アンナの死
悲しみが先行していましたが,最近になってむかむか腹が立ってきたので,やっぱりアンナのことを取り上げないわけにはいきません.
●信じられねー アンナ・ポリトコフスカヤが暗殺された! - 【ねこまたぎ通信】
涙を禁じ得ませんでした.
●アンナ・ポリトコフスカヤ追悼 石川逸子 - バイナフ自由通信+原発ダイアリー
アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺の衝撃は,かつてのジョン・レノン暗殺に匹敵するか,それ以上でありました.
ま,まさか,ということが現実に起こるのが今の世界の状況でもあります.これほど著名なジャーナリストが,あからさまに,いとも簡単に殺されてしまうなんて.
チェチェンでの拷問に関する取材をまとめていたアンナの家からは,捜査のためと云うことでパソコンや記憶メディア,写真等の映像全てが警察に押収されたそうです.一部はネット上にも流出していますが*1,彼女の成果の全てが日の目を見ることを願ってやみません.すでに神経ガスがチェチェンで使用されているという報道は,アンナ自身の記事で配信されていますが,暗殺者が怖れたのはそれだけではないのでしょう.
●Anna Politkovskaya reports on suspected mass poisoning of schoolchildren in Chechnya | World news | The Guardian
●アンナ・ポリトコフスカヤの最後の記事: tnfuk [today's news from uk+]
●http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/e39fdddc3a3779ca8fe92b8792487f4f
一方,アンナの死について日本のマスメディアは,黙殺といっていいほど取り上げることがありません.チェチェンがらみの報道関係者がどれほど多く闇に葬られてきたかを知ってか知らいでか,よくもまあ,これだけ露骨に無視出来たものであるとまったく感心いたします.チェチェンはおいそれと無視出来るような状況じゃないんだが,それとも,命に関わるほどの重大な事件は,おれ,かんけーねーもん,というわけでしょうか.だったら,ジャーナリズムは要りませんな.通信社や大本営発表をコピーして写すだけなら,年収150万くらいで十分じゃないでしょうか.
自分たちの使命を再考してもらいたいものです.
ここんとこPublicityもブログとメルマガで立て続けにアンナの暗殺についての記事を配信しています.
ジャーナリズムとして正しいです.
真にジャーナリストの魂を持つのであれば,アンナの心と体の痛みを共有出来るはずです.
●http://takeyama.jugem.cc/trackback/656
悔しい。なんだ、この悔しさは。感情を抑えて書いているが、これ以上書いたら抑えきれない。新聞を読んで涙が出たのは、子どもが親に殺された記事以来だ。
体も、心も、痛かったろう。どれほど無念だったろうか!
しかし。彼女は殺されたが、断じて【負けたのではない】。
そして、【彼女を勝たさねばならない】。
何十、何百のアンナ・ポリトコフスカヤが、今までもいたし、今もいるし、今からも生まれるだろう。
この「自由な言論」の流れに目を瞑って論じられる「愛国」は畢竟、「売国」に通じるに違いない。
本気で喧嘩する時は、結局、殺されるように書くしかないのだろうか。未来のわが身に事寄せて考える以外、いまは、感情を抑える手立てが見つからない。
その情況で、その立場で、その能力で、その感情で、何に事寄せて・言寄せて書くべきか──海の彼方から、チェチェンの地から、言論の根本基準を教えてくれた彼女に、ぼくは、ぼくの果てのない感謝を捧げる。
そして彼女の親族と、彼女の恩恵を受けた人々の、そしてこれから恩恵を受ける人々の、幸福と幸運を祈る。
日本では,どうして,これほどまでこの事件は無視されるのでしょうか?
また,朝鮮人や中国人に対しては俄然強気を発揮するニポンジンたちですが,相手が白人種や偽ユダヤ人になるとぐぅの音も出せないのはどういうわけでしょうか?
日本のジャーナリズムが単に終わっている,ということなのでしょうか?
NHKもよくやる「偏向報道」は,相手が見えるだけまだ良いのです.嘘は嘘として残り続けますが,黙殺というのはホントに不気味です.
大事なものは何も伝えない,これが,B層衆愚政治のやり方です.
そういえば,最近我が国の外相が核保有議論絡みで,「日本は言論統制された国ではない。言論の自由を封殺するということにくみしないという以上に明確な答えはない」などと云った発言を聞くに及んでほんとむかついたよ.よくゆーよ.
言論は「核保有論」だけじゃないぞ.
●http://takeyama.jugem.cc/?eid=668#sequel
彼女の記事は大した影響はなかった.現政権にとって、こうした事件の発生自体が、彼女の書いてきた批判記事より痛手だよ.けけけけけ.
プ,プーチン,こわい.