もうひとつIPSの記事
欧州の「死の商人」たち 2008/02/17
【ブリュッセルIPS=デイビッド・クローニン、2月8日】
http://www.news.janjan.jp/world/0802/0802160903/1.php
昨年末に行われた大統領選ののち混乱が続いているケニアの西部にエルドレットという都市がある。1990年代半ば、ベルギーの企業「FNエルスタル」( FN Herstal )が弾薬工場をそこに開いた。
同工場は、1994年にルワンダで発生した大量虐殺に関与した軍閥に武器を供給したとして非難されている。現在ではケニアでの人権侵害に同工場の武器が使われているとして、「アムネスティ・インターナショナル」などが懸念を示している。
欧州連合(EU)の武器輸出規則は、国内での抑圧や武力紛争に使われる恐れがある場合には、武器輸出の許可をしてはならないとしている。しかし、エルドレットで製造される武器は、たとえEUの企業によって製造されたものであっても、地理的にはEUの管轄外にあるため、自由に売りさばくことができる。
また、EUの規則は、政治的動乱や民衆による抵抗が行われている国への武器輸出も禁じていない。実際、イスラエルがパレスチナの民衆抵抗を抑圧しレバノンに武力攻撃を仕掛けている2006年の間に、10億ユーロを超える武器が同国に輸出されていたのである。
EUはダルフール危機が起こっているスーダンに対しては武器を禁輸するとの公式見解を採っているが、現実には、200万ユーロ以上の武器輸出が許可されている(2006年)。また、フランスは、デビー大統領とその反対勢力との間の戦闘がつづくチャドにも、25台の装甲車両の輸出を許可している。
EU規則には法的拘束力がないという問題もある。EU各国は、2005年、これに法的拘束力を与えることに合意した。しかし、フランスが、1989年の天安門事件以来禁止されてきた中国向け武器輸出が解禁された場合にのみこれに同意すると主張して、手続きが暗礁に乗り上げている。
それどころかEUは、武器輸出をより容易にしようとの動きに乗り出している。昨年12月、欧州委員会は、武器輸出手続を簡素化するための提案を行った。それによれば、輸出規制機関は、武器の最終仕向け地を今後考慮することなく輸出許可を出すことができる。たとえば、オランダの企業がフランスの企業に武器の部品を供給する場合、その部品を使った武器がフランスの企業によって最終的にどこに売られるかを考慮に入れる必要がなくなるのである。
欧州の武器輸出規制の現状について報告する。(原文へ)http://ipsnews.net/news.asp?idnews=41129
翻訳/サマリー=山口響(IPS Japan )
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