【ねこまたぎ通信】

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 JICAナイロビ都市交通網整備計画調査

事業事前評価表(開発調査)

作成日:平成16年4月28日
担当グループ:社会開発部第三グループ


1 案件名
ケニア国 ナイロビ都市交通網整備計画調査


2 協力概要
(1) 事業の目的
2025年を目標としたナイロビ都市圏の都市交通マスタープランを策定する。また、M/Pで特定された2010年頃までに完成が見込まれるプロジェクトに対して、プレF/Sを実施する。

(2) 調査期間
2004年7月-2005年10月(16ヶ月)

(3) 総調査費用
約3.8億円

(4) 協力相手先機関
道路公共事業省、地方自治省、ナイロビ市

(5) 計画の対象(対象分野、対象規模等)
ナイロビ市及びその周辺地域の全道路

3 協力の必要性・位置付け
(1) 現状及び問題点
約250万人の人口を有する首都であるナイロビ地域では、市内道路の未整備、ラウンドアバウトと呼ばれる交差点の処理能力上の問題、モンバサ港よりウガンダに至る国際幹線道路は市内中心部の都市内生活道路と重複していることなどにより、道路網が効果的に機能しておらず、交通量の増加とともに交通渋滞、交通事故多発、経済活動への影響といった社会問題も引き起こしている。

このため、ケニアでは同地域の交通システムを整備し、都市機能の向上を図ることが緊喫の課題となっており、これらの課題を解消することを目的として、道路網整備、交差点の改善、交通施設の導入等のハード面と制度整備等の、ソフト面を含めた総合的な都市交通戦略が必要となっている。本調査を通じ、現在の国・地域の状況を踏まえた、最も現実性があり、かつ効率的な方策を提言することが求められている。

(2) 相手国政府国家政策上の位置づけ
ケニア国では、第9次国家計画(2002年〜2008年)において、都市機能の整備が、貧困の撲滅とともに国家発展にとって必要な政策であると位置づけられている。また、今年末を目途にナイロビ首都圏の総合開発計画(2030年頃目標)が策定されるところである。なお、当該調査は2025年までのM/Pを作成予定であり、これを当該総合開発計画に盛り込む予定である。なお、目標年次について、都市交通のM/P作成においては概ね20年後の計画が通例的かつ現実的であることから、2025年までの計画を作成することとする。

(3) 他国機関の関連事業との整合性
ケニアの道路セクターでは、世銀、EU等の各ドナーがRoads2000というセクタープログラムの下、ナイロビ-モンバサの道路整備、地方道路整備、既存道路のリハビリに対して支援を行っている。本プロジェクトは、他ドナーが援助を行っていないナイロビ地域の都市交通計画を実施するものである。

(4) 我が国際援助政策との関連、JICA国別事業実施計画上の位置づけ
2000年に我が国が実施した経済協力総合調査では、援助重点分野を人材の育成、農業開発、経済インフラの整備、人口・エイズ・保健医療、環境保全の5点とすることで合意を得た。また、本調査は、JICA国別事業実施計画の「経済インフラの整備」に位置づけられる。

4 協力の枠組み
(1) 調査項目
(a) 現状分析、課題の把握
(ア)交通調査

(イ)道路インベントリー

(b) マスタープラン作成調査
(ア)将来需要予測

(イ)マスタープラン基本方針の作成

(ウ)環境社会配慮(IEEレベル)の実施

(エ)維持管理計画を含めた事業計画の作成

(オ)経済分析・財務分析

(c) プレF/S調査
(ア)代替案の作成及び比較検討

(イ)概算設計及び積算

(ウ)環境社会配慮(Pre-EIAレベル)の実施

(エ)実施計画の作成

(2) アウトプット(成果)
(a) 計画策定
ナイロビ都市圏 都市交通マスタープランの策定(目標年次:2025年)
優先プロジェクトのプレF/S調査報告書の提出(目標年次:2010年)
(b) 技術移転:総合都市交通計画作成についての技術が移転される。
(3) インプット(投入):以下の投入による調査の実施
(a) コンサルタント(分野/人数)
分野 人数 分野 人数
総括/都市交通政策 1 交通需要予測 1
都市交通/土地利用計画 1 交通調査・解析 1
組織制度/事業運営計画 1 経済・財務分析 1
道路整備計画 1 自然条件/自然環境配慮 1
公共交通計画/交通管理計画 1 社会環境配慮1(戦略アセス) 1
施設設計/施工/積算 1 社会環境配慮2(住民参加) 1

(b) その他(研修員受入等)
再委託(交通量調査、道路インベントリー調査、自然条件調査、環境調査)、事業効果の検証のためのパイロットプロジェクト(交差点改良)の実施
技術移転(現地セミナーの開催、国別研修の実施)

5 協力終了後に達成が期待される目標
(1) 提案計画の活用目標
策定された計画が順次実施されること (目標年度:2006〜2025年)
ナイロビ首都圏都市総合開発計画の都市交通分野において当該M/Pが計画に反映されること
(2) 活用による達成目標
ナイロビ首都圏における交通渋滞の緩和
ナイロビ首都圏における交通事故の減少
ナイロビ首都圏における社会環境の改善

6 外部要因
(1) 協力相手国内の事情
(a) 政策的要因:政権交代等により提案事業の優先度が低下しない。

(b) 行政的要因:当該分野に対する予算が適切に配分される。

(c) 経済的要因:対外債務の増大、失業率の上昇等、経済状況変化による整備資金が不足しない。

(d) 社会的要因:対象地域における治安が悪化しない。

(2) 関連プロジェクトの遅れ
特になし

7 貧困・ジェンダー・環境等への配慮(注)
道路整備に伴い、周辺の低所得者層が移転対象となり、経済・社会的に影響を被る可能性があることに配慮する必要がある。
バイパス道路建設をM/Pに含める場合、バイパスに隣接する国立公園の環境に与える影響について配慮する必要がある。
交通モードの見直しを含む交通網整備による貧困層への経済的効果を検証する。

8 過去の類似案件からの教訓の活用(注)
92年に実施したナイロビバイパス詳細設計調査は、環境面等諸処の問題から事業化するに至っていない。本調査においては特に環境面におけるステークホルダーとのコンサルテーションや住民への情報公開に努める必要がある。
先方の道路維持管理能力が不十分であることが指摘されており、本調査においても維持管理計画をM/Pの段階で組み入れていく必要がある。
過去に実施した都市交通案件においては、大規模なインフラ整備を提案しても実際の事業化に繋がりにくいケースが多かったため、今回調査においては、実現可能な計画を策定していく。

9 今後の評価計画
(1) 事後評価に用いる指標
(a) 活用の進捗度
策定されたマスタープラン及び提案された優先プロジェクトが実施されているかどうか。
(b) 活用による達成目標の指標
都市圏平均時間、渋滞における経済損失、渋滞時間、交通事故の減少

地域の活性化及び労働機会の増加
渋滞緩和に伴う環境の改善
(2) 上記a.およびb.を評価する方法およびタイミング(案)
フォローアップ調査によるモニタリング
必要に応じて、2010年以降に事後評価を実施。