バアシル被告初公判 JI指導者「イスラム国家建設狙った」容疑を全面的に否定 インドネシア
東南アジアのイスラム地下組織イスラム共同体(JI)の精神的指導者とされ、国家転覆罪などの容疑に問われた急進派イスラム指導者アブ・バカル・バアシル被告(六四)の初公判が、二十三日開かれた。法廷が設置された中央ジャカルタの気象地理物理庁のホール周辺には、約五百人の警官が配置され、二カ所に金属探知機を設置するなど、厳重な警戒態勢が取られた。
白のシャツにイスラム帽を被ったバアシル被告が笑みを浮かべながら法廷内に姿を現すと、傍聴する約百人の支持者から「アラー、アクバル」と声が上がった。
人定尋問のあと、検察側が二十五ページにわたる起訴状を読み上げた。被告人席に座ったバアシル被告は、表情を変えず、朗読する検事をじっと見つめた。
続く罪状認否でバアシル被告は、「起訴内容は事実ではない。異議を申し立てる」と述べ、容疑を全面的に否認した。
起訴状によると、バアシル被告は一九九三年に故アブドゥル・スンカル氏とJIを創設し、二〇〇一年までの間に「政府を転覆し、イスラム国家の樹立を実現しよう」と謀った。
この目的を実行するため、ハンバリ、ズルカルナエン、イマム・サムドラ、ムクラスといったバリ島爆弾テロの容疑者らと共謀し、東南アジア各地にJIの拠点を建設。
二〇〇〇年末に全国各地で発生し、十九人が死亡した教会爆破テロの最終的な実行指示を与えたほか、未遂に終わったシンガポール国内の米国権益を狙った爆弾テロの実行を承認した。
また、二〇〇一年に、キリスト教徒を支援しているとして、当時副大統領だったメガワティ大統領の暗殺を命じたが、ムクラス容疑者が「実行する能力はない」と拒否したという。
バアシル被告は、国家転覆罪のほか、出入国管理法違反、公文書偽造の四つの容疑に問われた。有罪の場合、終身刑となる。
昨年十月のバリ島爆弾テロの直後、「テロ対策が手ぬるい」という国際社会の批判を受け、政府は、バアシル被告の逮捕に踏み切ったが、同被告とバリ島テロを結ぶ明確な接点は見つかっていない。
次回公判は三十日に開かれる。