクドナルドのような存在になってしまった」と語っていた。開戦直後、エジプトのムバラク大統領は「イラク戦争は100人のビンラディンを生む」と警告していたが、まったくその通りになっているのである。

日刊ゲンダイ