【ねこまたぎ通信】

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化学兵器の発見報道、全て空振り 米、捜索に必死

 バグダッド南方約90キロのヒンディーヤ近郊の農業関連施設で米軍が7日に見つけた「神経ガスの疑いのある物質」について、ロイター通信は8日、「物質は、単なる殺虫剤かもしれない」とする米軍高官の見解を報じた。イラク戦争開戦後、相次いで「疑惑施設の発見」が報道されたが、ことごとく「空振り」に終わっている。バグダッド陥落にもかかわらず、大量破壊兵器を隠し持っていたことを証明できなければ、戦争の正当性が疑問視されることになる。【ワシントン斗ケ沢秀俊】

 米メディアでは、「スモーキング・ガン」という単語が連日のように登場する。「決定的証拠」の意味で、現在は「大量破壊兵器存在の確実な証拠」を指す合言葉として使われている。「だれもがスモーキング・ガンを見つけたがっている」。化学兵器の捜索を担当する米中央軍のウォロスジン中佐は米USAトゥデー紙に、こう語った。

 ブッシュ大統領大量破壊兵器武装解除を、戦争の主要目的として掲げていた。兵士たちが化学兵器工場などの「証拠捜し」に必死になっている理由はここにある。

 最初に「発見」が報じられたのは3月23日。バグダッド南方約160キロのナジャフの施設について、米FOXテレビなどが「化学兵器工場か」と大々的に取り上げた。続いて今月4日、同7日にも「白い粉末を発見」「神経ガスサリンの反応があった」などのニュースが踊った。いずれも、米軍に同行している「エンベッド」(埋め込みの意味)の記者が現地の米軍幹部の証言をもとに報じた。

 しかし、報道された施設は、国連監視検証査察委員会の査察チームが昨年から今年にかけて何度も査察し、化学兵器存在の証拠を得られなかった施設ばかりだ。

 米国防総省などによると、米軍は化学物質を見つけた場合、サリンやタブンなどの神経ガス、びらん剤のマスタードガスなどを対象とした携帯型検出装置で調べる。しかし、化学兵器の専門家によると、「有機リン系農薬とサリンは成分が似ている。殺虫剤をサリンと誤認する可能性がある」という。

 ラムズフェルド米国防長官は「初期の報告はほとんど間違いに終わる」と語り、十分な検査を経た上で発表する考えを表明している。

 米国にとっての高いハードルは、化学兵器材料の発見だけでは不十分なことだ。元国連査察官のテイラー氏は米CNNテレビで、「材料がミサイルの弾頭や砲弾に入れられる形になっていなければならない」と述べ、兵器化されていることの証明が必要だと指摘した。

毎日新聞4月10日] ( 2003-04-10-02:07 )