人を騙す連中とは、誰ももうつきあいたくはない
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No.587(2003/03/30/日)「Publicity」(パブリシティー) 編集人:竹山 徹朗
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http://www.emaga.com/info/7777.html◆◇目次◇◆
【めでぃあ・オフノート】
▼1441決議の真実
▼国連中心主義の知恵【転載】
▼神浦元彰(軍事アナリスト)の「J−RCOM」
解放軍になれなかったアメリカ軍【@編集室】
▼読者1400名突破、宗教としての国家
【めでぃあ・オフノート】
朝日新聞によると、衆院予算委員会(24日夜)でのイラク戦争をめぐる集中審議で、小泉首相はイラクが国連決議1441によって「(大量破壊兵器破棄の)最後の機会を与えられながらイラクが生かさなかった」と発言し、攻撃はやむを得ないとの考えを改めて強調した。
また、「正当性に対する解釈が違って(安保理が)もめたが、私は一連の決議が武力行使の根拠になりうると思っている」とも発言した。
これに対して、以下のような指摘があったので、訳者の了承を得て転載する。
テキサス州オースチンの論客、モリー・アイヴィン女史は、デイリーカメラなどの新聞論評で、ブッシュ政権がイラク侵略の合法性の元にしている国連決議1441についてこう喝破しています。(抄訳)
国連決議1441を自動的な戦争容認と解釈するか、あくまでも武器査察を履行するためのものと解釈するかの違いが米英と独仏露で別れている。
なぜアラブ国であるシリアまでが国連決議1441に賛成したのか?
その真意を探るには、全会一致で賛成されるにいたった議論をひもとくのが最良の方法である。
国連決議1441の投票が行われたまさにその日、アメリカの国連大使、ジョン・メグロポンテ氏は安保理でこう発言した。
「この決議そのものは(戦争の)自動承認のためにあるのではない。この決議は2段階のプロセスをへるものだ。だからこそ、この決議が戦争容認に繋がるのではないかという一部の国々の懸念を払拭するものである。
もしイラクが武器査察に従わなかったら、もしくは大量破壊兵器が存在すると判明したら、それらの問題は、新たにこの安保理にかけられ、善後策が決定されるだろう。
安保理は、いかなる行動(戦争)が始まる前にも、この問題について協議する機会を得るだろうから」
・・・さあ、これですべては明確である。
だからこそ、安保理の国々が今、にがにがしく感じているわけだ。人を騙す連中とは、誰ももうつきあいたくはないからである。(引用終わり)
(パンタ笛吹さん)
www.pantafuefuki.com
1441決議は「(戦争の)自動承認のためにあるのではない」とのメグロポンテ国連大使の発言は、大事だねえ。みんな知ってましたか? ぼくは知らなかったヨ。
▼また、神保哲生・宮台真司のマル激ニュースオンデマンドのメールニュースでは、次のような注目すべき動きが紹介されていた。
ロシアが米英の軍事行動を国際法違反であるとして国連の臨時総会開催を求める動きを見せているほか、フランスやドイツ周辺からは、1956年のスエズ動乱の際、アメリカのアイゼンハワー大統領がエジプトに侵攻した英仏イスラエル軍に対して、即時撤退を求める決議を、安保理ではなく総会に付託することで、停戦を実現した国連決議377を発動する案も検討されている。
これは常任理事国による拒否権の発動によって安保理が機能停止に陥ったとき、安保理の単純過半数の賛成があれば同じ決議案を総会に付託できるというもの。この議決では、常任理事国の拒否権は発動できない。今イラクへの武力行使の即時停止を求める決議が、安保理の単純過半数の支持(8票)を得られる可能性は高く、総会では大半の国々が武力行使には反対していると見られる。
へええ、そういう歴史があったんだねえ。しかもアメリカがやっていた、ってのが面白いねえ。
国連中心主義を強化するにはいくつもの困難があるが、その最大の困難の一つがアメリカの横暴だが、国連中心主義以外に、世界の共存の道はないだろう。
【転載】
神浦元彰(軍事アナリスト)の「J−RCOM」
〜激動する世界の最新軍事情報を発信〜
http://www.kamiura.com/new.html■タイトル
(2)アメリカ軍の誤算と戦争の長期化
(3月28日)■コメント
私は簡単に「たたく(攻撃する)」とか、「なぎ倒す」とか「とどめを刺す」などの言葉を使いますが、このような言葉に慣れていない人には不快感を与えるような気がします。その言葉の意味は言うまでもなく人を殺すという行為を指してします。それをゲームをやるように、簡単な言葉で表現することにとまどっています。これからは言葉にも少し気をつけようと思います。
さてイラク戦争はアメリカの誤算で長期化の様相を見せ始めました。
まず第一の誤算はトルコから第4師団を投入できなかったことです。北部からの圧迫が行なえなかったので、南部からの攻撃に迫力を欠いてしまったようです。
まさかトルコが駐留を反対するとは予想していなかったと思います。
次に南部シーア派の反フセインといった反乱が起こらなかったことです。アメリカは解放軍になることに失敗しました。
ですからフセインの特殊部隊に補給線を襲撃されてしまったのです。さらに共和国防衛隊が予想以上に戦っていることです。明らかに敗戦が予測され、兵器の質でも劣っている共和国防衛隊が、これほどまで米英軍を相手に戦うとは思っていなかったと思います。
それに砂嵐です。カルバラを攻めている大事なときに、猛烈な砂嵐でアパッチ攻撃ヘリやA−10攻撃機を使えなかったことです。これは誤算というより、気象予報官の判断ミスかもしれません。砂嵐の発生と期間を見誤ったようです。
イラク軍は米陸軍の第4機械化歩兵師団が、クエートに到着して進撃を開始する数週間の間に、特に砂嵐の時期を狙って米英軍に攻撃を仕掛けてくると予想しています。晴天なら米英軍の航空戦力によって撃破されてしまうからです。
昨日、イラクの航空地図を見ました。するとクートに空港があることがわかりました。クートはバクダッド攻略の最重要地点になるでしょう。今、クートに向かって米軍の海兵隊が進撃しています。
そして途中の道路の周辺には、多数のフェダーイン・サダム(サダムの戦士)が潜入しています。大変な激戦が予想されます。なぜならフェダーイン.サダムには航空戦力はほとんど通用しません。
まもなくカルバラはアメリカ軍が占領します。しかしクートをめぐる戦いは熾烈になります。北部への展開はカルバラとクートの戦闘が終わり、一息ついてからの作戦と思います。
ですから昨日の北部への空挺部隊1000人の降下は、宣伝の色彩が濃い作戦といえます。北部のイラク軍を南部に移動させないために脅しをかけたのです。
【@編集室】
▼読者数が1400名を突破した。読者の方々に切に感謝するものである。m(_ _)m
いよいよ1500名が見えてきた。
読者数増加は結果であって、経過が大事だと考えているのだが、まあ、素直にうれしいやネ。
前にも書いたと思うが、「メルマガ10分の1の原理」を仮定していて、総読者数の10分の1が読んだり読まなかったりで(つまり10分の9はほとんど読まない)、そのなかのさらに10分の1が、毎回読んでくれている。毎回、約1名の投稿をいただく、という現状を、ぼくはそのように理解している。
10分の9が読んでないだって? なんだよ、読者をバカにするなよ! と怒られそうだが、ぼくは、メルマガをとっていただいているだけで、「すごい」ことだ、と思っている。だって、「回路がつながっている」わけだ。そして、毎回こんなに長いの、ふつう読まねえよ(^_^;)。
だから、「これは!」という問題については、意見を送ってくださる。
だから、冒頭の見出しを見れば、だいたい内容がわかるように、でも長くなりすぎないように、と、あれこれ考えている。
▼「イラク戦争」という呼称だが、これで正確なのだろうか、と、ふと思った。
アメリカによるイラクへの攻撃は、どう名づけるのがいちばん適切なのだろう。
名は体をあらわすで、けっこう大事な問題じゃないだろうか。
マスメディアは「(第2次)イラク戦争」と呼称していて、いちばん一般的だ。
宮台真司・神保哲生の両氏は「戦争の名を借りた単なる政権転覆工作」と指摘する。
「戦争なんかじゃない、一方的な殺戮だ」との声もある。「イラク殺戮」か。
ただ、殺戮でない戦争などありえず、戦争でない殺戮はありうるから、要は「戦争なのか否か」がポイントだろう。
アメリカが言いがかりとしか思えない理由をつけて一方的に攻撃を仕掛けたわけだが、フセイン大統領が「これは戦争ではない」と言っていたら、戦争ではない、と言いうるが、フセイン大統領もまた戦争だ、と言っている。やはり当事者同士で戦争だと定義している以上、戦争と呼称して、間違いはないだろう。
ラムズフェルドのオフィスの机には、「戦争は、最も高貴なスポーツである」と書いた紙が飾ってあるらしいが。
以前も書いたが、両方とも、「神」の名の下に戦っているから、「聖戦」と呼ぶのが適切かも知れない。
戦争は合法的な外交手段だが−−だからアメリカはイラクと「戦争」をしたかった。フセインを合法的に殺したかった−−殺される側にとっては、「殺人」でしかない。そして実は殺す側にとっても、「殺人」でしかない。戦争を正当化する論理が、どのような哲学に支えられているのかに、興味を持たざるを得ない。キリスト教か、イスラム教か。
ブッシュ大統領が属しているプロテスタント教会が、イラク攻撃に反対しているそうだ。皮肉といえば皮肉だが、「そんなに激しく反対しないからさ、ポーズだけ反対するから」と、出来レースを組んでんじゃん?とも穿ってしまう。もしそうだったら、ほんと世も末だが、たぶん、そんなことないと思うけど。
ワシントンにも「神の祝福あれ」。バグダッドにも「神の祝福あれ」。国家が宗教に使われているのか。宗教が国家に使われているのか。どうも、明らかに、後者だろう。
であるとすれば、国家は道具ではなく、すでに目的となっているのであり、それはもはや新しい宗教の形ではないのか?
「お金が宗教」になっている人がいるように、「国家が宗教」になっている人は、日本にもたくさんいる。
国民の物語。国家の歴史。我が身と家族を守ってくれる(誰から?)、ありがたい存在、ニッポン。
敵の神を撃て、とヴァレリーは言った。
敵の神は、国家である。とすれば、敵とは、ぼく自身が住み、生かされている、この国である。
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