【ねこまたぎ通信】

Σ(゜◇゜;)  たちぶく~~ Σ(゜◇゜;)

夏休み よい本に出会えるよ

 公立の学校のほとんどが夏休みに入った。日ごろ手にしない長編や全集ものを読むチャンスだ。読書が面白くなればおのずとゲームセンターや夜の徘徊(はいかい)などから足が遠のく。非行防止の一石二鳥だ。

 最近、電車の中で本を読んでいる若者をよく見かける。携帯電話を握りしめている乗客が多いだけに、ことさら目立つのか。それとも、活字離れに歯止めがかかりつつあるのか。データを見てみよう。

 文化庁が昨年夏に発表した「国語に関する世論調査」の中に、読書(雑誌や漫画は除く)に的を絞ったアンケートがある。一昨年の十一月から十二月にかけて、全国の十六歳以上の男女三千人を対象に行った。

 「傾向は一年や二年で変わるものではない」(同庁国語課)から、今日にも当然、当てはまる。

 まず驚かされるのは、一カ月間に一冊も本を読まない人が全体の37・6%もいる、ということだ。すなわち高校生以上の日本人のうち、三人に一人強はまったく本を読んでいないことになる。

 もちろん、少ないが、たくさん読む人もいる。十一冊から二十冊が2・6%、二十一冊から三十冊が0・7%などだ。最も多いのは一冊から十冊で、58・1%だった。

 小、中、高校生らにこの夏休み、本を読もうと呼びかける根拠は、一連のデータの中からも見いだせる。

 興味を持って最も本を読んでいた時期を尋ねる設問に対しては、30・2%が十代後半、と答えている。これに、十代前半と二十代前半を加えると、実に66・4%に達する。

 要するに、本をよく読む人は小学校の高学年から大学生にかけて、読書の習慣を身に付けている。

 若いころの知的な体験が、その後の人生を決定付けた話はしばしば耳にする。ノーベル化学賞を受けた野依良治さん(理化学研究所理事長)が、化学にのめり込んだのは十二歳のとき、ナイロンが空気と水と石炭からできていることを知ったのがきっかけだった、という。

 本を読めば、あらゆる知的な体験ができる。宇宙を旅することもできれば、著者の苦悩を共有することもできる。

 約四十日間に及ぶ夏休みは、少年や少女が非行に走りやすいときでもある。売春行為を「援助交際」、家出を「プチ家出」などと称し、ことの本質をそらしてしまう社会の風潮にも責任の一端はあろう。

 とはいえ、なんといっても大切なのは、本人の気の持ちようだ。終生の羅針盤となるような名著を読もうではないか。時間はたっぷりある。