【ねこまたぎ通信】

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 若年層のエイズ感染率が急低下−ジンバブエ

若年層のエイズ感染率が急低下−ジンバブエ

「性行動の変化」が大きく影響 純潔・貞操教育重視で効果


若者の性行動の変化が、エイズウイルス(HIV)感染率の急低下につながった――。世界最悪レベルのエイズ感染率が減少に転じた南アフリカジンバブエにおける調査結果が、米科学誌サイエンス最新号(二月三日号)で報告されている。若年層の純潔・貞操教育を重視するエイズ予防策(ABCアプローチ)が効果を上げつつあるようだ。
(ワシントン・三笘義雄)
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同誌(電子版)によると、英国や地元ジンバブエなどの専門家による国際研究チームが行った今回の調査は、一九九八−二〇〇〇年と〇一−〇三年の二回にわたって、九千四百五十四人を対象に実施。一、二回目の調査データを比較し、エイズ感染率と性行動の変化の相関関係などについて調べた。
全体のエイズ感染率は、一回目と二回目の調査で、23・0%から20・5%に低下。男女別の感染率で見ると、男性(十 −五十四歳)は19・5%から18・2%、女性(十五−四十四歳)は25・9%から22・3%に、それぞれ低下した。
全体の感染率減は比較的緩やかなものだが、特徴的なのが、若年層で感染率が大幅に低下している点だ。
まず、十七−二十九歳の男性は、10・6%から8・1%と約23%の減少。十五−二十四歳の女性に至っては、15・9%から8・0%と49%も低下した。一方、男女とも三十五歳以上は感染率がアップしている。
同リポートは、(1)エイズ感染率が三年の比較的短期間に低下(2)中卒以上の学歴層に集中 ――している点などから、若年層におけるエイズ感染率の急低下は「性行動の変化が影響していることを強く示唆する」と分析している。
具体的なデータが、それを裏付けている。
十七−十九歳の男性のうち、「性体験がある」と答えた割合は、一回目の調査で45%だったのに対し、三年後には27%に低下。十五−十七歳の女性では、21%から9%に半減した。
一方、性体験のある男女について、「前回の相手は“遊び”だった」と答えた割合は、男性が49%(25・9%から13・2%)、女性は約22%(7・5%から5・9%)、それぞれ低下した。また、「過去一年間の性交渉の相手の人数(ゼロも含む)」は、男女ともはっきり減少しており、不特定多数と性交渉をする割合が大きく低下しつつあることが浮かび上がっている。
こうした点について、同リポートは「ジンバブエで起こりつつある性行動の変化は、エイズ感染率の長期低下につながったウガンダの例に類似している」と指摘している。
ウガンダでは一九九〇年代、「ABC」アプローチでエイズ感染率が15%から5%に激減し、エイズ対策のモデルケースとなっている。具体的には、「A=ABSTINENCE(純潔、自己抑制)」「B=BE FAITHFUL(信心深く、夫婦が貞節守る)」「C=CONDOM(コンドーム使用)」の三つを柱に、エイズの予防と治療に総合的に取り組んだ。これによって、(1)性交渉の開始年齢の遅延(2)婚前・婚外性交渉の減少(3)フリーセックスの減少――など、「性行動の変化」が顕著に現れた(米国際開発局<USAID>調査)。
今回のリポートには明示されていないが、特に若年層で「変化」が顕著であることから、ジンバブエでもABCアプローチが効果を上げ始めたとみることができる。ABCアプローチは、アフリカではウガンダのほかザンビアなどで大きな効果を上げていたが、ジンバブエではコンドーム使用率が増加する一方で、はっきりとしたエイズ感染率の低下は見られていなかった。
一方、「性行動の変化」がエイズ感染率の低下にどれくらいつながるか自体が、「大成功」したウガンダを含め、論議の対象となっている。データ不足などがその背景にあるようだが、そういった意味でも、今回のリポートは貴重な資料となりそうだ。


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