虐待現場に米司令官？軍審問で弁護人証言 米紙報道

　２３日付の米ワシントン・ポスト紙は、米軍によるイラク人収容者虐待事件で、駐留米軍のサンチェス司令官ら米軍高官が虐待の起きたアブグレイブ刑務所内での取り調べに立ち会い、尋問や虐待現場の実態を承知していたとの目撃証言が出ていることを報じた。

　訴追され軍法会議で係争中のフレデリック２等軍曹を担当する弁護人（軍人）が、４月２日に開かれた軍の審問の場で、同刑務所に所属する大尉から得た情報として述べた。

　同紙が入手した審問の録音記録によると、この弁護人は「サンチェス司令官はこうした取り調べや、申し立てられている収容者虐待のいずれか、または両方に立ち会っていたと承知している」と語った。弁護人にこうした内容を語った大尉は、免責を条件に正式に証言する用意があるという。

　駐留米軍は２３日、「この報道は間違っている」との声明を発表した。

　サンチェス司令官は１９日の上院公聴会で「ジュネーブ条約を適用することを明確に指示していた」と述べ、自らの虐待への関与は否定していた。同弁護人によると、別の軍曹も、軍の情報部門の担当者が虐待を「正しいこと」と容認する発言をしていたと証言する用意があるという。米政府と米軍はこれまで「虐待はごく一部の人間の犯行」と主張し、組織的な関与を否定している。 (05/23 22:36)

asahi