バグダッドの市場にミサイル、５５人死亡 誤爆か

　米英軍は２８日夜、イラクの首都バグダッドへの大規模空爆を続けた。市内の市場にミサイルが着弾、少なくとも市民５５人が死亡、５０人前後が負傷した。米中東軍報道官は「（ミサイル着弾を）確認できていない」と話しているが、誤爆の可能性が指摘されている。開戦後、一度の民間人犠牲者としては最悪で、米英軍への批判が高まりそうだ。一方、２９日未明、クウェート市内のショッピングセンター近くに、イラクから発射されたとみられるミサイルが落下、衝撃で同センターの屋根や窓の一部が壊れた。死傷者はいないという。
　【アンマン春日孝之、アッサイリヤ基地（カタール）福島良典】米英軍は２８日、バグダッドの通信施設に対して集中的な空爆を実施した。英ＢＢＣはこれに関連し、同日午後６時半（日本時間２９日午前０時半）ごろ、同市内のシューラ地区の市場にミサイルが着弾、少なくとも死者５５人、負傷者４７人が出たと報じた。「アブダビ・テレビ」は米軍の巡航ミサイルが市場に撃ち込まれた可能性があると報じている。

　米中東軍のブルックス作戦副部長は２８日の記者会見で、米英軍が現在、イラク軍の指揮・統制システムの破壊を目指し、通信・放送施設などを重点的に攻撃していることを明らかにした。

　また、ロイター通信が米国防総省筋の話として伝えたところによると、米軍のＢ２ステルス爆撃機は２７日夜から２８日にかけてバグダッドの電話局２カ所に対して特殊貫通爆弾「バンカーバスター」２発を投下した。

　一方、クウェート軍当局者によると、２９日午前１時４５分（日本時間同７時４５分）ごろ、クウェート市の海岸沿いにある大型ショッピングセンター「シャルク・モール」前の海上に、イラクから発射されたとみられるミサイルが落下した。ＡＰ通信は、このミサイルは中国製の対艦ミサイル「シルクワーム」とみられると伝えた。

　同当局者によると、イラクはこれまで、クウェートに向けて１２発のミサイルを発射したが、２発が市街地から遠い砂漠に落下したほかは、パトリオット・ミサイルでの迎撃に成功した。

　現場に駆けつけたアフメド情報相は「今回のミサイルは低空域だったため、パトリオット・システムの警戒網が作動しなかった可能性がある」と語った。

　一方、米中東軍のブルックス作戦副部長によると、米陸軍第３歩兵師団はバグダッドの南１６０キロに位置するナジャフの北方でイラク側のゲリラ部隊を撃退、東方からバグダッドに向けて北上中の米海兵隊第１遠征軍は進軍を続けている。

　■本格的な地上攻撃敢行へ　米統合参謀本部議長

　【ワシントン中島哲夫】マイヤーズ米統合参謀本部議長は２８日会見で、イラク戦争で米英軍は首都バグダッドなどを守る共和国防衛隊に空爆を続けて弱体化させつつあり、現在策定中の作戦計画が固まった時点で本格的な地上攻撃を敢行すると述べた。

　マイヤーズ議長によると、米英軍はイラク領空の約９５％にあたる空域で制空権を完全掌握し、残るバグダッド周辺上空も、所在を特定できない地対空ミサイルを警戒しているだけで、実際には米英軍機が自由に飛行しているという。

　また、イラクとその周辺には約２７万人の米英軍が展開し、その約３分の１がイラク国内に入っている。開戦以来、６５０発の巡航ミサイル・トマホークを発射し、５０００発以上の精密誘導爆弾を投下したという。

（毎日新聞２００３年３月２９日）

●いつまで「誤爆」といいつづけるのですか？
「誤爆」であってもなくても爆撃に違いないし、「戦争に犠牲はつきものだ」と明言しているのだから、「誤爆」という概念はもともと存在しないのです。