空爆で母を亡くした姉妹 ろうそくの下で涙
【バグダッド山本紀子】「お母さんと寝たい」。ジェラーちゃん(3)は夜になるとだだをこねて、祖母を困らせる。復旧しない電気の代わりに灯されたろうそくの下で、ぼろぼろ涙をこぼし始める。母はバグダッドを襲った空爆で亡くなった。姉(12)と妹(1)も同時に犠牲になり、4姉妹のうち2人が残された。
母カミーラさん(35)は今月1日、4人の娘と家の前で夕涼みをしていた。突然「グォーン」という戦闘機の音が頭上に迫り、1歳の末娘を抱えたまま、慌てて駆け出した。しかし10メートルも走らないうちに、米英軍機から発射された爆弾が命中した。ジェラーちゃんと姉ハーラちゃん(7)は、両腕を失って全身血だらけの母に近寄って泣き叫んだという。
2人は今、昼間はニコニコ笑いながら近所の子供と遊んでいる。でも陽が沈むと不安そうな表情になる。「夜中に悪い夢を見るのか、時々『ママ、ママー』と叫ぶのです」。叔母は2人の頭をなでながら、何度も首を横にふった。
カミーラさんは夫と離婚後、イラクの産業省に勤めていた。「あの子がうちの大黒柱だった。これからどう生きていけばいいのか」。窓ガラスの割れた家の中で、ジェラーちゃんの祖母が放心したように座り込んでいた。
【イラク戦争被害者救援金】
イラク戦争では市民生活が破壊され、弱い立場の子どもや女性の生命が危機にひんしております。海外難民救援活動を続けている毎日新聞社と毎日新聞社会事業団は、人道支援に乗り出しているユニセフなど国連機関に協力し、「イラク戦争被害者救援金」を緊急に募集いたします。
「イラク戦争被害者救援金」と明記して左記へ郵便振替、現金書留で郵送していただくか、直接ご持参下さい。なお、物資はお受けできません。
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[毎日新聞4月19日] ( 2003-04-19-18:45 )