【ねこまたぎ通信】

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見せる戦争 「武力」と「情報」戦いの両輪[朝日新聞]

見せる戦争 「武力」と「情報」戦いの両輪[朝日新聞]

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S25 407 2003/3/29 02:32:21
投稿者: feel

2003年03月27日(木)朝日新聞

《検証》見せる戦争 「武力」と「情報」戦いの両輪

住民の敵意・捕虜… TV画面の「誤算」「正義の戦争」を見せようと、ジャーナリストを戦場に引っ張り出した米英の戦略が裏目に出始めた。かわりに衝撃的なニュースを次々に発信する中東メディアの奮闘が目立つ。イラク戦争武力衝突と情報戦が一体になって進んでいる。星条旗に困惑開戦2日目の21日、クウェート国境に近いイラクの港町ウムカスルの港湾施設のビルで、若い米海兵隊員たちがイラク国旗を引きずりおろし、代わりに星条旗を揚げた。従軍していたロイター通信記者が「米海兵隊星条旗を掲げる」と打電した。地上戦初の「勝利」情報は、しかし米英当局を混迷に突き落とした。イラクを「解放」しに来たはずだ。「征服」に来たわけではない。上官命令で旗は間もなく降ろされた。「イラク国民に占領と受け取られかねない行為は慎め」と全軍に厳命していた英国では、議会がフーン国防相に「米国に抗議しろ」と詰め寄った。翌22日の記者会見でフランクス米中央軍司令官は「兵士の気持ちはわかる」と弁明に追われた。国境の別の町サフワンでは同日、米英の従軍記者が「フセインの圧政から解放され、歓喜して米兵を迎える市民」を報じた。だが、翌日・u「貌・辰進藤腺贈探Ⅷ圓・椶砲靴晋・覆楼磴辰拭・嗣韻魯屮奪轡綢臈・里悗療┛佞鬚爐Ⅸ个靴砲掘◆崟衫里靴僕茲燭里・廚筏佑甦鵑辰拭・・w)w)米英が世界に見せたいと考えた「正義の戦争」が、ほころび始めた。従軍記者600人CNNは21日、イラク南部に侵攻した米陸軍第3歩兵師団を「伴走中継」した。画面は、攻撃用ヘリに先導され、砂煙を巻き上げて疾走する戦車部隊や炎上する油井を映し出した。
「まるで巨大な鋼鉄の波です。最前線から報告できて、私は幸運だ」。記者の声がうわずった。22日には、別のクル―が南部で抵抗を続けるイラク軍との戦闘を実況した。こうした映像は、緒戦の順調な戦果と相まって、短期決戦への期待を高め、株価を押し上げた。視聴者が戦闘に参加している錯覚さえ生む今回の戦場報道を、BBCは「テレビゲーム戦争」と呼ぶ。米軍史上、空前の規模とされる約600人の従軍記者と、衛星で瞬時に映像を送れる「ビデオフォン」など通信技術の進展が、例のない「前線の実況」を可能にした。

ベトナム戦争当時、従軍記者が送る悲惨な戦場報道が反戦機運を広げた教訓から、米軍は91年の湾岸戦争では従軍取材や兵士へのインタビューを厳しく制限した。約千人の報道陣は、前線から遠く離れたサウジアラビア・リヤドの司令部で会見を聞くしかなかった。なぜ情報管理に熱心なブッシュ政権が従軍取材を認めたのか。英紙フィナンシャル・タイムズは、「市民に犠牲者を出さないよう、米英軍がいかに細心の注意を払っているかを、世論に訴えるため」と米英軍へのメディア対策アドバイザーの話を伝えた。国際世論の反対を押し切って始めた戦争だけに、「正義でクリーン」を印象づけたい。兵士と記者が前線で寝起きを共にし、メディアの側に「一緒に敵と戦っている」という意識が育まれるのを期待したとの指摘もある。

中東には「自前」の生中継91年1月17日、世界中の人々は多国籍軍によるバグダッド空爆開始を、ぼんやりとしたCNNの暗視カメラの映像で知った。バグダッドから第一報を送ったピーター・アーネット記者は、今月21日の大空爆の初日、米NBCのリポータ―としてバグダッドにいた。12年前との違いは、キノコ雲とともに吹き飛ぶ粉々の破片まで映し出す極めて鮮明な映像だ。技術の進展で、少人数のクルーや無人カメラでも劇場映画さながらの映像と音声の送信が可能になった。あまりの迫力に米国のアンカーマンが「ピーター、大丈夫かい」と思わず声をかけたほどだ。しかし今度の戦争で、迫真の映像の発信者は、もはや米メディアの独占ではない。

アルジャジーラアラブ首長国連邦(UAE)に本拠を置くアブダビテレビは、市内各所にカメラを置き、もっと詳細で迫真の映像を流し続けた。かつてCNNでしか湾岸戦争の戦況を知るすべがなかったアラブ諸国の市民は、こうした新興テレビ局にチャンネルを合わせた。猛煙を噴き上げて炎上するバグダッドはゴールデンタイムの中東諸国に生中継され、人々の憤激を呼んだ。「官製報道ばかりで報道の自由がない」といわれる中東で、96年に設立されたアルジャジーラは欧米流の客観報道で視聴者を増やしてきた。足場は双方に「米英によるイスラムへの攻撃」をアラブ諸国に呼びかけたいフセイン政権は、アルジャジーラに「自由な取材」を認めた。同局は開戦直前にイラク駐在記者を3人から7人に増強。地方都市にも記者を派遣し、22日にはバスラで頭を吹き飛ばされた子どもの姿を放映した。ニュースはアラブ諸国だけでなく、欧州でも大きく報じられた。

一方、「イスラムへの攻撃ではない」ことを印象づけたい米英両政府もアルジャジーラを無視できない。政府や軍高官は単独インタビューを受け、米英軍への従軍取材にも記者を受け入れた。
「攻撃側」と「攻撃される立場」の双方に足場を置くことになった同局は、西側外交官に「バランスが取れた報道だ」(英紙)と言わしめた。米兵捕虜の映像を流したアルジャジーラを「ジュネーブ条約違反だ」と非難したラムズフェルド米国防長官に対し、同局の広報担当が反論した。「映像は捏造(ねつぞう)されたものではなく、実在したものだ。これが戦争の現実だ。私たちの義務は、戦争を様々な角度から伝えることだ」

あしゅら