【ねこまたぎ通信】

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イラクで3邦人誘拐、自衛隊撤退要求 イスラム過激派か

 バグダッドに向かっていた3人の日本人が誘拐され、その映像が8日夜、カタールアラビア語衛星テレビ局アルジャジーラで放映された。犯人グループはイスラム過激派と見られ、放映から3日以内に自衛隊イラクから撤退するよう要求。撤退しない場合には3人を殺害する、としている。福田官房長官は8日夜、首相官邸で緊急に記者会見し、犯人グループが要求している自衛隊の撤退には応じない考えを表明。小泉首相から救出に全力を挙げるよう指示があったことを明らかにした。
 政府は邦人がイラク国内で戦闘や事件に巻き込まれる事態を警戒し、イラク全土に退避勧告を出していた。しかし、7日夜(日本時間8日)に南部サマワで活動している陸上自衛隊の宿営地近くに迫撃砲と見られる砲弾3発が撃たれ、日本が標的となる事件が相次いだことになる。拘束が長引けば、厳しい判断を迫られることになる。

 アルジャジーラが放送した映像に映っていたパスポートなどから、3人は、フリーカメラマン郡山総一郎さん(32)=東京都杉並区在住=、フリーライター今井紀明さん(18)=札幌市西区在住=、高遠菜穂子さん(34)=北海道千歳市出身。

 福田長官は会見で、事件について「仮に報道通り無辜(むこ)の民間人が人質にとられているのが事実なら、許し難く強い憤りを覚える。ただちに解放を求める」と強調。自衛隊の撤退については「そもそも我が国の自衛隊は、イラクの人々のために人道・復興支援を行っている。撤退の理由はないと考えている」と述べた。首相から「まず事実を確認し、人質になった人を無事救出することに全力を挙げるように」との指示があったと説明した。

 犯人グループが自衛隊イラク派遣に反対してこうした事件を起こしたと見られることから、政府に責任があるかどうかについては「何の責任ですか。自衛隊を派遣しなければテロは起こらなかったんですか。テロはどこにいても起こる可能性がある。まず今、何をやっていくかを考えるべきじゃないか」と語った。

 福田長官は、犯人グループの「サラヤ・ムジャヒディン」と名乗る組織は、どういう組織か特定されておらず、日本政府とは直接接触していないと説明した。事件の予告は「なかったと思う」と述べた。また現地で指揮をとるため、9日、逢沢一郎外務副大臣をヨルダン・アンマンに派遣することを明らかにした。

 政府は8日夜、外務省に対策本部、首相官邸に対策室をそれぞれ設けた。小泉首相は午後6時40分すぎから東京都内のホテルで報道各社の論説委員らとの懇談会に出席していたが、9時ごろ都内の仮公邸に戻り、秘書官から報告を受けた。

 一方、自民、公明両党は幹部が午後9時半から自民党本部に集まって対応を協議。自民党の安倍幹事長、公明党の神崎代表らによる対策本部を立ち上げた後、それぞれ幹事長談話を出し、自衛隊を撤退させないという方針に同調する考えを表明した。

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 カタールアラビア語衛星テレビ局アルジャジーラは8日、「サラヤ・ムジャヒディン」と名乗るグループが同局に送りつけたという日本人男性2人、女性1人を誘拐した様子を映したビデオテープを放送した。同グループはイスラム過激派と見られ、「選択肢は二つ。イラクから部隊を撤退しろ。さもなければ殺害する。放映から3日以内に選択しろ」との犯行声明も放映された。アルジャジーラ側の説明では、テープは8日に届いたという。

 3人のうち、今井さんと高遠さんは元々顔見知りで5日、アンマンで落ち合い、別のアンマンのホテルに滞在していた郡山さんとも仲良くなり、一緒にバグダッド入りすることにしたらしい。ホテル側の話では、陸路でバグダッド入りするため、6日夜、タクシーに同乗して出発したという。

 与党幹部は「3人はアンマンからバグダッドに向かう途中で誘拐されたようだ」と語っている。

アルジャジーラ〉 96年にカタールに設立された衛星テレビで24時間放送。局名はアラビア語で「島」または「半島」を意味する。カタールの王族らが経営権を握る。記者の大半は中東諸国出身で、世界各地に30以上の支局がある。01年10月のアフガニスタン空爆直後には、同時多発テロ後初めてオサマ・ビンラディン氏の肉声のビデオ録画映像を放映したことで世界中に知られるようになった。

 視聴者は中東全体で約3500万人以上といわれる。イラク戦争ではイラク人犠牲者の数をテロップで刻々と伝え、米兵の捕虜や遺体映像を放映。米英政府側は「イラクの手先」などと批判した。インターネットではアラビア語のほか、英語でも情報発信している。

イラクと日本をめぐる出来事〉

03年2月 イラク全土に邦人退避勧告
   3月 イラク戦争始まる。小泉首相が米英中心の開戦を「支持」表明
   4月 フセイン政権崩壊
   5月 米ブッシュ大統領が大規模戦闘終結宣言
   7月 イラク復興支援特措法が成立
  11月 日本人外交官2人が殺害される
  12月 フセイン元大統領を拘束
      陸海空3自衛隊に派遣準備命令
      空自先遣隊がクウェートなどに出発
04年1月 陸自先遣隊がサマワ入り
      空自C130輸送機部隊が出発
   2月 バグダッド日本大使館員が一時退避
   3月 陸自第3波が出発、計550人体制に

(04/08 23:56)