【ねこまたぎ通信】

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小学校教科書から「住民虐殺」の記述消える

 来春から使用される小学校教科書の中から、沖縄戦の日本軍による住民虐殺の記述が消えていることが11日、分かった。これまで5社のうち1社が住民虐殺に触れていた。高嶋伸欣(のぶよし)琉球大学教授ら沖縄戦研究者の有志4人が同日、県庁で記者会見し、「検定では言わないが、執筆段階で住民虐殺の存在を疑問視するような声が忍び寄っているのではないか。見過ごせない」と警戒感を示し、沖縄戦の開始時期など記述の間違いを指摘する中で、加筆を求めていく考えを示した。

 小学校では今回、検定に合格した5社すべてが6年生の社会の教科書で沖縄戦について記述し、住民を巻き込んだ激しい戦闘があったことに触れている。一方、日本軍による住民虐殺については1999年の検定時で2社、前回の2001年の検定時には1社が触れていたが、ことし3月に検定が済んだ今回の教科書では記述が無くなった。

 中学校の教科書は現在、検定中。02年度から使われている教科書では、8社のうち5社が、住民が日本軍にスパイの疑いをかけられ殺されたことを記述している。

 会見には高嶋教授、平良宗潤糸満市史編集委員長、山内栄琉大非常勤講師、山口剛史同大講師の4人が参加した。

 高嶋教授は、出版社が教育委員会に採用されやすい教科書を作るため、執筆者を入れ替えたことが記述に影響していると説明。「自衛隊の海外派遣や有事法制の動きなど今の状況も教科書の記述に影響しているのではないか。小学校段階では理解力のこともあり、全部の教科書が書くべきか議論があっていいが、教師が教えたい時に使えるよう1冊でもあることが貴重だ」と話した。

 平良・糸満市史編集委員長は日本軍の住民虐殺が、多くの証言で明らかになっていることを示し、住民虐殺をめぐる最近の動きについて「市史を編集している立場からすると納得いかない」と語った。

 県教育委員会は、今回検定に合格した教科書を18日から各教育事務所などで展示、一般の人も見ることができる。市町村教委も各小学校などで展示する予定。

 高嶋教授らは現在、沖縄史の正確な記述を重視した沖縄版の中学生社会科の教科書制作を進めている。

琉球新報