【ねこまたぎ通信】

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これだよ,これ

東洋経済2004/4/24

「立ちすくむ復興支援」山田徹也、西村豪太

復興支援プロジェクトの基礎調査に携わり、3月末に調査報告書をまとめたコンサルタント会社・日本工営は「社員はヨルダンのアンマンにいて、イラク国内の情報は現地人を使って集めた」という。調査では鉄道や空港、港湾など計7分野をまとめあげたが、今後、実際に現地で送電線や鉄道などインフラの敷設作業をする場合、日本人なしでできるか、視界不良だ。
援助の受け手であるイラクの正当な政府が、どう立ち上がるのかも見えてこない。今年6月末に主権が委譲され、05年3月に暫定議会選挙が行われる予定だが、国際協力銀行開発第三部の佐々木篤次長は「(援助の実施には)日本政府のにん地に加え、国際的に認知された正当性のある政府が出来ることが必要」という。渡し切りの無償支援は地方自治体や病院など、政府以外にも贈与できるが、借金である有償支援は20〜30年かけて返済してもらう必要があるからだ。
巨額の支援額にNGOから困惑の声も漏れる。NGO16団体が加盟してつくる国際緊急人道援助団体「ジャパンプラットフォーム」は「20億円もの資金は、日本のNGOが受けとる金閣としては過去に例がない」と戸惑いを隠せない様子だ。傘下団体は「これまで外務省は顔の見える援助を、と言っておきながら、今回は何かあった時の世論をおそれ、日本人スタッフは現地に入らないように、と言う。企業なら現地企業に丸投げできるが、安全を理由にそれをするとNGOの存在意義にかかわる」と悩む。

イラクはもともと貧しい国ではなく、復興すれば今まで全く無に等しかった人口2400万人のマーケットが突然出現する。中東ビジネスは属人的なコネクションの世界で、最初にどれだけの実績をつくれるかが大きい。」(日本経団連幹部)。今後4年間で50億ドルの復興マネーの行き先に経済界は熱い視線を注いできたが、治安の悪化を前にその期待は急速にしぼみつつある。「イラクの原油埋蔵量は1125億バレル200兆以上が地下にねむっている計算になる」。政府関係者はイラク援助の”意義”をこのように解説してみせるが、援助の現場は危険の前に立ちすくんでいる。
(週間東洋経済2004/4/24、p21部分抜粋)