【ねこまたぎ通信】

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イラクへの自衛隊派遣、年内断念へ 治安悪化で先送り

 政府は17日、イラク復興支援特措法に基づく自衛隊派遣について、年内をめざしてきた派遣時期を年明け以降に先送りする方向で最終調整に入った。自衛隊派遣予定地に近いナーシリヤでイタリア警察軍が攻撃を受け多数の死傷者が出たほか、米軍のヘリコプターに対する攻撃が続くなど現地の治安が極度に悪化。16日まで訪日したラムズフェルド米国防長官が「年内派遣」を強く求めなかったことも踏まえ、早期派遣をめざす基本姿勢は変えないものの、現状では自衛隊を派遣できる状況にない、との判断を固めた。

 派遣に向けた作業を進める政府関係者は17日、「こんな情勢ではとても現地に行けない。年内に先遣隊として一部を派遣するのは厳しくなった」と述べた。自民党幹部も同日、「年内か年明けかなんて、もうこだわる話じゃない」と語った。

 政府は当初、総選挙直後の14日に自衛隊派遣の大枠を定める基本計画を閣議決定し、12月中旬にも陸上自衛隊の先遣隊をイラク南部のサマワに派遣、年明けに本隊を派遣する方向で調整を進めてきた。福田官房長官は12日、「年内に派遣するという考え方はしっかり持っている」と、「年内派遣」を表明した。

 しかし同じ12日、イタリア警察軍に対するテロが発生。基本計画の閣議決定を19日召集の特別国会後に先送りするとともに、自衛隊員による専門調査団を15日に現地に派遣した。米軍への攻撃はその後も相次いでいるほか、10月下旬に赤十字国際委員会(ICRC)の現地本部で爆破テロが起きたのをはじめ、テロの対象は米英軍だけでなく国際機関や他国にも拡大している。

 14日に来日したラムズフェルド長官は小泉首相との会談で自衛隊派遣に直接言及せず、石破防衛庁長官との会談でも「主権国家として何をやるかは自分たちで適当と思うことをやってもらいたい」と述べるにとどめた。政府内には「米国は日本に圧力をかけて自衛隊を派遣させ、犠牲者が出るような事態になれば、小泉政権が吹っ飛びかねない実情は分かってくれている」(関係者)との見方が広がった。

 一方、イラク北部のモスルでの米軍ヘリ2機墜落について小泉首相は17日、「イラクの治安のため、奮闘し、努力している方々に改めて敬意を表する。テロに屈してはいけない」と記者団に語った。外務省幹部は「米国は本当は日本に年内に出してほしい。実戦経験のない自衛隊が出ることは他国の説得材料にもなる。ただ、時期が多少遅れ、年明けになるのは許容範囲だ」と語った。

(11/17 15:43)