【ねこまたぎ通信】

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膨張、米戦場ビジネス 警備、取り調べ、軍への給食まで

19日、ハリバートン株主総会が開かれた米テキサス州・ヒューストンのホテルの外で抗議する女性=AP。ハリバートングループがイラクで受注した事業をめぐっては、水増し請求の疑いが消えていない

 イラク戦争を機に、戦場をビジネスの場にする企業の存在がにわかに注目を集めている。冷戦後、縮小する米軍が業務の外注を進めた結果、企業は軍と武器供給ではなくサービスを通じて結びつきを強めた。米兵による虐待事件が起きたイラクアブグレイブ刑務所では、米企業から派遣された社員が取り調べにまで携わっていた。かつてアイゼンハワー米大統領が警告を発した「軍産複合体の影響力」は姿を変えて膨張している。

 職種・取調官▽勤務地・バグダッド▽年収・9万〜10万ドル(約1030万〜1130万円)とボーナス……

 米軍関係の求人を扱う民間のホームページにこんな条件が並ぶ。アブグレイブ刑務所に取調官を派遣していたCACI・インターナショナルの求人情報もある。

 情報関連企業のCACIの本社は国防総省と同様、ワシントンに隣接するバージニア州アーリントン郡にある。朝日新聞記者の問い合わせに、CACIは「取材には応じられない」としているが、公表資料によると、90年度に約1億5千万ドルだった売り上げが03年度には約8億4300万ドル(約950億円)に達した。うち64%が国防総省相手の事業だ。米兵に対するコンピューター操作の教育から機器の管理、ソフトウエアの開発まで。取調官や通訳の派遣など取り調べにかかわるサービスもその一部だ。経営陣には元国防総省高官も並ぶ。

 3月31日、イラクファルージャで民間米国人4人が殺害された。被害者は、米ノースカロライナ州の警備会社ブラックウオーター・セキュリティー・コンサルティングに雇われた元軍人。食料を運ぶ車両部隊の警備中に襲われたという。

 暫定占領当局(CPA)によると、警備にかかわる分野だけで米企業60社に雇われた民間人約2万人がイラクで働いている。これに対し、イラクに展開している米兵は約13万人だ。

 米軍は90年代に業務の外注化を進めた。冷戦終了で国防費が削減され、兵員も90年の204万人から02年には141万人に減った。特に後方支援部門の削減が目立つ。一方で湾岸戦争後もコソボ空爆ソマリアボスニアでの平和維持活動など米軍の活動は続く。その溝を埋める形で急成長したのが、米軍の業務を受注する民間企業群だ。

 米会計検査院(GAO)は昨年6月、ボスニアコソボペルシャ湾岸地域での民間軍事サービス産業の活動について報告をまとめた。それによると、業務の範囲は通訳、基地の運営、武器の補修、基地の入り口や周辺の警備、情報分析、他の民間企業社員の監督など多岐にわたる。

 国防総省の年間予算は現在、約3750億ドル。外注化による経費削減効果は「年間60億ドル」(96年の国防総省の諮問委員会報告)とも「年間20億ドル」(97年のGAOの報告)とも言われる。

 これに対し、ブルッキングズ研究所のシンガー研究員は「経費より、むしろ政治的コストの削減効果が大きい」と指摘する。「軍事サービス産業のおかげで、招集される予備役も、死亡する米兵も減り、政治的な抵抗が抑えられる。戦争の原因とは思わないが、戦争をしやすくしているのは間違いない」

 危険な地域での注文に柔軟に対応してもらえるよう、国防総省は外注する際、細かな事業内容を特定せずに包括的な契約を結ぶことが多い。限られた総額内ならかかった費用にもとづいて経費を請求できるケースが多く、企業が経費を抑える誘因が働かない。イラク戦争では、チェイニー副大統領が最高経営責任者(CEO)を務めていたハリバートンのグループ企業による給食事業などで、水増し請求疑惑も起きている。

 軍事サービスのビジネスの場は国境を超えて広がっている。新生イラク軍の訓練を担当する軍需産業大手ノースロップ・グラマンのグループ企業ビネルは、サウジアラビアで軍の訓練なども請け負っている。シンガー研究員は「世界的な軍事サービス産業の市場規模は年間1千億ドル(約11兆円)にものぼるとみられる。誰が誰のために働くことができるのかなど、国際的なルールが必要だ」と話す。 (05/26 09:04)

朝日

●「ねこまたぎ通信」に設置したイラク戦費カウンター参照
 これらの金は,どこに支払われるのか.
http://takapapa.com/nekomatagi.html