【ねこまたぎ通信】

Σ(゜◇゜;)  たちぶく~~ Σ(゜◇゜;)

 ゴジラ対ヘドラ

ゴジラ対ヘドラ [DVD]

ゴジラ対ヘドラ [DVD]

唐突ですが,夕べ「ゴジラ対ヘドラ [DVD]」(1971年)を観ました.
異色・傑作として高い評価を受けた作品ですが,子供の頃観たまんまでほったらかしにしていました.

ゴジラファンの私ですが,このころのゴジラ映画ってあまり好きじゃありませんでした.核実験によって生まれ,人類文明に対する復讐の化身と化した凶悪なゴジラが,日本の高度成長に歩調を合わせるかのように造形もどんどん漫画チックになり,いつのまにやら子供のアイドルのように扱われていき,ただのお祭り映画に堕していきました.かわいいゴジラは私にはちょっと退屈でした.

ゴジラ対へドラ」は1971年の映画ですから,高度成長の頂点,公害問題が大きな社会問題として取り扱われはじめた時代でした.それを題材にしてヘドロから生まれたヘドラという怪獣なんですが,昨日改めて観てちょっと驚きました.映像も演出もそれまでのゴジラ映画とは異質で(ゴジラの造形は非道いですが),ややアンダーな画面にサイケデリックで妖しい,時にはグロテスクなシーンがちりばめられていて,ちょっと子供向けの映画とは思えないところが多々あります(同時上映が,「わらしべ長者」「帰ってきたウルトラマン」「いなかっぺ大将」「みなしごハッチ」です ^^;).

ヘドラの造形も素晴らしく,ヘドロの海で真っ赤な目を光らせて泳ぎまわるシーンには背筋に冷たいものが走りました.ゴジラヘドラを振り回すと,街中にヘドロが飛び散り,ヘドロまみれになった猫が悲しげに「にゃあ」と鳴くシーンは秀逸です.ヘドラが行くところは死体の山になっていきます.タイトルと本編の挿入歌として歌われる「水銀,コバルト,カドミウム〜♪」というテーマ曲「かえせ!太陽を」は,もうホントに強烈で,ぶっ飛びましたです.

「かえせ!太陽を」
       唄:麻里圭子 作詩:坂野義光 作曲:真鍋理一郎

  水銀 コバルト カドミウム
  鉛 硫酸 オキシダン
  シアン マンガン バナジウム
  クロム カリウム ストロンチュウム
  汚れちまった海 汚れちまった空
  生きもの皆 いなくなって
  野も 山も 黙っちまった
  地球の上に 誰も
  誰もいなけりゃ 泣くこともできない
  かえせ かえせ かえせ かえせ
  みどりを 青空を かえせ
  かえせ かえせ かえせ
  青い海を かえせ かえせ かえせ
  かえせ かえせ かえせ
  命を 太陽を かえせ かえせ

この映画はこんなに凄かったんだ!!

  げんばく、すいばく
  しのはいはうみへ
  どくがす、へどろ、
  みんなみんなうみへすてる、おしっこも
  ゴジラがみたらおこらないかな
  おこるだろうな

  2ねん1くみ 矢野 研(やの けん)

と主人公の少年の詩が流れ,暗い海の向こうでゴジラが咆吼しています.


文明の狂気が生み出したゴジラヘドラは,ある意味兄弟のような存在です.核時代の申し子として生まれながら日本の高度経済成長と共に変節を繰り返してきたゴジラ,その高度経済成長の弊害である公害が生みだしたヘドラ,そんなゴジラヘドラが戦うのは実に皮肉な話です.この辺に監督のメッセージが込められているのでしょう.

(ちなみに監督は坂野義光という人で,ゴジラ作品はこの一作のみ.ゴジラ映画はこの作品を挟んで本多猪四郎(日本映画の金字塔第一作ゴジラの監督)と福田純が交互に作り続けていました.)

ゴジラは私たち自身なんだなあ,ということに改めて気付かされました.


ヘドラ
http://ww5.enjoy.ne.jp/~moririn/ybanno.html
ゴジラ on the Web
HugeDomains.com - Godzilla3d.com is for Sale (Godzilla 3d)