【ねこまたぎ通信】

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参院選:小泉政権敗北で「有志連合」政権に暗い影

 【ロンドン小松浩】参院選での自民党敗北は、イラク戦争で米国陣営についた「有志連合」政権への各国世論の厳しい姿勢を改めて浮き彫りにした。欧州では既にスペインの親米アスナール政権が退陣に追い込まれ、来年5月ごろに総選挙を見込むブレア英首相の政権基盤も揺らいでいる。

 「有志連合」国は11月に大統領選を控えた総元締めの米国でブッシュ大統領民主党の対立候補ケリー上院議員に支持率で水をあけられているほか、欧州ではブレア政権の支持率が低迷。来秋までに総選挙が行われるポーランドでも世論の約7割がイラク戦争に反対しており、イタリアのベルルスコーニ政権も反戦世論に直面している。

 日本を含め各国とも年金や汚職など内政上の問題がからんだ「複合」的な政権不信であり、フランスやドイツなどイラク戦争に反対した国でも現政権への批判は厳しい。とはいえ、大量破壊兵器の未発見、続発するイラクでのテロ事件などイラク問題が「有志連合」政権のアキレスけんであることは間違いない。

 とりわけ英国では、14日発表の調査委員会(委員長・バトラー卿)報告書に注目が集まる。今年2月、ブレア首相が米国の調査委員会設置にならって作った同委員会は英政権だけでなく各国政府関係者からも事情聴取してきた。

 英メディアによれば、ブレア首相がイラクの差し迫った脅威の証拠とした「45分で大量破壊兵器を配備」情報が極めてあいまいなものだったことが指摘される公算が大きい。また、情報の誤りをたださないままブレア首相が参戦に踏み切ったことにも批判の矢が向けられる可能性が大きくなっている。

 首相は「大量破壊兵器は今後も決して見つからないかもしれないが、フセインが(大量破壊兵器製造)能力を持っていたのは疑いない」と国会で語るなど(6日)、独裁政権の脅威除去をイラク戦争正当化の大義名分にすりかえて切り抜ける腹づもりのようだ。

 しかし、大量破壊兵器の「今そこにある、深刻な」脅威を開戦前に世論に訴えた首相発言との落差に、英国世論は厳しい視線を送っている。バトラー報告書の翌15日に予定される下院2選挙区の補欠選挙では与党・労働党の苦戦が伝えられており、ブレア政権には政治的な試練が続く。

毎日新聞 2004年7月12日 20時56分