【ねこまたぎ通信】

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 伝えることの大切さ、相手の心と想像力、だね。

ひと:ハッサン・アボッドさん 自衛隊派遣違憲訴訟の原告

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 亡くなった隣人たちの写真を携えながら異国の法廷に立った。「この女性は米軍の誤射の犠牲になり、遺族には補償もない。近所の5歳の男の子は必要な手術が受けられず、死んでいきました」
 自衛隊イラク派遣は「武力行使にあたり違憲」と関西の市民らが昨春、大阪地裁に起こした訴訟の原告団に加わった。2月下旬の口頭弁論では母国の惨状を証言。「イラクの現実を日本の人々に伝える。私の役割はまさにそこにある」
 詩人になるのが夢だった。だが、イラクはイランと8年にわたって争い、続いて起きた湾岸戦争では自身も戦場に。「こんな状況では詩どころではない。それで死とか戦争の問題を記事として書くようになったのです」
 新聞や雑誌に投稿しながらも文学への思いは募る。00年春、「世阿弥の心を知りたい」と日本の大学に留学。3年の期間を修了していざ帰国、というとき米英の攻撃が始まった。
 「無辜(むこ)の民の命を奪うのはもうやめてくれ」と心の中で叫びながらこの2年、取材を続けてきた。「イラク人のジャーナリストが海外のメディアに記事を書いてもすべてが載るわけではない。イラク側の損害には紙面を割こうとしない」と唇をかむ。その悔しさから、裁判の原告になった。
 「私の国はいまも戦闘状態にある。我々が求めるのは非軍事の支援。特に医療援助は緊急に必要です」と切実な声をあげる。イラク人の手によってこそ「真の国の再建ができる」と断言する。
 文・明珍美紀
 【略歴】イラク・バビロン市生まれ。ジャーナリスト。バグダッド大卒。88〜91年、軍に入隊。00〜03年、岐阜大に留学。現在はフリーで地元紙などに寄稿。38歳。
毎日新聞 2005年3月28日 0時45分