【ねこまたぎ通信】

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エチオピアから見る戦争

06/apr/2003

確か先月のアディス・アドマス紙(アムハラ語新聞)だったと思いますが、面白い風刺漫画がありました。
鼻高々で意気揚揚のブッシュ大統領の横に、少し不安げでおろおろしているブレア首相が付き添うように歩いているのですが、その二人の間に小さな子供の姿で描かれているエチオピアのメレス首相がいるのです。
それをアラブ諸国やアフリカ諸国の首脳達が遠巻にじーっと眺めているのですが、強者に挟まれた子供判メレス首相が、アラブ首脳らに対してあっかんベーをしていました。
米国のイラク攻撃に対して、私の周囲(配属先の学校関係者や大学生など)は、米国の覇権主義に嫌悪感を示し、武力行使反対の人が圧倒的に多いです。その反面、メレス首相が米国の側に立つことを選択したのは、経済援助を優先するのが現実なのだと諦め混じりに納得しているようです。
フセイン大統領支持者には今のところ出合っていませんが、フセインは独裁者だから悪だという認識がムスリムの友人などの間でも一致しているようで、フセイン支持は嘲笑されてしまうような雰囲気です。
イスラム原理主義も支持者は少ないように見受けますが、私の学校には、イラク戦争がはじまって以来、毎日のようにビン・ラディンのTシャツを上着の下に着ている生徒がいます。たまにビン・ラディンのヒゲがチラッとみえるので、学校に政治的思想を持ち込むことに対して、注意すべきか、躊躇しています。戦争反対署名の協力を頼んでくる生徒もいましたが、生徒も社会人も含めて大半が、興味はあっても所詮、遠くの戦争と見ているように感じます。米国製品不買運動を始めると言う友人もいましたが、その3日後にはコカ・コーラを飲んでいました。
昔からオーソドックスの教会の近くにイスラムのモスクが建っていることは珍しくなく、両者の土地の奪いあいもありますが、近年(特に911以降)、両者の関係が悪化していると見る人が結構います。外国からのモスリムが扇動しているとも聞きましたが、真偽は分りません。
かつてエチオピアが社会主義国だった頃を知っている高齢者達は、アメリカのやり方は性急で傲慢ではあるが、ああでもしない限り、あのような独裁政権はなかなか倒れない。自分達はイラクの人々の生活が困窮しているのがわかると口々に言っていました。また、イラクが先のエリトリアとの紛争で、エリトリア側を支援したから、イラクに対する同朋意識はないと言う人もいました。
戦争の影響に対しては、ガソリンやその他物価の値上がりが心配だとの声を多く聞きます。そのせいなのか、相変わらず乗客を乗せたままですが、ミニバスが最近頻繁に給油所に立ち寄っているのが目に付きます。
なぜ日本は米国支持なのかと問われる時もあります。
エチオピアが苦渋の選択で米国支持を出したのとは異なり、自衛隊もあり経済大国の日本が、同盟国である事を挙げて米国を支持するのは納得いかないと言われました。これに対して、私自身、日本の米国追従には疑問を持っているので、上手く反論が出来ません。
米国大使館やBRITISH COUNSEL(ピアッサ)が閉鎖されましたが、BRITISH COUSELは2日前に再開しています。反米反戦などのデモは無く、市民の抗議デモは有り得ないと言っていますが、あれば参加するという声も聞かれます。未だにエチオピアでは政府の取り締まりが厳しく、言論の自由が制限されています。
田舎に住む人々はイラク戦争をどう見ているのでしょうか。イラクやこの戦争があることすら知らない人々が多いと推測しますが、どなたかアディス郊外の声を聞かせてください。
インターネットも徐々に普及してきましたが、限られた情報源しかない国ですので、このような外交問題について、日本政府の考え(間違っていると困りますが)などを紹介しつつ、現地の人々と意見を交わすのは意義があると思っています。微力ですが、国籍、人種、宗教等々を超え排他と偏見をなくそうと周囲の人達に語りかけていきたいと思います。
アラミトゥ・コケブ